技術ブログ
2013年11月27日(水)
調査票のいらない調査「Scanamind(スキャナマインド)」Vol.8
Scanamind総括(5つの特徴の再確認)
いよいよシリーズ最終回となる第8回も実例を挙げながらScanamindの5つの特徴を再確認し、これまでの総括をレポートいたします。
記事INDEX
旧来の定量・定性調査(調査票の必要な調査)と比較したScanamindの5つの特徴は、本シリーズ第6回でも紹介したように下記(図1)のようになります。今回は、実例を挙げながら、これらについて再確認したいと思います。
●特徴1:調査票がいらない
旧来の調査手法では、調査対象者から必要な情報を収集する際に、定量調査なら設問票、定性調査ならディスカッションガイドやインタビューフローといった調査票が必要でした。しかしScanamindは、今回のシリーズのタイトルにもなっているように、調査票を必要としません。これこそがScanamind最大の特徴といえるでしょう。
調査票設計には、設計者のスキルや想定が反映されます。例えば、ブランドイメージや購入動機を調べるために自記式の定量アンケート調査を行う際、設計者がアトリビュートと言われる調査対象製品やサービスの特徴に関する評価項目を考案したり、5段階評価などの選択式設問項目を設けたりしますが、それらは設計者がクライアントや利用者などから得た情報をもとに想定した選択肢に過ぎません。そのため、選択肢の内容によっては対象者に先入観を与え、想定範囲を狭める危険性があります。また、設計者の想定した選択肢が実際の傾向と異なった場合は、正確な結果を得られない可能性もある(図2)のです。
しかし、Scanamindは調査対象者自身が自発的に評価項目を考えるため、そのような不適切な調査票設計がなされてしまうリスクが生じないばかりか、調査対象者が抱くありのままのイメージ構造を引き出すことが可能です。それによって、旧来の定量・定性調査(調査票の必要な調査)で抜け落ちていたヒントを得られる可能性もあると思われます。
●特徴2:調査の準備がほとんど必要ない
旧来調査では、事前準備や集計などにかなりの時間を割く必要がありましたが、Scanamindは、これらの手間を大幅に省略することができます。
特に調査票の設計は非常に手間のかかる作業で、調査の全体設計に基づき、設問形式の設定、設問文の言葉遣いや順序の決定、調査対象者に提示する刺激物の内容決定、翻訳・ローカライズなどの作業が必要となります。しかし、Scanamindはこれらの準備がほとんど必要なくなるので、大幅な工数削減や作業日数短縮につながります(図3)。
先日、Scanamind を使って実施した実案件のブランドイメージ調査は、わずか1週間で全工程が完了しました。ただし、このケースでもオンライン定量調査で実施していれば、調査票設計に約2週間、集計・分析に約2週間はかかり、トータルで1ヶ月程度の期間を必要としていたと思われます。ちなみに翻訳が必要な場合はさらに2週間程度の追加の日数が必要です。
このことからわかるように、オンラインアンケートを用いた一般的なブランドイメージ調査を考えると、Scanamindの全体スケジュールは4分の1程度、翻訳が必要な場合は、6分の1程度に圧縮可能です。
●特徴3:調査対象製品やサービスに関する事前情報がなくても調査が可能
旧来の調査では、調査票の設計の際に、特徴1で挙げたような設計ミスをなくすため、調査対象についての綿密な下調べが必要になります。この工程は設計者が調査対象者の消費行動や利用実態、製品やサービスに対する態度や考えを想定する旧来調査では必要不可欠です。ただし、いくら念入りに準備をしても、高度な専門知識が必要とされる分野では的確な調査票の設問項目を作成できないケースもあります。その点、Scanamindは、すべての評価項目を調査対象者自身が挙げるため、基本的に調査対象製品やサービスに関する事前情報収集作業を必要としません(図4)。事前に必要となるのは、Scanamindによる調査を実施する前に、特定の製品/サービス利用者をスクリーニングするための予備的な情報収集程度になります。
●特徴4:言語の意味に依存しないため、英語、中国語など、日本語以外でも調査可能
旧来調査を海外で実施するときは、調査票の翻訳やローカライズが不可欠です。ただ、こうした海外調査においては、仮に日本語の調査票づくりで設計者が正しい設計をしても、翻訳の段階で意図した表現が異なってしまったり、ローカライズがうまく対応できなかったりして、調査自体が失敗してしまうことも少なくありません。また、特定ビジネスを対象とした専門家調査など、専門用語が多い場合や質の良い翻訳者が見つけにくいマイナーな言語で実施する調査は、コントロールが難しく、想定外のコストアップも発生しやすいと思われます。
しかし、Scanamindは、調査対象者が挙げた言語の関係性の強弱を量子数理という考え方を使って評価し、全体のイメージ構造を可視化(マッピング)していくため、どんな言語でも問題なく実施できるばかりか、調査対象者は母国語で何のストレスもなく回答できます(図5)。また、調査実施者も翻訳やローカライズに起因する調査の失敗を心配せずに済むのです。
Scanamindで事前に必要な翻訳は、『12個の言葉を入れてください』といったごく短い回答指示やエラー対応文(調査対象者が不適切な回答を入力した際に表示される警告文)の翻訳といったものだけです。しかも主要9言語(日本語・英語・中国語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・インドネシア語)ではエラー対応文が既に実装されています。
また、調査終了後に調査対象者から挙げられた言葉を、調査実施者が母国語に翻訳する場合でも、本格的な翻訳を行う前に、Google翻訳のような機械翻訳ですぐに概要を知ることができ、多様な意味を持つ言葉でも周囲の言葉との関係性からその大まかな意味も推測可能です。
●特徴5:調査の経験がなくても、一定のクオリティでアウトプットの分析が可能
旧来の調査では、定量調査でも定性調査でも一定のクオリティのアウトプットを出そうと思うと、専門の知識が必要でした。マーケティング課題分析に必要な手法を選択して調査設計を行う必要があるため、その手法に関する専門の知識がなければ、調査設計そのものが難しい側面もあったのです。
しかし、
Scanamindは、調査準備・実施の過程で特別な知識は必要ありません。さらに、アウトプット作成も株式会社クリエイティブ・ブレインズの量子数理システムで自動集計されるため、調査実施者によるハンドリングは不要です。その他、アウトプットの分析でも、定型フォーマットを一定の手法に沿って解釈していくだけなので、特殊な前提知識が要求されることはありません(図6)。
前述の通り、これまで行われてきたマーケティングリサーチの多くは、まず調査設計ありきとして、調査主体側の仮説や主観から作られたフレームに基づいて行われるものでしたが、そのために調査主体の想定や想像を超える新たな知見やインサイトを得るのが困難であることが課題とされてきました。
Scanamindのみならず、本シリーズの第1回でも紹介した、「ソーシャルメディアリスニング」、「ブランデッドコミュニティ」、「視覚行動測定」、「脳波測定」、「皮膚反応測定」、「顔の表情解析」など、GMO リサーチが推奨する消費者のありのままの反応や行動を把握する調査手法は、新たな知見やインサイトを得るための調査・分析手法として、ますますその重要性が増すでしょう。 特にScanamindは、カバーするリサーチの応用範囲も多岐にわたり、中でも以下のような目的において強みが発揮できると考えられます。
①市場全体像の理解
Scanamindは、十分な情報が得られていない市場の全体像の理解や消費者が持つ価値観をマクロの視点で理解することができ、マーケティング戦略を検討する上での消費者ニーズに関する基礎的な情報を得ることができます。この情報をもとに仮説を立て、よりテーマを深掘りして旧来型の定量・定性調査を行うと、さらに効果を高めることも可能です。
②ブランドポジショニングの把握
Scanamindは調査対象カテゴリーにおける想起ブランドやブランドに対するイメージ、ブランドから想起するメッセージなどを明らかにし、その関係性を概念構造マップとして可視化することができます。こうしたマップを利用すれば、イメージやメッセージの浸透度合いや、競合ブランドを含めた市場におけるポジショニングの違いを明確化することが可能です。
③デザイン概念の把握
Scanamindでは言語だけではなく、言語と画像を使った概念構造マップを作り出すことも可能です。デザインに対する意識や評価を構造的に把握するために商品の形状や色を画像として用意し、それに対してイメージする言葉を挙げ、それらの関係性を答えてもらうことで、言語だけでは表現しにくいエモーショナルな評価や使い勝手のよさなどを概念構造マップとして可視化することもできます。
米国・ドイツ・フランス・英国でも同社の特許権が成立しています。
x ※「Scanamind」は株式会社クリエイティブ・ブレインズの登録商標です(登録番号第5109952号)。また世界主要35カ国における同社の登録商標です(国際登録第1131308号)。
※「Scanamind」公式サイトhttp://www.scanamind.jp/
「Scanamind」についての詳細お問い合わせは以下まで。
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