「SMS認証はなぜ注目されているの?」「企業側で採用するメリットはあるの?」などの疑問を抱えている方もいるでしょう。Webサイトやアプリのセキュリティ対策を強化できることから、多くのサービスでこのSMS認証が採用されています。
SMS認証サービスの導入はそこまで複雑ではなく、サービスに導入することで、運営者側と利用者側の双方にメリットを与えます。とはいえ、SMS認証には一部デメリットが含まれるのも事実です。
そこで今回は、SMS認証が注目される理由や仕組み、採用するメリット・デメリット、サービスの選び方を徹底解説します。
目次
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- SMS認証とは
- SMS認証が注目される理由
- SMS認証の仕組み
- 利用者側
- 配信者側
- SMS認証のメリット
- 導入・運用のハードルが低い
- セキュリティ対策を強化できる
- 不正アカウントの登録を防止できる
- 多くの人に手軽に利用してもらえる
- SMS認証のデメリット
- SMSの受信設定によっては届かない
- 格安SIMユーザーは利用できないことがある
- デバイスを紛失するとログインできなくなる
- SMS認証サービスの導入方法
- SMS認証サービスを選定する
- 連携機能を開発・実装する
- 試用・テストを行う
- 運用を開始する
- SMS認証サービスの選び方
- API連携に対応しているか
- 国内直収サービスか
- 遅延対策に向いているか
- 対応しているキャリア数は多いか
- SMS認証サービスの活用事例・提供事例
- 活用事例:三井住友銀行
- 提供事例:電子印鑑GMOサイン
- まとめ
SMS認証とは
SMS認証とは、スマートフォンや携帯電話に認証コードが記載されたSMSが送信され、そのコードを用いてシステムにアクセスする仕組みのことです。Webサイトやアプリのセキュリティ対策を強化できるため、多くのサービスがこのSMS認証を取り入れています。
▼SMS認証が採用されている主なサービス
- インターネットバンク
- ショッピングサイト
- SNS
- スマートフォンアプリ
- 各種QRコード決済
SMS認証は2回目の本人確認として行われるケースが多いため、この認証方法は「2段階認証」とも呼ばれています。インストール不要で手軽に利用できることから、SMS認証の活用が進んでいます。
SMS認証が注目される理由
現代では、多くの企業がSMS認証を効果的な認証方法として取り入れています。SMS認証の注目度が高まる背景には、以下のような理由が挙げられます。
▼SMS認証が注目される主な理由
- スマートフォンや携帯電話の普及率が高く、誰でも手軽に認証を行える
- 物理的なデバイスを必要とするため、なりすましや不正行為が困難
- 不正な外部アクセスから情報漏えいを防止できる
- ネットワークの接続があれば確実に届き、認証コードの配信に遅延や未到達が少ない
- 迷惑メールなどに埋もれにくく、SMSの通知はすぐに確認される傾向にある
これらの理由から、SMS認証は多様なデジタルサービスでの有効な認証手段として、多くの企業・ユーザーから支持を得ています。
SMS認証の仕組み
SMS認証の仕組みは、「利用者側」と「配信者側」の2つの観点から考えることで理解が深まります。それぞれの観点から、SMS認証の仕組みを詳しく見ていきましょう。
利用者側
利用者側では、以下のような流れでSMS認証が完了します。
- 利用者がWebサイトやアプリのアカウント作成画面から登録を進める
- 利用者が自身の携帯電話の番号を入力する
- その携帯電話番号に認証コードが記載されたSMSが送信される
- 記載された認証コードをWebサイトやアプリ上で入力する
- 入力した認証コードが正しければ、アカウントの登録が完了する
アカウントを新規で作成するパターンを紹介しましたが、ログイン時にSMS認証が求められることもあります。
配信者側
配信者側でのSMS認証の仕組みは、以下のステップに分けられます。
- 利用者から認証要求を受け取った後、配信者はAPIを通してSMS配信サービスに認証コードの送信を要求する
- その要求を受けたSMS配信サービスが利用者に認証コード付きのSMSを送る
- 利用者が認証コードをWebサイトやアプリ上で入力すると、その情報がSMS配信サービスに送られ、生成された認証コードとの一致を確認する
- 認証コードが一致していた場合、認証成功と判断し、利用者の要求を許可する
基本的に配信者側が全ての処理を実行するのではなく、SMS配信サービスと連携することで、効率的な認証システムを確立しています。
SMS認証のメリット
SMS認証の導入は、利用者側と配信者側の双方に大きなメリットをもたらします。この項目では、配信者側に焦点を当て、SMS認証によってどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
- 導入・運用のハードルが低い
- セキュリティ対策を強化できる
- 不正アカウントの登録を防止できる
- 多くの人に手軽に利用してもらえる
各メリットを順番に解説します。
導入・運用のハードルが低い
ほかの二段階認証に比べてSMS認証は導入までのハードルが低く、運用コストも比較的抑えられます。特別なハードウェアの導入や高度な技術的知識は不要で、ほとんどのユーザーがすでに携帯電話を所有しているため、追加の設備投資も必要ありません。対応している配信サービス会社が多いのもポイントです。
セキュリティ対策を強化できる
SMS認証を導入することで、セキュリティ対策を大幅に強化できます。基本的に本人以外がデバイスを所持していることは少ないため、悪意のある不正アクセスを防ぎやすい傾向にあります。
また、SMS認証は電話番号にメッセージを送信する方法であるため、第三者にパスワードが漏れるといった心配もありません。
不正アカウントの登録を防止できる
3つ目のメリットは、不正アカウントの登録を防止できることです。IDとパスワード、メールアドレスのみで登録する場合に比べ、SMS認証では1つの電話番号に対して1つのアカウントしか作成できないため、不正アカウントの登録防止に役立ちます。
多くの人に手軽に利用してもらえる
現代のほとんどのユーザーが携帯電話やスマートフォンを所持しているため、SMS認証は多くの人に利用してもらえます。また、SMS認証はすでに多くのアプリやサービスで採用されており、ユーザーがこの認証方法に慣れているため、新たなサービスへの抵抗感を抑えられます。
SMS認証のデメリット
SMS認証は多くのサービスで採用されていますが、完璧なシステムというわけではありません。配信者側はSMS認証を採用する際に、注意すべきデメリットがいくつか存在します。
- SMSの受信設定によっては届かない
- 格安SIMユーザーは利用できないことがある
- デバイスを紛失するとログインできなくなる
ここでは、配信者側および一部利用者側に影響を及ぼす以下3つのデメリットを解説します。
SMSの受信設定によっては届かない
1つ目のデメリットは、SMSの受信設定によってはメッセージが届かないことです。利用者側がSMSの拒否設定を行っていた場合、そのデバイスに認証コードは届かず、サービスを利用してもらえない可能性があります。
つまり、配信者側はSMS認証を採用することで、一部ケースに限り、機会損失が発生するリスクがあるのです。とはいえ、SMSの受信を拒否している人は稀であるため、そこまで心配する必要はありません。
格安SIMユーザーは利用できないことがある
格安SIMの中には、電話番号を持たないデータ通信のみのサービスがあります。その場合、利用者は配信者から送られるSMSを受信することができません。
▼SMSを受信できない可能性のある格安SIM
- OCNモバイルONE
- IIJmio
- イオンモバイル
- BIGLOBEモバイル
- mineo
ただし、これらの格安SIMには、SMSが届く「SMS対応プラン」などが設けられています。SMSを利用できないのは、あくまで一部利用者のみということを覚えておきましょう。
デバイスを紛失するとログインできなくなる
利用者がデバイスを紛失すると、認証コードを受け取ることができず、サービスにログインできなくなる可能性があります。これは、携帯キャリアを解約し、電話番号が変わってしまった場合も同様です。
これらのケースでは、新しいデバイスで認証情報を変更するための手続きが必要となります。配信者側は注意点として、利用者にこの旨を伝えましょう。
SMS認証サービスの導入方法
SMS認証サービスの導入は、主に以下4つのステップで完了します。
- SMS認証サービスを選定する
- 連携機能を開発・実装する
- 試用・テストを行う
- 運用を開始する
それぞれの手順をわかりやすく解説します。
SMS認証サービスを選定する
まずは、自社にとって適切なSMS認証サービスを探すところから始まります。サービスの選定においては、SMS送信のコスト、国内外への送信範囲、連携APIの存在、サポート体制などが重要なポイントとなります。
連携機能を開発・実装する
次に、選定したサービスと自社システムとの連携機能の開発・実装を進めます。具体的には、自社の所有システムからAPIを通じて、SMS認証サービスにSMS送信を指示する機能を開発し、そのシステムを実装します。
自社だけで開発・実装が難しい場合は、SMS認証サービスを専門に扱う業者にご相談ください。「電子印鑑GMOサイン」でも、SMS認証のご相談を承っています。
試用・テストを行う
開発・実装した連携機能のテストを行います。自社のサービスと連携できているか、SMSがしっかりと送信されているかなどを確認します。
この時、SMSが利用者に適切なタイミングで届いているか、コード入力後の処理がスムーズに実行できているか、といったユーザビリティにも意識を向けましょう。
運用を開始する
テストが無事完了したら、実際に運用を開始します。導入後は定期的にシステムのメンテナンスを行い、問題が出ていないか引き続き確認することが重要です。
SMS認証サービスの選び方
SMS認証サービスと言っても、その種類は多岐にわたります。状況や目的に合わせてサービスを選定する必要があり、その際に重要となるのが以下のポイントです。
- API連携に対応しているか
- 国内直収サービスか
- 遅延対策に向いているか
- 対応しているキャリア数は多いか
各ポイントを1つずつ解説します。
API連携に対応しているか
SMS認証を利用する上では、API連携機能が必須となります。APIを通じて自社の基幹システムから認証コードの送信指示を行うため、自社システムとの相性、APIのドキュメンテーションが充実しているかなどを確認しましょう。
国内直収サービスか
国内携帯キャリアと連携を図るために、国内直収サービスかどうかも重要となります。国内直収サービスとは、国内携帯キャリアと直接接続してメッセージを配信するサービスのことです。
国内直収サービスであれば、送信速度の安定や確実な配信が可能となります。一方で、該当していない場合は、スパムメッセージとしてブロックされる可能性があるため注意が必要です。
遅延対策に向いているか
サービスを選ぶ際は、遅延対策に向いているかも確認しましょう。SMSの送信量が多いと遅延を起こす可能性があり、この遅延を発生させないためにも、サービスが遅延対策に向いているかが重要となります。
具体的な遅延対策としては、高送信量でもスムーズにSMSが配信されるよう、サーバーの負荷分散やリトライ機能などがこれに該当します。
対応しているキャリア数は多いか
効率的にSMS認証を実施するためにも、対応しているキャリア数がポイントとなります。対応キャリアが多いことで、より多くのユーザーに対応でき、サービスの利用範囲を広げることが可能です。
携帯の大手3キャリアに対応しているのはもちろんのこと、格安SIMに対応しているか、新たに登場するキャリアに迅速に対応できるか、などがサービスを選ぶ上で重要となります。
SMS認証サービスの活用事例・提供事例
最後に、SMS認証サービスの活用事例と提供事例を1つずつ紹介します。実施の事例を知ることで、SMS認証サービスの利便性や有効性の知識が深まり、活用方法を明確にイメージできるようになります。
活用事例:三井住友銀行
三井住友銀行は、SMS認証サービスを積極的に取り入れています。インターネットバンキング「SMBCダイレクト」での一部利用において、普段の利用環境と異なる場合等に追加認証が求められるケースがあります。
その際の本人確認手段として、SMS認証が採用されているのです。これにより、SMBCダイレクトのセキュリティ対策が強化されています。
なお、SMBCダイレクトではSMS認証のほかに、自動音声による電話確認の手段も設けられています。2つの手段を設けることで、SMSを受信できないユーザーにもサービスの利用を促すことが可能です。
提供事例:電子印鑑GMOサイン
企業向けの電子契約サービスである「電子印鑑GMOサイン」は、電子契約書を送信する際に、アクセスコード(パスワード)を設定することができます。このアクセスコードは別途SMSやメッセンジャーツール、電話などで伝え、本人以外はそのアクセスコードを知りえない状況を作ります。
これにより、悪意のある不正アクセスを防止し、署名者が本人であるという証拠力を強化することが可能です。なお、このアクセスコードによるセキュリティ強化は、本サービスの標準機能として備わっており、追加費用なく利用できます。
まとめ
本記事では、SMS認証が注目される理由や仕組み、採用するメリット・デメリット、サービスの選び方を詳しく解説しました。
SMS認証は、Webサイトやアプリのセキュリティ対策を手軽に強化できるため、多くの企業がこのシステムを取り入れています。SMS認証サービスの導入方法は一見難しいように思えますが、主に4つのステップでサービスの導入が完了します。
ぜひ本記事で解説したサービスの選び方等を参考にし、Webサイトやアプリのセキュリティ対策を高めるために、SMS認証サービスの導入をご検討ください。
文責:GMOインターネットグループ株式会社