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多層防御とは?多重防御との違いや仕組み、メリット・デメリットを解説

「多層防御とは何か?」「どのように構築すれば良いのか」といった疑問がある方も多いのではないでしょうか。

多層防御とは、複数のセキュリティ対策を組み合わせて、システムを多層的に防御する手法のことです。

入口対策から内部対策、出口対策まで、多層にわたるセキュリティ対策を組み合わせることで、マルウェア感染や不正アクセスなど、さまざまなサイバー攻撃のリスクを軽減します。

一方で、導入コストや運用負荷の増大といったデメリットにも注意が必要です。

この記事では、多層防御の基本的な仕組みやメリット・デメリット、構築する際のポイントについて詳しく解説します。

目次

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  1. 多層防御とは
  2. 多重防御との違い
  3. 多層防御の仕組み
  4. 入口対策
  5. 内部対策
  6. 出口対策
  7. 多層防御が必要とされる背景
  8. 多層防御のメリット
  9. 最新のマルウェアに効果がある
  10. 不正アクセスを即座に検知できる
  11. システム構築の可視化が可能
  12. 多層防御のデメリット・注意点
  13. 管理コストがかかる
  14. 管理が従来よりも複雑になる
  15. 多層防御システムを構築する際のポイント
  16. 必要なセキュリティ対策を把握する
  17. OSやソフトウェアの更新を習慣化する
  18. 標的型攻撃を想定した訓練を定期的に行う
  19. GMOサイバーセキュリティ byイエラエが多層防御システムの構築をサポート
  20. まとめ

多層防御とは

多層防御とは、複数のセキュリティ対策を組み合わせて、システムを多層的に防御する手法のことです。

単一の対策だけでは防ぎきれない高度な攻撃に対し、多層防御は効果的な対策となり得ます。

ファイアウォールや暗号化、アクセス制御、多要素認証など、異なる防御メカニズムを組み合わせることで、システムの脆弱性を突かれるリスクを最小限に抑えられるのです。

多層防御の考え方は、ゼロトラスト・セキュリティモデルとも親和性が高いといえます。

ゼロトラストは、その言葉通り「何に対しても信頼しない」という前提に立ち、あらゆるアクセスを常に検証します。

全てのアクセスを疑い、多角的にセキュリティ対策を行うゼロトラストと多層防御を組み合わせれば、より強固なセキュリティ基盤を構築できるでしょう。

ゼロトラストの詳細については以下の記事をご確認ください。

【関連記事】ゼロトラストとは|その意味やセキュリティ対策のポイントをわかりやすく説明

多重防御との違い

多重防御は、システムの入口を守ることを重視したセキュリティ方法です。

外部からの侵入を防ぐために、ファイアウォールやIDSなどを多段に配置し、入口での防御を強化するのが特徴です。

一方、多層防御は入口を守りきれなかった場合も想定して、内部や出口での防御も重視しています。

つまり、多重防御が入口を固めることに重きを置いているのに対し、多層防御は入口だけでなく、内部と出口での対策も講じることで、より包括的な防御体制を実現します。

多層防御の仕組み

多層防御は、入口対策、内部対策、出口対策の3つの層で構成されています。以下、それぞれの対策について詳しく解説していきます。

入口対策

入口対策は、外部からの不正アクセスを防ぐための対策です。

ウイルス対策ソフトやファイアウォールを設置し、許可されたトラフィックのみを通過させることで、不正な通信を遮断します。

また、併せてIDS/IPSを導入すれば、ファイアウォールでは検知が困難な通信も認識でき、外部からの盗聴や改ざんをより効果的に防げます。

入口対策は多層防御の最前線として、外部脅威から内部ネットワークを守る重要な役割を担っているのです。

内部対策

内部対策は、内部ネットワークでの不正行為を検知・防止するための対策です。

主な対策内容としては、アンチウイルスソフトやログ監視システムを導入し、マルウェアの侵入や感染を防ぐことが基本となります。

ログを監視することで、不審なアクセスや通信を早期に検知できるようになるため、不正行為の迅速な対応に繋がります。

出口対策

出口対策は、内部から外部への不正な通信を検知・遮断するための対策です。

サンドボックスやWAFの導入、プロキシサーバーを用いた不審な通信のブロックなどが出口対策として挙げられます。

出口対策は、内部の情報資産を守り、情報漏洩を防ぐ上で欠かせない防御線といえます。

多層防御が必要とされる背景

近年、サイバー攻撃は増加傾向にあるだけでなく、その手口は高度化・巧妙化の一途をたどっています。

サイバー攻撃の手口が年々進化する昨今では、単一のセキュリティ対策では防ぎきれない脅威が増加しているのです。

特に、特定の組織を狙った標的型攻撃は、ビジネスを手掛ける企業にとって大きな脅威となっています。

こうした攻撃は、事前の入念な調査に基づいて綿密に計画され、複数の手法を組み合わせて実行されるため、従来の対策では検知が難しいのが実情です。

さらに、脆弱性を突くような未知の攻撃も登場しており、シグネチャベースのセキュリティ対策だけでは限界があるといえるでしょう。

こうした高度な脅威に対抗するための有効な手段として、多層防御が注目を集めています。

多層防御は、複数のセキュリティ対策を組み合わせることで、単一の対策では防げない攻撃を多層的に防御するアプローチです。

ネットワークの入口から内部、出口まで、さまざまな層で脅威を検知・遮断することにより、システム全体の防御力を高め、それらの攻撃のリスクを最小限にとどめることができるのです。

【関連記事】サイバー攻撃とは?手口の種類や事例、最近の動向と対策を詳しく紹介

多層防御のメリット

多層防御を導入することで、企業にとってさまざまなメリットが見込めます。ここでは、多層防御の主要なメリットを3つ紹介します。

最新のマルウェアに効果がある

多層防御では、異なる特徴を持つセキュリティ対策を組み合わせるため、最新のマルウェアにも効果を発揮します。

単一の対策では検知できないような未知の脅威も、複数の対策を組み合わせることで見逃しにくくなるのです。

例えば、シグネチャベースのアンチウイルスでは検知できない亜種のマルウェアも、振る舞い検知や機械学習を用いたEDRなら発見できる可能性が高まります。

マルウェアのリスクを軽減できるのは、企業の情報資産を守る上で非常に大きなメリットといえます。EDRの詳細については以下の記事をご確認ください。

【関連記事】EDRとは?EPPとの違いや機能・製品選びのポイントをわかりやすく解説

不正アクセスを即座に検知できる

多層防御を導入すれば、ネットワークの入口から出口まで、さまざまな箇所で不正アクセスを常時監視できます。

ファイアウォールやIDS/IPSによる通信の監視、エンドポイントでのログ分析など、多層的な監視体制を敷くことで、不審な通信を即座に検知し、被害を最小限に抑えることが可能です。

万が一、1つの対策をすり抜けられても、別の層で不正アクセスを検知・遮断できる可能性が高いため、システム全体の安全性が大きく向上します。

システム構築の可視化が可能

システム構築を可視化できる点も多層防御のメリットの1つです。

各層でどのような対策を講じているのか、それぞれの対策がどのように連携しているのかが明確になるため、システム全体の脆弱性や改善点が見えてきます。

可視化された情報を基に、PDCAサイクルを回してセキュリティ対策を継続的に改善していくことが可能となるのです。

多層防御はセキュリティ対策の可視化を通じて、より柔軟で効果的なシステム構築を実現する手法といえるでしょう。

多層防御のデメリット・注意点

多層防御にはメリットが多い一方で、いくつかのデメリットや注意点もあります。多層防御を導入する前に、デメリットや注意点についても理解を深めておきましょう。

管理コストがかかる

多層防御を導入する1つ目のデメリットは、管理コストが増大する傾向にある点です。

ファイアウォールやIDS/IPS、EDRなど、各対策の導入にはライセンス費用がかかるほか、運用・保守のための人的コストも必要となります。

また、各対策を連携させるための設計・構築作業にも、一定の工数を要するでしょう。

多層防御の導入を検討する際は、コストに見合った効果が得られるかを慎重に見極める必要があります。

管理が従来よりも複雑になる

多層防御を導入すると、セキュリティ対策の管理が複雑になるというデメリットもあります。

複数のセキュリティ製品を組み合わせ、入口、内部、出口のそれぞれにおいて対策を講じるため、製品の設定や更新作業が増えるほか、大量のログをチェックする必要もあります。

運用担当者の管理負荷が高まる恐れがあるので、自動化やアウトソーシングの活用など、運用負荷の軽減対策を講じることも重要となるでしょう。

多層防御システムを構築する際のポイント

多層防御システムを構築する際は、以下のようなポイントを押さえることが大切です。

必要なセキュリティ対策を把握する

多層防御システムを構築する上で、自社に必要なセキュリティ対策を正しく把握することが何より重要です。

まずは、自社を取り巻く脅威を洗い出し、脅威モデルを作成することから始めましょう。その上でリスクアセスメントを行い、優先的に対策すべき脅威を特定します。

こうしたプロセスを経ることで、自社に適したセキュリティ対策を把握し、正しく選定できるようになります。

OSやソフトウェアの更新を習慣化する

多層防御では、OSやソフトウェアの脆弱性を狙った攻撃を防ぐことが肝要です。攻撃者は、既知の脆弱性を突くことで、システムへの侵入を試みようとするためです。

このことから、OSやソフトウェアのパッチ管理を徹底し、常に最新の状態に保つ習慣を身につける必要があります。

自動更新機能を活用するなどして、確実にアップデートを適用できる運用体制を整えましょう。

標的型攻撃を想定した訓練を定期的に行う

多層防御の実効性を高めるには、標的型攻撃への対策が欠かせません。

特に標的型攻撃メールへの対応は、従業員1人ひとりのセキュリティ意識に大きく左右されます。

怪しいメールの見分け方や、適切な対処法を身につけるため、標的型メールへの対応訓練など、実践的な教育を定期的に実施することが重要です。

標的型攻撃メールの被害事例については以下の記事で解説しています。

【関連記事】標的型攻撃メールの被害事例|手口の種類や最新事例・文面・見分け方を紹介

GMOサイバーセキュリティ byイエラエが多層防御システムの構築をサポート

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」は、脆弱性診断・ペネトレーションテストやSOCなど、多層防御の実現に不可欠なセキュリティソリューションを提供しています。

世界トップクラスのホワイトハッカー集団の知見を活かし、お客様のシステムに潜む脆弱性を洗い出し、リスクに応じた適切な対策を立案します。

24時間365日の監視体制を敷くSOCサービスでは、お客様のネットワークを常時監視し、不審な通信や攻撃の兆候をいち早く検知します。

インシデント発生時には、原因究明と被害範囲の特定、対処までをワンストップでサポートします。

当社の複数のサービスを組み合わせることで、入口対策から内部対策、出口対策までを網羅する、より強固な多層防御システムを構築できるでしょう。

高度化するサイバー脅威への対策に迷ったら、ぜひ「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」にご相談ください。

【関連記事】ホワイトハッカーとは|有能なホワイトハッカーが活躍するサービスを紹介

【関連記事】SOC(Security Operation Center)とは?主な業務内容や運用形態、構築する際のポイントを徹底解説

まとめ

この記事では、多層防御の基本的な仕組みやメリット・デメリット、構築する際のポイントについて解説しました。

多層防御は、入口対策から内部対策、出口対策まで、多層にわたるセキュリティ対策を組み合わせる防御手法です。

導入により、最新のマルウェアや不正アクセスへの対策を強化できる一方、コストや運用負荷の増大には注意が必要です。

多層防御の導入を検討する際は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のソリューションをぜひご活用ください。

入口対策から内部対策、出口対策までを網羅する強固なセキュリティ環境を構築できます。

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