ビジネスにおける社内での情報共有や、クライアント・顧客とのコミュニケーションをメールで行う際、機密情報や個人情報のやり取りに敏感になる方も多いのではないでしょうか。
社内外含め、さまざまな相手とのメールコミュニケーションでは、機密性の高いデータが不正アクセスによって改ざんされたり、盗まれたりするリスクが常にあります。
このようなリスクを未然に防ぐためには、メール暗号化という技術が非常に有効です。
この記事では、メール暗号化の仕組み、メール暗号化の方式と特徴、導入する際の注意点などを詳しくご紹介します。
目次
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メール暗号化とは
メール暗号化とは、メールを送信する際に本文や添付データを暗号化し、第三者に内容を把握されないようにするためのシステムのことです。
ビジネスにおいてメール暗号化を活用できるシーンは、以下の通りです。
- 機密性の高い情報を扱う企業や部署(例:金融・医療・法律・人事など)
- 契約書や見積書などの重要書類をメールで送受信する場合
- リモートワークや外出先からメールを送受信する場合
- クラウドサービスや社外サーバーを経由してメールを送受信する場合
このようなシーンでは、メール暗号化を導入することで情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを軽減することが可能になり、ビジネスにおいて安全性や信頼性を向上することができます。
メール暗号化の目的
メール暗号化をビジネスで導入する主な目的は、主に以下の3つです。
- 情報漏洩を未然に防げる
- 電子署名によるなりすまし対策になる
- 企業の信用性の確保につながる
それぞれの目的を詳しくご紹介します。
情報漏洩を未然に防げる
メール暗号化は、メールの内容や添付ファイルを第三者が解読できなくすることで、情報漏洩や誤送信などのリスクを排除し、社内の機密情報を保護する技術のことです。
近年では、メールからの情報漏洩の事例が増加傾向にあるため、リスクを排除するためにもメール暗号化は重要です。
電子署名によるなりすまし対策になる
電子署名を利用することで、なりすまし防止や改ざん検知を行うことが可能になります。
メールの送信者が自分の電子証明書を使ってメールに署名することで、受信者は送信者の電子証明書を検証し、送信者が本物であることを確認できます。
また、電子署名はメールの内容にも適用されるため、メールが途中で改ざんされたかどうかも検出できるようになり、なりすましやビジネスメール詐欺などの攻撃から情報を守ることが可能です。
企業の信用性の確保につながる
メール暗号化の導入は、企業の信用性の確保を目的とした重要なセキュリティ対策の一つです。
個人情報や社外秘の情報など、重要な情報を扱うビジネスにおいて必要なセキュリティ対策であり、これらの情報が漏洩することで企業の経営や取引先との信頼関係に大きな損害を与える可能性があります。
そのため、メール暗号化を導入することで、自社が情報保護に対してしっかりと取り組んでいることをアピールすることができ、メール暗号化を求める取引先や顧客にも対応できます。
メール暗号化の方式と特徴
メール暗号化とは、メールに記入されている文章を送信時に別の文字に置き換えることを指しますが、一定の法則の下で置き換えなければ、受信側がそれを解読することはできません。
一般的な暗号化技術では、秘密鍵暗号方式(共通鍵暗号方式)と公開鍵暗号方式という2種類の方式を使用することがほとんどです。
ここでは、それぞれの方式の特徴を詳しくご紹介します。
秘密鍵暗号方式(共通鍵暗号方式)
秘密鍵暗号方式とは、送受信者が同じ鍵を使用してメールの内容を暗号化・複合化する方式です。
秘密鍵暗号方式の特徴は、高度なセキュリティ性と相互性にあります。
暗号化されたメールは、対応する秘密鍵を持つ受信者だけが複合化することができ、署名によって送信者の本人確認やメールの改ざんを防止することが可能になります。
秘密鍵暗号方式のメリットは、高い安全性と相手への情報保護への配慮です。
具体的には、第三者による盗聴や改ざんから重要な情報を守れるようになり、情報保護に関してしっかりと取り組んでいることを相手に示すことができます。
公開鍵暗号方式
公開鍵暗号方式とは、送受信者がそれぞれ異なる鍵を使用して、メールの内容を暗号化・複合化する方式です。
この方式でメールを暗号化する方法は、PGPやS/MIMEという技術を利用します。
PGPとは、送信者が自分の秘密鍵でメールに署名を行い、受信者の公開鍵でメールを暗号化する方法です。受信者は自分の秘密鍵でメールを複合化し、送信者の公開鍵で署名の検証を行います。
S/MIMEはPGPと同様の仕組みですが、より厳格な証明書管理システムを利用可能です。
PGPやS/MIMEでメール暗号化をする手順は、以下の通りです。
- メールアドレスごとにPGPキーペアやS/MIME証明書を取得する
- メールソフトやウェブサービスにPGPキーペアやS/MIME証明書を登録する
- 相手から公開鍵を入手する
- メール送信時にオプションから「暗号化」や「署名」などの設定を選択
公開鍵方式の特徴は柔軟性にあり、PGPは自分でキーペアや連絡先管理ができるため、相手へ渡す公開鍵も自由に選ぶことが可能です。
公開鍵暗号式のメリットは、メールの内容や送信者の身元を保護できることです。また、相手に渡す鍵が公開鍵だけということから、鍵の管理もしやすくなります。
デメリットとしては、暗号化されたメールは添付ファイルや画像なども含めて文字列に変換されるため、見た目が不自然になり、容量が増える場合がある点が挙げられます。
メール暗号化のプロトコルの種類と特徴
メールの暗号化のプロトコルは、SSL・TLSとPGP・S/MIMEの2種類に分けられます。
ここでは、それぞれのプロトコルの特徴を詳しくご紹介します。
SSL・TLS
SSL・TLSとは、インターネット上でデータ通信を安全に行うために使用される暗号化技術のことで、秘密鍵暗号方式と公開鍵暗号方式を利用します。
なお、SSLとTLSでは表記が異なるだけで機能は同じですが、SSLが広く認知されているため、SSL/TLSと表記されることが多くあります。
SSL・TLSを使用するためには、第三者機関が発行する電子証明書が必要になり、通信途中で送信した内容が改ざんされていないかを調べることが可能です。
PGP・S/MIME
PGP・S/MIMEは、SSL・TLSとは異なりメールを暗号化する技術のことを指します。
PGPとS/MIMEの異なる点は、メールの暗号化・複合化する際に使用される公開鍵の扱いです。
S/MIMEでは、第三者機関によって公開鍵の正当性が証明されますが、PGPでは第三者機関による保証は受けられません。
どちらの方式でも公開鍵の正当性は保証されていますが、第三者機関に保証されているS/MIMEの方が信頼性の高さを証明できるでしょう。
しかし、S/MIMEは第三者機関からの保証を受けるため、PGPと比較してコストがかかる傾向にあります。
メール暗号化を導入する際の注意点
メール暗号化をビジネスに導入する際には、以下の2つに注意する必要があります。
- 添付ファイルも暗号化する必要あり
- 全社的にセキュリティ対策を意識する
それぞれの注意点を詳しくご紹介します。
添付ファイルも暗号化する必要あり
メールや通信と並行して、添付ファイルも同様に暗号化を導入しなければ、万が一メールを誤送信してしまった場合に、添付ファイル内の重要な情報が漏洩するリスクがあります。
そのようなリスクを未然に防ぐためにも、添付ファイルの暗号化をおすすめします。
添付ファイルを暗号化することで考えられるメリットは、以下の通りです。
- 誤送信した場合でもパスワードが分からなければファイルを開けない
- ファイルを圧縮することで容量を減らし保存容量を節約できる
- ファイル内の重要な情報の漏洩や改ざんを防ぐことができる
また、近年は情報漏洩の対策を意識する企業が増加しているため、暗号化を導入することで情報セキュリティに関する意識が高い企業として、良い印象を与える効果が期待できます。
全社的にセキュリティ対策を意識する
メール暗号化を企業に導入することで、従業員は意識することなく暗号化したメールを送信することが可能です。
従業員の負担を減らせるというメリットがある一方で、セキュリティに対する意識が低下するというデメリットが生まれる可能性もあります。
システムにより自動的に暗号化されることで、メール内容をしっかりと確認せずに送信してしまうことが考えられ、セキュリティに対する考えの甘さから、人的要因で情報漏洩につながる恐れがあるでしょう。
そのため、情報セキュリティの安全性を向上させるためにも、定期的に社内で研修を行うことをおすすめします。
メール暗号化をビジネスに導入する方法
メール暗号化をビジネスに導入するためには、自社でメール暗号化ソフトを導入する方法と、情報セキュリティ会社に導入を依頼する方法の2つがあります。
メール暗号化ソフトを導入する場合、自社のサーバーやパソコンにメール暗号化ソフトをインストールし、自社内で運用を行います。
情報セキュリティ会社に導入を依頼する場合は、専門の会社にメール暗号化サービスの提供を依頼し、クラウド型やASP型などの形態で利用する方法があります。
なお、メール暗号化を導入する際には、第三者に対して確実に情報漏洩しないことが重要です。
そのため、セキュリティを高めるためには情報セキュリティ会社に依頼することをおすすめします。
情報セキュリティ会社はメール暗号化の専門家であり、最新の技術やノウハウを持っています。さらに、メール暗号化に関する法律や規制にも精通しているため、コンプライアンスの確保にも役立つでしょう。
このような理由から、セキュリティを高めるためには情報セキュリティ会社にメール暗号化の導入を依頼することをおすすめします。
GMOグローバルサインによるメール暗号化を紹介
画像引用元:「GMOグローバルサイン」
GMOグローバルサインが提供する「マネージドPKI Lite byGMO」では、送信者・受信者双方で電子証明書を用いた暗号化メールを利用することで、万が一第三者に盗聴された場合でも解読することが不可能であるため、機密情報が漏洩する心配がありません。
さらに、マネージドPKI Lite byGMOで署名したメールを送信することで、受信者は送信主の真偽を確認することが可能になります。
外出先でメールの送受信を行う機会が多く機密情報の漏洩が心配、標的型攻撃メールに対する対策を行いたい、メール内容の改ざんが発生した場合に即座に検知したい、というセキュリティに関する課題がある場合は、ぜひGMOグローバルサインにご相談ください。
まとめ
メール暗号化とは、メール送信時に本文や添付データを暗号化することで、第三者に情報が漏洩しないようにするためのセキュリティシステムのことです。
機密性の高い情報を扱う企業や部署、リモートワークや外出先からメールを送受信する場合には、メール暗号化を導入することで情報漏洩や不正アクセスなどに対するリスクを軽減することが可能になり、安心してビジネスを行うことができるでしょう。
企業のセキュリティ強化にともない、メール暗号化を導入したい場合には専門家に相談することをおすすめします。
「GMOグローバルサイン」では、企業が抱えるメールセキュリティにおけるあらゆるお悩みの解決をサポートしております。
証明書のインストールマニュアルや技術的なFAQを用意しておりますので、証明書のインストール作業を迅速に行うことが可能です。
情報漏洩などのリスクを未然に防ぎたい場合は、ぜひこの機会にGMOグローバルサインにお問い合わせください。
文責:GMOインターネットグループ株式会社