「S/MIMEとはどんな仕組み?」「具体的な機能と活用する理由について知りたい」という疑問を抱えている方もいるはずです。S/MIMEとは、電子メールの内容や添付ファイルを暗号化・署名するための方式のことです。
主に「メールの暗号化」と「メールへの電子署名」の2つの役割により、メール内容の盗聴やなりすまし被害の防止に寄与します。S/MIMEの仕組みを深く理解するには、「メールの暗号化」と「メールへの電子署名」の2つに分けて考えることが大切です。
本記事では、S/MIMEの基礎概要、主な役割、求められる理由について詳しく解説します。併せてS/MIMEの仕組みを紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
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- S/MIMEとは
- S/MIMEの主な役割
- メールの暗号化
- メールへの電子署名
- S/MIMEが求められる理由
- メール内容の盗聴を防げる
- なりすまし被害を防止できる
- メール内容の改ざんを検知できる
- S/MIMEによるメール暗号化の仕組み
- 1.共通鍵を生成する
- 2.共通鍵を暗号化する
- 3.暗号化したメールと共通鍵を送信する
- 4.共通鍵を受信側の秘密鍵で復号する
- 5.共通鍵を使ってメールを復号する
- S/MIMEによる電子署名の仕組み
- 1.ハッシュ関数でデータを圧縮する
- 2.送信者の秘密鍵で電子署名する
- 3.電子署名付きのメールを送る
- 4.電子署名を検証する
- 5.暗号化されたハッシュ値を公開鍵で復号する
- 6.復号されたハッシュ値を比較する
- 電子証明書の発行ならGMOグローバルサインにお任せ
- まとめ
S/MIMEとは
S/MIME(Secure / Multipurpose Internet Mail Extensions)とは、電子メールの内容や添付ファイルを暗号化・署名するための方式のことです。電子メールのセキュリティを向上する暗号化方式の一つであり、メールの中身が途中で他者に読まれるリスクを減少させます。
活用方法としては、対応しているメールクライアントやサービスを使用して、メールの送受信時に自動的に暗号化・署名を行います。送信者と受信者の両方がS/MIMEに対応する電子メールソフトを使用する必要があり、代表的なものだとMicrosoft社の「Outlook」やiPhone・iPadのメールソフトなどがこれに該当します。
S/MIMEの主な役割
S/MIMEの主な役割は、「メールの暗号化」と「メールへの電子署名」の2つに分けられます。これらはセキュリティを高め、信頼性を確保するための重要な機能として活用されます。
メールの暗号化
S/MIMEを用いてメールを暗号化すると、そのメールの内容は外部からのアクセスに対して保護されます。この暗号化機能により、たとえ第三者にメールを盗み見られても解読できず、情報が外部に漏えいすることはありません。
具体例として、送信者と受信者の双方が電子証明書を所有している場合、暗号化されたメールのやり取りが可能となります。これにより、情報を安全に共有することが可能です。
メールへの電子署名
S/MIMEを使用してメールに電子署名を行うことで、送信したメールの安全性を保証することができます。これは、不正な送信元からのメールを防ぐための手段として利用されます。
S/MIMEの利用により、受信者は送信者のなりすましの有無を判別できるほか、送り主を偽装したフィッシング詐欺などのサイバー攻撃を防げるため、両者は安心してメールでのやり取りを行えます。
S/MIMEが求められる理由
S/MIMEはメールへの電子署名と暗号化のリスク対策として活躍します。S/MIMEが求められる主な理由として、以下の3点を詳しく見ていきましょう。
- メール内容の盗聴を防げる
- なりすまし被害を防止できる
- メール内容の改ざんを検知できる
各理由を一つずつ順番に解説します。
メール内容の盗聴を防げる
S/MIMEを利用すると、第三者によるメール内容の盗聴を防ぐことができます。これは、メールの内容が暗号化されることで、盗聴されたとしても意味のある情報として読み取ることが難しくなるためです。
具体例として、社外のパートナー企業との情報交換をメールで行う際、通常のメールでは第三者に内容が漏れるリスクがあります。一方でS/MIMEによる暗号化を施せば、そのリスクを大きく抑えることが可能です。
なりすまし被害を防止できる
S/MIMEによって行われる電子署名は、送信者の身元を確認できるため、なりすましメールの被害防止に繋がります。なりすまし被害の防止により、多くの企業ではS/MIMEの存在が重要視されています。
電子証明書によって署名されたメールにはマークが付いており、受信者は送信主が本物かどうかを判別できるようになります。
メール内容の改ざんを検知できる
3つ目の理由として、メール内容の改ざんを回避できる点が挙げられます。S/MIMEを利用している場合、第三者によってメール内容が改ざんされたとしても、その攻撃を検知し、警告が表示されるようになります。
これにより契約内容や取引情報など、重要なメールを送受信する際に、第三者による内容の改ざんを懸念することなく、安心してメールのやり取りを行えます。
S/MIMEによるメール暗号化の仕組み
S/MIMEはメールの暗号化技術として広く利用されています。その暗号化の仕組みを5つの手順に分けて解説します。
- 共通鍵を生成する
- 共通鍵を暗号化する
- 暗号化したメールと共通鍵を送信する
- 共通鍵を受信側の秘密鍵で復号する
- 共通鍵を使ってメールを復号する
各手順を詳しく見ていきましょう。
1.共通鍵を生成する
1つ目の手順は共通鍵の生成です。共通鍵とは、送信者と受信者の間で共有される鍵のことを指します。この鍵は、メールの内容を暗号化・復号する際に使われます。
2.共通鍵を暗号化する
共通鍵が生成されたら、次にその鍵自体を暗号化します。このとき、受信者の公開鍵を使用して暗号化が行われます。
公開鍵は名前の通り、公に知られても問題ない鍵です。一方、秘密鍵は受信者のみが保有する重要な鍵となります。
3.暗号化したメールと共通鍵を送信する
暗号化したメールと、その暗号化に使用した共通鍵を受信者に送信します。共通鍵は前述のように受信者の公開鍵で暗号化されているため、安全に送信することが可能です。
4.共通鍵を受信側の秘密鍵で復号する
メールを受け取った受信者は、自身の秘密鍵を使用して暗号化された共通鍵を復号します。ここでのポイントは、秘密鍵を持っている受信者のみが共通鍵を復号できるという点です。これにより、共通鍵が第三者に漏れるリスクを軽減します。
5.共通鍵を使ってメールを復号する
最後に受信者は復号した共通鍵を使用し、暗号化されたメールの内容を復号します。復号が完了すれば、メールの内容が明らかとなり、安全にメールを読むことができます。
このようにS/MIMEの暗号化技術により、安心してメールのやり取りを行うことが可能です。
S/MIMEによる電子署名の仕組み
続いて、S/MIMEによる電子署名の仕組みについて以下6つの手順に分けて解説します。
- ハッシュ関数でデータを圧縮する
- 送信者の秘密鍵で電子署名する
- 電子署名付きのメールを送る
- 電子署名を検証する
- 暗号化されたハッシュ値を公開鍵で復号する
- 復号されたハッシュ値を比較する
それぞれの手順を順番に見ていきましょう。
1.ハッシュ関数でデータを圧縮する
まずは、ハッシュ関数でデータの圧縮を行います。ハッシュ関数とは、入力データから一定長のハッシュ値を生成する関数のことです。これにより、大量の情報を短い文字列に圧縮することが可能です。
2.送信者の秘密鍵で電子署名する
メールのハッシュ値を生成した後、送信者の秘密鍵でこのハッシュ値を暗号化します。そうすることで電子署名が完成します。
3.電子署名付きのメールを送る
電子署名が完了したメールは、そのまま受信者に送信されます。このメールには、原文と電子署名、送信者の公開鍵が含まれます。
4.電子署名を検証する
受信者は、送信者の公開鍵を使用して電子署名を検証します。ここでの検証では、信頼できる機関から発行されているかどうかを確認します。
また、電子署名を送信者の公開鍵で復号し、ハッシュ値を取り出します。これらの事実から、なりすましによるメールではないと判断できます。
5.暗号化されたハッシュ値を公開鍵で復号する
受信者は送信者の公開鍵を使い、暗号化されたハッシュ値を復号します。これにより、元のハッシュ値が取得できます。
6.復号されたハッシュ値を比較する
最後に、受信者はメールの内容から独自にハッシュ値を生成し、それを復号したハッシュ値と比較します。両者が一致すれば、メール内容が改ざんされていないことが確認できます。
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画像引用元:GMOグローバルサイン
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まとめ
本記事では、S/MIMEの基礎概要、主な役割、求められる理由について詳しく解説しました。
S/MIMEは電子メールの内容や添付ファイルを暗号化・署名するための方式であり、主に「メールの暗号化」と「メールへの電子署名」の2つの役割があります。これらの機能により、メール内容の盗聴を防げるほか、第三者によるなりすましやメール内容の改ざんリスクを軽減します。
企業間でのメールのやり取りが安全になることから、多くの企業でS/MIMEが活用されています。なお、これから電子証明書の発行を考えている方は、「GMOグローバルサイン」のマネージドPKI Lite byGMOの利用を検討してみてください。「初めて電子証明書を発行する」という方でも安心して手続きを進められます。
文責:GMOインターネットグループ株式会社