技術ブログ
2014年5月14日(水)
ブランデッド・コミュニティ×スーパープロモーター Vol.3
スーパープロモーター選定のための設問構成と選定事例
第3回は、前回提示したスーパープロモーターの選定条件を再確認するとともに、ある特定のBtoC商品を仮定したスーパープロモーター選定事例における調査票の設問設計やスクリーニング方法などについてレポートいたします。
記事INDEX
- 1.スーパープロモーターの選定条件
- 2.調査設計
- 3.スーパープロモーターの選定方法
- 4.まとめ
前回はスーパープロモーターの定義をもとに、GMOリサーチの提案する、ブランデッド・コミュニティで活発に活動すると考えられるスーパープロモーターの選定条件を提示しました(表1)。その条件として、次のように大きく4項目を設けています。
・「属性情報」
・「ブランド・商品特定」
・「スーパープロモーター選定設問」
・「オンライン・コミュニケーション実態把握設問」
今回はそれらの具体的な内容を解説するとともに、実際の調査票への落とし込みを行いたいと思います。
まず、一例として特定のBtoC商品を仮定し、ブランデッド・コミュニティで活動するスーパープロモーターを選定するための調査票を設計します。最終的な目的は次の通りです。まず、この調査票を使って実施したスクリーニングを通じ、スーパープロモーターと考えられる人々をブランデッド・コミュニティに誘導します。次に、商品に対する格別な思い入れをコミュニティ内の人々に広げ、コミュニティから有益な情報を得ます。詳細を以下に整理しました。
2-1.属性情報
属性情報は、スーパープロモーターとして選定された人々がどのような属性を備えているのかを把握するためのものです。これにより、対象となるブランド・商品・サービスのスーパープロモーターがどのような階層(性別、年齢層、居住地など)から形成され、またそれらに偏りがあるかどうかなどを知ることができます。
さらに、ブランデッド・コミュニティに誘導する際、コミュニティに合わせてスーパープロモーターの属性を調整したり、モデレーションの方法を事前に検討したりすることもできます。考えられる取得属性としては以下のようなものがあります。
・性別 ・年代 ・婚姻状況 ・職業 ・居住地 ・年収 ・家族構成
これらをもとに、たとえば以下のような設問を作成します。
2-2.ブランド・商品特定
ダミーを含めた複数のブランド・商品を提示して、特定のブランド・商品・サービス(ここでは商品A)に興味があるかを判別します。まったく興味がない場合はスクリーンアウト(本調査対象外として調査終了)させて調査対象者の負担を軽減することもできます。
2-3.スーパープロモーター選定設問
スーパープロモーター選定設問は、そのブランド・商品・サービスのスーパープロモーターを選定するための設問になります。前回スーパープロモーターの条件に適合すると紹介したNPS(ネット・プロモーター・スコア)を基本とした「他の人に薦める可能性はあるか」をはじめ、「実際にシェアしているか」「シェアした結果、使用し始めた人はいるか」という3つの設問を設けました。
シェアについては、オンラインでのシェアに関する設問を設けています。これらを通じて、スーパープロモーターの可能性が高い人を絞り込みます。さらに、上記の補助設問として、特定のブランド・商品・サービスの利用頻度・関心・好意度・全体満足度などを設けました。
※問8-2,問9-2の自由回答は、スーパープロモーターを選定する根幹の設問について、選定時において定量的に判断することが難しい調査対象者に対し、定性的判断を可能にするための情報として設定している。
2-4.オンライン・コミュニケーション実態把握設問
ブランデッド・コミュニティ内でスーパープロモーターがその能力を発揮してもらうには、こちらからの問いかけや他人の意見に対して的確にコメントを発したり、画像をアップしたりするなど、ネット上のコミュニケーションに慣れていて、面識のない人とも違和感なくコミュニケーションがとれる必要があります。
そうした能力は、日常的にソーシャルメディア上で活動を行い、頻繁にオンラインでのコミュニケーションを行う人が兼ね備えているものなので、次のようにソーシャルメディアの「利用媒体」「利用状況」「情報発信目的」「フォロワー数」に関する設問を設定しました。
上記に提示した調査票を用いて、ブランデッド・コミュニティで活動するスーパープロモーター選定のためのスクリーニング方法を示します。実際のスクリーニングでは、コミュニティサイズや運営方法に合わせて条件を緩和したり、付随的な設問の回答を参照したりする可能性はあります。そこで、ここでは最低限必要と思われる項目から、ブランデッド・コミュニティで活動するスーパープロモーターと考えられる人を選定する方法を紹介します。
3-1.スーパープロモーターの選定
スーパープロモーターの定義では、スーパープロモーターである人は、「ある特定の商品・ブランドに対して格別な思い入れがある」「実際に、周囲にシェアしている」「その結果シェアされた人も利用し始めている」という条件をすべて満たす必要があります。そのため、設問内の問8、問9、問11において、高いスコアを獲得していなければなりません(問9については問10、問11については問12も同時に高いスコアを満たしていることでオンラインでの活動適正もある程度判別できます)。以下、これら3つの設問で絞り込みをかけたイメージを図1に示しました。
3-2.オンライン・コミュニケーションに秀でたスーパープロモーターの選定
これまでに絞り込んだスーパープロモーターだと想定される人々に対して、「オンライン・コミュニケーションに慣れている」「ブランデッド・コミュニティ上で不特定の人々に対して上手くコミュニケーションが取れる」という条件でさらなる絞り込みを行い、それらの特性を備えた人々を再選定します。
これらの絞り込みの過程において、オンライン・コミュニケーションの実態を把握するために設けた問13~16(表6)のうち、何を用いるかは、コミュニティごとの特性に合わせて柔軟に変更すべきかと思います。以下の図2には、「不特定多数の人に情報発信」を行い、「SNSのフォロワー数が多い」という一般的な条件で絞り込みをかけたイメージを示しましたので、参考にしてください。
今回はスーパープロモーターの選定条件を前提とした、具体的な設問設計と選定過程を示しました。基本的には、選定条件を満たした対象者を絞り込んでいくイメージになります。しかし、当然のことながら商品・ブランドによっては性・年代に偏りがあり、オンラインでのやり取りが不利な高年齢層が主体となる場合もありますし、コミュニティの運用目的から特定の階層やSNS利用層に絞り込む必要も生じてきます。
それらにしたがって、NPSのような基本的な設問を押さえながらも、適切に設問をカスタマイズしていくことが重要だといえます。
次回は、いったん「ブランデッド・コミュニテイ×スーパープロモーター」をお休みし、以前紹介したScanamind(スキャナマインド)の拡張版で、画像についての概念をありのままに可視化することができ、デザイン評価の調査・解析手法として活用することができる「Scanadesign(スキャナデザイン)」を紹介します。
「ブランデッド・コミュニティ」についての詳細問合せは以下まで。
GMOリサーチ株式会社 JMI事業本部 担当山本
Tel.03-5784-1100
[email protected]
GMOリサーチ
GMOリサーチ&AI株式会社
GMOリサーチは、先進的なネットリサーチで日本とアジアのマーケティングプロセスに新しい価値を提供する会社です。 自社メディア「infoQ」を含むアジアの13ヶ国・地域を繋いだアジア最大級のクラウド型消費者パネル「ASIA Cloud Panel」を保有。 調査会社・シンクタンク・コンサルティング企業など調査のプロに向け、ネットを活用した調査・集計・分析サービスと調査サンプルを柔軟に提供しています。