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社内レポート

2011年6月15日(水)

セマンテックWebで広がる検索とSEOの近未来 Vol.3

身近なところで実装されているセマンテックWebの事例と動向から見える検索エンジンの想い

GMO SEOテクノロジー株式会社(現 GMO TECH株式会社) 代表取締役社長 兼 GMOインターネット株式会社 WEBプロモーション研究室 首席研究員 鈴木 明人が解説する『セマンティックWebで広がる検索とSEOの近未来』Vol.3となる今回は、身近なところで実装されている日本の検索エンジンにおけるセマンティックWebの事例を紹介。

記事INDEX

はじめに

GMO最新ネット業界レポートSEO編では、Vol.1、2とセマンティックWebについて執筆し、Vol.1ではセマンティックWebについて、Vol.2では検索エンジン各社がセマンティックWebへの対応を急ぐために、セマンティックWebの関連企業を買収している点についてご説明してきました。 そこでセマンティックWebの最終回となるVol.3では、セマンティックWebが、私たちの身近なところでどのように実装されているのかについて、事例をご紹介したいと思います。

日本の検索エンジンにおけるセマンティックWebの事例

私たちが普段利用する検索エンジンには、私たちが知らないだけで様々な仕様が実装されています。 今回は主に日本におけるGoogleとMicrosoft bingのセマンティックWebの事例を上げていきたいと思います。

では、実際に特定のキーワードを検索しながら、事例を見ていくことにしましょう。


【1】検索キーワード [天気]

▲Google検索結果
▲Google検索結果
▲Bing検索結果
▲Bing検索結果

GoogleとBingの検索結果を見て頂けば分かる通り、検索キーワード[天気]に対して、天気予報を提供しているサイトを上位に表示しいている訳ではなく、ユーザの住んで いる地域をIPで特定し、検索結果においてダイレクトに天気予報=答えを提供していることが見て取れると思います。 これはGoogleもbingも単に文字列の検索結果を返すだけでなく、ユーザが検索するキーワードの意図を理解するように努めているため、[天気]というキーワードについては、天気予報を知りたいユーザであると判断し、結果として返していることが理解できると思います。

では次に別のキーワードも見てみましょう。


【2】検索キーワード [マック]

▲Google検索結果
▲Google検索結果
▲Bing検索結果
▲Bing検索結果

キーワード[マック]から連想できるものとして、みなさんが身近に感じるのは、ファーストフードチェーンのマクドナルドや、PCが好きな方ならAppleコンピューターというところでしょうか。以前の文字列からのみ判断する検索エンジンでしたら、マックというキーワードがtitleなどに記述されているサイトしか検索結果の候補として出せなかった筈なのですが、双方のキャプチャを見ると、キーワードから連想されるMacDonaldのサイトやAppleコンピュータのサイトを検索結果に取り込んでいることが見て取れると思います。これもまさしく検索エンジンが検索キーワードの意図を理解しようとしている表れです。

では最後に様々な意図が連想される平仮名の検索キーワードを見てみることにしましょう。


【3】検索キーワード [とうだい]

▲Google検索結果
▲Google検索結果
▲Bing検索結果
▲Bing検索結果

キーワード[とうだい]から連想できるものとして、[東京大学]や文字通りの[灯台]などが検索意図として考えられます。Googleの場合、その双方を検索結果として提供し、ユーザの検索意図に近いキーワード候補を複数提供しています。一方でbingについては、検索結果の上部に「灯台の検索結果を含めています。とうだいの検索結果を表示しますか?」というように、ユーザの検索意図を理解しようとしていることが伺えます。

しかしながらキーワード[とうだい]の検索結果において、文字どおりの”灯台”だけでなく、東京大学や東大などを候補として提供しているGoogleの方が上であるといえるかもしれません。

動向から見える検索エンジンの想い

今回はセマンティックWeb Vol.3と題して、セマンティックWebの具体例を取り上げてきました。本レポートはこれで最終回となりますが、10年以上前から始まったこの「セマンティックWeb」という概念は、益々速度を上げて検索エンジン各社が取り組んでおり、今後もその速度が加速し続けることが想定されます。

まだまだ、文字列から判断するということが多い昨今の検索エンジンですが、今回見てきたとおり、徐々に検索意図を理解する動きが出てきております。今回事例のところで上げませんでしたが、検索キーワードに関連するキーワードの候補を提供する仕様もセマンティックWebの一つです。今後近い将来、私たちが検索するキーワードの意図をより理解し、今回最初に取り上げた検索キーワード[天気]の検索結果のように、さらに多くの検索結果にて”答え”がダイレクトに提供される機会も増えると想定されます。このセマンティックWebという概念が、よりリアルに進むにつれて、SEOの仕方も進化します。

また近いうちに、セマンティックWebが今よりもある程度進んだ段階で、SEOの変化についてもレポートできればと考えております。



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