- ビジネスメール詐欺とはどんなサイバー攻撃?
- 具体的な手口や被害リスクについて知りたい
- 被害を受けた際の対処法や事前の対策方法を教えてほしい
このような疑問がある方もいるのではないでしょうか。ビジネスメール詐欺(BEC)とは、取引先企業や自社の経営陣になりすまして偽のビジネスメールを送信し、詐欺行為を行うサイバー攻撃のことです。
この詐欺行為を受けた場合、被害総額が数千万円から数億円にまで及ぶケースもあります。ビジネスメール詐欺による被害リスクを抑えたいなら、効果的なセキュリティ対策の実施が不可欠です。
本記事では、ビジネスメール詐欺の手口や被害事例、具体的な対処法から対策までを解説します。最後までご覧になれば、詐欺行為の詳細を深く理解でき、実施すべき対策内容を知ることができます。
目次
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- ビジネスメール詐欺(BEC)とは
- ビジネスメール詐欺が蔓延している背景
- ビジネスメール詐欺の具体的な手口
- 取引先に偽装する手口
- 実在する経営者層になりすます手口
- 盗んだ第三者のメールアドレスを悪用する手口
- ビジネスメール詐欺における被害リスク
- ビジネスメール詐欺の被害事例
- 人材育成サービスが詐欺師に約530万円の送金
- 格安航空大手に約240万円の詐欺未遂
- トヨタ紡織株式会社の子会社で最大40億円の詐欺被害
- ビジネスメール詐欺の被害に遭ったときの対処法
- 送金のキャンセル・組み戻し手続き
- 被害状況の把握・時系列記録や証跡の確保
- 取引先や関係者に連絡する
- ウイルスチェック・パスワードの変更
- 原因調査・社内への注意喚起
- ビジネスメール詐欺の被害に遭わないための対策
- 添付ファイルやリンクを不用意に開かないようにする
- 不審メールの共有体制を確立する
- メール以外でコミュニケーションを取る
- 従業員のリテラシーを向上させる
- セキュリティ対策ソフトを導入する
- 効果的なセキュリティ対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエがおすすめ
- まとめ
ビジネスメール詐欺(BEC)とは
ビジネスメール詐欺(BEC)とは、取引先企業や自社の経営陣になりすまして偽のビジネスメールを送信し、詐欺行為を行うサイバー攻撃のことです。この手口の特徴は本物のメールと見分けがつきにくい点にあり、その巧妙さから多くの企業が被害に遭っています。
警察庁の公式サイトでは、このビジネスメール詐欺を「海外の取引先や自社の経営者層等になりすまして、偽の電子メールを送って入金を促す詐欺のこと」と定義しています。ビジネスメール詐欺に対する注意喚起を行っており、企業はこのような詐欺行為に対して警戒を強めると同時に、十分なセキュリティ対策を施す必要があります。
ビジネスメール詐欺が蔓延している背景
現代では働き方の変革により、「Chatwork」や「Zoom」といったメール以外のコミュニケーションツールが普及しています。しかし、多くの企業でメールを用いたコミュニケーションが続いていることが、一般社団法人日本ビジネスメール協会による「ビジネスメール実態調査2023」で明らかになりました。
この調査では、仕事上のコミュニケーション手段においてメールの使用率は98.35%、1日平均で送信数が15.24通、受信数が49.97通という結果が出ました。この結果から、メール以外のコミュニケーションツールが普及した現代でも、多くの企業がメールでのコミュニケーションを継続していることがわかります。
このような背景から、メールというシステムは詐欺師たちにとって格好の標的になっているのです。
ビジネスメール詐欺の具体的な手口
ビジネスメール詐欺にはさまざまな手口が存在し、それぞれが大きな被害を引き起こしています。詐欺師たちは巧妙な方法で信頼を悪用し、企業から金銭を騙し取ろうとします。以下、ビジネスメール詐欺の具体的な手口を3つ紹介します。
- 取引先に偽装する手口
- 実在する経営者層になりすます手口
- 盗んだ第三者のメールアドレスを悪用する手口
各手口の詳細を順番に解説していきます。
取引先に偽装する手口
一般的な手口の1つに、取引先に偽装する方法があります。詐欺師は偽の取引先を装い、実際の取引条件と異なる指示を出して混乱を招きます。
「従来の口座が凍結された」など嘘の理由を説明し、メールで振込先口座の変更を指定するケースもあります。特に取引先のメールアドレスを模倣した詐欺行為は、簡単には見破ることができません。
実在する経営者層になりすます手口
経営者や上層部になりすまし、金銭を騙し取る手口もあります。経営者層を装うことで従業員の警戒心を緩め、急ぎの金銭移動を要求する点が特徴です。
「極秘の案件で急遽資金が必要になった」「緊急なので早めに送金してほしい」などと緊急性を煽り、攻撃者は従業員の正常な判断を奪います。
盗んだ第三者のメールアドレスを悪用する手口
サイバー攻撃により入手した第三者のメールアドレスを利用する手口も見られます。ハッキングなどの手段で正規のメールアドレスを入手し、そのアドレスから詐欺的な指示を出すのが特徴です。
具体的には「振込先口座が変更になりました」などのメールを送り、金銭を騙し取ろうとします。この手口は、正規のメールアドレスからの指示として信頼性を高める性質上、企業の従業員が警戒を緩めてしまうことに繋がります。
ビジネスメール詐欺における被害リスク
ビジネスメール詐欺は企業にとって深刻なリスクを与えます。最も顕著な被害リスクは、不正な取引や支払いによる直接的な金銭的損失です。
場合によっては、被害総額が数千万円から数億円にまで及ぶケースもあります。そのほか、以下のような被害リスクが考えられます。
▼ビジネスメール詐欺における主な被害リスク
- 法的責任:詐欺行為が原因で第三者に損害を与えた場合は企業が法的責任を問われる
- 信用の失墜:詐欺被害が公になると企業の信用やブランドイメージが損なわれる
- 従業員の士気低下:詐欺による金銭的損失やその後の対応により従業員の士気が低下する
ビジネスメール詐欺による被害が重なり、企業の経営が困難になるケースもあります。詐欺行為に対する警戒は単に金銭的損失を避けるためだけでなく、企業全体の健全性と信頼性を守るためにも極めて重要です。
ビジネスメール詐欺の被害事例
ビジネスメール詐欺の被害はさまざまな業界で発生しており、近年では特に大きな問題になっています。被害リスクや対策を深く知るためにも、過去の被害事例を理解することは大切です。以下、中でも有名な被害事例を3つ紹介します。
人材育成サービスが詐欺師に約530万円の送金
2022年11月、人材育成サービスを提供するウィルソン・ラーニングワールドワイドが、ビジネスメール詐欺の被害に遭ったと公表しました。子会社2社宛に支払いを要求する詐欺メールが同年9月に届き、メールの指示に基づき約530万円を送金しました。送金後にその指示が虚偽である可能性に気付き、専門機関などに事実関係の確認や相談を行っています。
格安航空大手に約240万円の詐欺未遂
格安航空大手のスカイマーク株式会社に、実在する取引先を装った詐欺メールが2016年6月と2017年10月の2回にわたって送られました。具体的には「振込先を変更した」というメール内容で、1回目は40万円を請求されて実際に従業員が振込を行っています。
しかし、すでに口座が凍結されており送金が完了しなかったため、詐欺行為による金銭的損害は被りませんでした。これを不審に思って取引先に確認してみたところ、詐欺という事実が発覚。
2回目の詐欺メールでは別の取引先を名乗っていましたが、1回目の詐欺メールで社内に注意喚起がされていたため、取引先にその旨を確認し、詐欺による被害を未然に防いでいます。
トヨタ紡織株式会社の子会社で最大40億円の詐欺被害
2019年9月、トヨタ紡織株式会社の子会社でヨーロッパ地域を統括するトヨタ紡織ヨーロッパが、最大40億円の詐欺被害が発生したことを公表しました。正規の取引先を装ったメールに応じて送金した後、それが虚偽の指示であることに気付いたとのことです。
メールの内容は「至急、取引を行わないと、トヨタ自動車の製造に遅れが生じる恐れがある」という緊急性を煽るものでした。同社は弁護士らによる対策チームを立ち上げ、現地の捜査機関に被害を申告しています。
ビジネスメール詐欺の被害に遭ったときの対処法
ビジネスメール詐欺に遭遇した際には、迅速かつ的確な対応が不可欠です。被害の拡大を防ぐためにも、状況に合った対処を迅速に行う必要があります。本項では、ビジネスメール詐欺の被害に遭った際の対処法を5つ解説します。
- 送金のキャンセル・組み戻し手続き
- 被害状況の把握・時系列記録や証跡の確保
- 取引先や関係者に連絡する
- ウイルスチェック・パスワードの変更
- 原因調査・社内への注意喚起
各対処法の詳細を1つずつ見ていきましょう。
送金のキャンセル・組み戻し手続き
送金後に詐欺だと気付いた場合、ただちに送金のキャンセルや組み戻し手続きを行いましょう。速やかに金融機関に連絡して状況を説明し、迅速な対応を依頼することが大切です。送金後の迅速な行動が被害の軽減に繋がるため、金融機関との連携は不可欠です。
被害状況の把握・時系列記録や証跡の確保
被害に遭遇した際は被害状況を正確に把握し、発生した経緯を時系列で記録することが大切です。この記録は、今後の対策や法的措置を講じる際の重要な資料となり得ます。
また、詐欺に利用されたメールや通信記録などの証拠を確実に保全することも、後の調査や法的な対応において非常に重要です。これらの記録は、詐欺行為の解明や加害者の特定に役立ちます。
取引先や関係者に連絡する
ビジネスメール詐欺に利用された取引先や関係者への連絡は、被害の拡大を防ぐために不可欠です。詐欺の事実を速やかに伝え、情報の共有を行うことで、関係者間の信頼を守りつつ、さらなる被害を未然に防ぐことに寄与します。
また、取引先や関係者への連絡により、詐欺行為の詳細が明らかになる可能性も高まります。取引関係によっては連絡しづらい場合もありますが、被害拡大を防ぐために早急に連絡を取りましょう。
ウイルスチェック・パスワードの変更
ウイルスチェックを実施し、その上でパスワードの変更を行うことも重要です。なぜなら、ビジネスメール詐欺による被害の一環として、マルウェア感染のリスクがあるためです。詐欺メールの受信後は速やかにウイルスチェックを行い、システムの安全性を確保するよう徹底しましょう。
また、関連する全てのアカウントのパスワードを変更し、セキュリティを強化することもポイントです。パスワードを変更する際は、以下のような複雑なものが推奨されます。
▼複雑なパスワードの一例
- 文字数は最低12文字以上
- 大文字、小文字、数字、特殊文字を組み合わせる
- 一般的ではない単語やフレーズを使用する
複雑なパスワードを設定することで、ビジネスメール詐欺以外のサイバー攻撃の被害も軽減できます。
原因調査・社内への注意喚起
ビジネスメール詐欺が発生した原因を徹底的に調査し、同様の事件の再発を防ぐための対策を講じましょう。原因の究明は、今後のセキュリティ対策を効果的に進める上で不可欠です。
また、詐欺の手口や発生した事例を社内で共有することで、従業員のセキュリティリテラシーの向上に繋がります。これにより、従業員一人ひとりがリスクを認識し、警戒することが可能になります。
ビジネスメール詐欺の被害に遭わないための対策
ビジネスメール詐欺の被害を未然に防ぐためには、多角的な予防策が必要です。詐欺メールは巧妙に作成されていることが多く、気付かぬうちに被害に遭うケースがほとんどです。ここでは、被害を最小限に抑えるための具体的な対策を5つ紹介します。
- 添付ファイルやリンクを不用意に開かないようにする
- 不審メールの共有体制を確立する
- メール以外でコミュニケーションを取る
- 従業員のリテラシーを向上させる
- セキュリティ対策ソフトを導入する
企業における詐欺被害を最小限に抑えたい方は、以下の対策の実施をご検討ください。
添付ファイルやリンクを不用意に開かないようにする
未知の送信者からの添付ファイルやリンクは開かないようにしましょう。これらは、マルウェア感染や情報漏洩の原因となり得るため、不用意に開かず、削除することが大切です。
また、詐欺メールには特定の特徴が見られることが多いため、不自然な言い回しや、急を要する内容には特に警戒が必要です。疑わしい場合は、別の方法で送信者の真意を確認しましょう。
不審メールの共有体制を確立する
社内で不審なメールを共有し、情報の共有体制を確立することが重要です。これにより、同じ詐欺メールによる被害を防ぐことが可能になります。
従業員間での情報共有は、セキュリティ意識の向上にも繋がります。また、社内で定期的にセキュリティ研修を行うことで、従業員が最新の詐欺手口に対して警戒できるようになります。
メール以外でコミュニケーションを取る
重要な取引や指示に関しては、メール以外の手段で確認を取るよう徹底しましょう。以下のような方法でコミュニケーションを取ることで、詐欺のリスクを大幅に減らすことができます。
▼メール以外に推奨されるコミュニケーションの一例
- 電話
- FAX
- ビジネスチャット
- 対面
例えば、メールでの指示に従う前に直接電話をかける、もしくは対面で確認を取ることが効果的です。その際は名刺やアドレス帳など、信頼できる情報源から連絡を取るようにしましょう。
従業員のリテラシーを向上させる
従業員のリテラシー向上のため、ビジネスメール詐欺の手口や対策に関する研修を実施することが大切です。これにより、従業員が詐欺のリスクを認識し、適切な対応ができるようになります。
研修では一般的な詐欺の手口や見分け方、迅速に対応する方法を具体的に学べる体制を整えましょう。定期的な研修を行うことで、従業員のセキュリティ意識を継続的に高めることができます。
セキュリティ対策ソフトを導入する
セキュリティ対策ソフトの導入は、メールの安全性を高める有効な手段です。不審なメールを自動的にフィルタリングし、社内のセキュリティを強化することが可能になります。
特に、フィッシングメールやマルウェアを含むメールを効果的に遮断できるソフトウェアを選ぶことが肝心です。また、セキュリティ対策ソフトの導入は、以下のようなサイバー攻撃に対しても有効です。
▼被害を軽減できる主なサイバー攻撃
- 中間者攻撃(MitM攻撃)
- ゼロデイ攻撃
- サプライチェーン攻撃
- SQLインジェクション
企業としての安全性を継続的に高めたい場合は、信頼性の高い対策ソフトを導入するようにしましょう。
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画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
ビジネスメール詐欺の被害を抑えるためには、強固なセキュリティ対策が不可欠です。その点で、あらゆるサイバー攻撃に有効な「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への依頼がおすすめです。
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まとめ
本記事では、ビジネスメール詐欺の手口や被害事例、効果的な対処法から対策までを解説しました。
「Chatwork」や「Zoom」といったメール以外のコミュニケーションツールが普及している現代でも、ビジネスメールをターゲットにした詐欺行為は蔓延しています。ビジネスメール詐欺の被害を受けた場合、数千万円から数億円までの甚大な被害に及ぶケースもあります。
ビジネスメール詐欺を含めたサイバー攻撃の被害を軽減するためには、企業の状況に合ったセキュリティ対策が不可欠です。自社のセキュリティリスクを特定し、効果的な対策を図りたい方は「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への依頼を検討してみてください。世界No.1のホワイトハッカーによる最高品質のセキュリティソリューションをご提供いたします。
文責:GMOインターネットグループ株式会社