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エクスプロイトキットとは?主な種類や攻撃の流れ、対策方法を解説

エクスプロイトキットとは、複数の脆弱性を突くツールを組み合わせたハッキングツールのことです。

このツールは主にブラウザやプラグインの脆弱性を標的とし、大量のマルウェアを配布する目的で使用されます。

ユーザーが気付かないうちにマルウェア感染や情報窃取などの被害が発生するため、ユーザーにとってエクスプロイトキットは大きな脅威といえるでしょう。

この記事では、エクスプロイトキットの仕組みや種類、攻撃の流れ、効果的な対策方法について解説します。

目次

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  1. エクスプロイトキットとは
  2. マルウェアとの違い
  3. エクスプロイトキットの仕組み
  4. エクスプロイトキットの種類
  5. Angler(アンギュラー)
  6. HanJuan(ハンジュアン)
  7. Rig(リグ)
  8. Magnitude(マグニチュード)
  9. Nuclear(ニュークリア)
  10. エクスプロイトキットによる攻撃の被害リスク
  11. エクスプロイトキットによる攻撃の流れ
  12. 拡散経路
  13. リダイレクト
  14. 脆弱性の利用
  15. 感染
  16. エクスプロイトキットによる攻撃の対策方法
  17. システムの脆弱性を減らす
  18. 不審なリンクやポップアップをクリックしない
  19. セキュリティ対策ソフトを導入する
  20. エクスプロイトキットの攻撃対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
  21. まとめ

エクスプロイトキットとは

エクスプロイトキットとは、脆弱性を悪用するツールを組み合わせたハッキングツールのことです。

サイバー攻撃者はエクスプロイトキットを使うことで、ソフトウェアやシステムの脆弱性を効率的に突き、マルウェアや不正プログラムを仕込むことが可能となります。

攻撃者にとって強力な武器である一方、防御側にとっては大きな脅威となっています。

【関連記事】サイバー攻撃とは?種類や被害事例、対策方法についてわかりやすく解説

マルウェアとの違い

マルウェアは、コンピュータやネットワークに損害を与えることを目的として作成された悪意のあるソフトウェアの総称です。

ウイルスやワーム、スパイウェアなどが代表的なマルウェアとして知られています。

一方、エクスプロイトキットはマルウェアそのものではなく、マルウェアに感染させるために使用されるツール群のパッケージです。

つまり、マルウェアが攻撃の目的であるのに対し、エクスプロイトキットは攻撃を実行するための手段といえます。

マルウェアの詳細については以下の記事で解説しています。

【関連記事】マルウェアとは?種類や感染経路、感染した場合の症状や対処法を解説

エクスプロイトキットの仕組み

エクスプロイトキットは、主にブラウザやプラグインの脆弱性を標的とし、大量のマルウェアを配布する目的で使用されます。

次のような仕組みで動作して、システムをマルウェアに感染させます。

▼エクスプロイトキットの動作の流れ

  1. 攻撃者がエクスプロイトキットをレンタルまたは購入する
  2. 攻撃者が不正なWebサイトを用意し、エクスプロイトキットを仕込む
  3. 攻撃者が何らかの方法でユーザーを不正なWebサイトに誘導する
  4. ユーザーのブラウザやプラグインの脆弱性を自動的にスキャンする
  5. 見つかった脆弱性を突いて、マルウェアをダウンロードさせる
  6. ユーザーのデバイスがマルウェアに感染し、攻撃者は目的を達成する

この一連の流れは自動的に行われ、ユーザーが気付かないうちに感染が広がります。

また、エクスプロイトキットは複数の脆弱性に対応しているため、攻撃の成功率が高いのも大きな特徴の1つです。

攻撃者は、脆弱性が公開されるとすぐにエクスプロイトキットのアップデートを行い、ゼロデイ攻撃などを積極的に仕掛けます。ゼロデイ攻撃の脅威は以下の記事で解説しています。

【関連記事】ゼロデイ攻撃とは?よくある攻撃手口と対処法、効果的な対策

エクスプロイトキットの種類

エクスプロイトキットには、Angler、HanJuan、Rig、Magnitude、Nuclearなど、さまざまな種類が存在します。

ここでは、それぞれの特徴や手口、リスクについて詳しく解説していきます。

Angler(アンギュラー)

Angler(アンギュラー)は、2015年から2016年にかけて猛威を振るったエクスプロイトキットです。

Flash PlayerやSilverlightの脆弱性を突くことで、ランサムウェアなどのマルウェアを感染させました。

特にAnglerを使った攻撃は、ユーザーが気付かないうちに感染が大きく広がるため、ユーザーにとって深刻な脅威となりました。

HanJuan(ハンジュアン)

HanJuan(ハンジュアン)は、2015年頃から活動が確認されているエクスプロイトキットです。

主にアジア地域で感染が広がっており、短縮URLと虚偽広告を使用した広告攻撃に利用されていました。

HanJuanの特徴は、Internet ExplorerやAdobe Flashの脆弱性を悪用することにあります。

Rig(リグ)

Rig(リグ)は、2014年に発見されたエクスプロイトキットであり、Adobe FlashやVBscriptの脆弱性を狙い、マルウェアの配布に利用されました。

Rigの手口は巧妙で、正規のWebサイトを改ざんし、不正なリダイレクトを仕込むことで感染を広げます。

これまでに多数のマルウェアやランサムウェアがこのRigによって拡散されました。

Magnitude(マグニチュード)

Magnitude(マグニチュード)は、Internet Explorerの脆弱性を標的としたエクスプロイトキットです。

2021年にエクスプロイトが追加され、主にアダルトサイトやストリーミングサイトなどの違法コンテンツを配信するサイトで感染が広がりました。

現在でも、Magnitudeを使ったエクスプロイトキットが攻撃者によって活用されています。

Nuclear(ニュークリア)

Nuclear(ニュークリア)は、古くから活動が確認されている古参のエクスプロイトキットです。

Adobe製品やInternet Explorerの脆弱性を突くことで、マルウェアの配布に利用されてきました。

Nuclearの特徴は、感染の成功率が高く、多様なマルウェアを配布できる点にあります。2016年頃までは、全Web攻撃の42%がNuclearによるものと報告されていました。

エクスプロイトキットによる攻撃の被害リスク

エクスプロイトキットによる攻撃は、個人だけでなく企業にも深刻な被害をもたらします。

攻撃者は、エクスプロイトキットを使ってマルウェアに感染させ、機密情報の窃取やシステムの破壊、身代金の要求などを行います。

エクスプロイトキットを使った攻撃による主な被害リスクは以下の通りです。

▼エクスプロイトキット攻撃の主な被害リスク

  • 個人情報や機密情報の窃取
  • ランサムウェアによるデータの暗号化と身代金要求
  • マルウェアによるオンラインバンキングの不正利用
  • DDoS攻撃の踏み台にされるリスク
  • 風評被害や信用失墜による業績悪化

これらの被害は、個人の財産やプライバシーを脅かすだけでなく、企業の経営基盤を揺るがしかねません。

エクスプロイトキットによる攻撃は、年々巧妙化・高度化していることから、常に最新の脅威に備えた対策が求められます。

【関連記事】企業が取り組むべきセキュリティ対策とは?重要性や対策内容を解説

エクスプロイトキットによる攻撃の流れ

エクスプロイトキットによる攻撃は、巧妙に仕組まれており、ユーザーが気付かないうちに感染が広がっていきます。

ここでは、その典型的な攻撃の流れを段階ごとに詳しく解説します。

拡散経路

攻撃者はまず、エクスプロイトキットの拡散経路を確保します。主な拡散経路は以下の通りです。

▼エクスプロイトキットの主な拡散経路

  • 改ざんされたWebサイト
  • 不正な広告
  • スパムメール

攻撃者はこれらの経路を巧みに組み合わせ、ユーザーを罠に誘導します。

リダイレクト

ユーザーが罠にはまると、エクスプロイトキットが仕込まれた不正なWebサイトにリダイレクトされます。

このリダイレクトは、複数回に渡って行われることもあり、ユーザーが気付きにくい点が特徴です。

不自然なリダイレクトが発生した場合、エクスプロイトキットによるものである可能性があるため、直ちに離脱しましょう。

脆弱性の利用

リダイレクト先のWebサイトでユーザーのシステムをスキャンし、攻撃者は脆弱性を探します。

発見された脆弱性は、速やかに悪用され、マルウェアの侵入口として利用されます。この際、ゼロデイ脆弱性など、未知の脆弱性が突かれることもあるため注意が必要です。

感染

脆弱性を突かれたシステムには、エクスプロイトキットからマルウェアがダウンロードされます。

マルウェアはユーザーの操作を必要とせず、自動的にインストールされるため、ユーザーが気付くことは困難です。

感染したマルウェアは、バックドアを設置したり、機密情報を窃取したりするなど、さまざまな悪意のある活動を開始します。

エクスプロイトキットによる攻撃の対策方法

エクスプロイトキットによる攻撃を防ぐためには、事前に効果的な対策を講じる必要があります。

以下、システムの脆弱性を減らし、マルウェアの感染を防ぐための対策を3つ紹介します。

システムの脆弱性を減らす

エクスプロイトキットは、システムの脆弱性を突いて感染を広げるため、脆弱性を減らすことが重要です。

OSやソフトウェアを常に最新の状態に保ち、セキュリティパッチを適用することが基本です。

また、使用しなくなったプラグインやアプリケーションは削除し、攻撃対象を減らすことも対策に含まれます。

ソフトウェアの更新時は、安全性を高めるためにも、必ず信頼できるソースから入手するようにしましょう。

不審なリンクやポップアップをクリックしない

エクスプロイトキットによるマルウェア感染を防ぐため、不審なリンクやポップアップはクリックしないようにしましょう。

例えば、メールに添付された心当たりのないファイルを開いたり、見知らぬWebサイトのリンクをクリックしたりする行為は非常に危険です。

また、突然表示されるポップアップ広告は、たとえ興味をそそる内容でも、安易にクリックしないことが重要です。

もしも不審なリンクをクリックしてしまった場合は、速やかにブラウザを閉じ、セキュリティ対策ソフトでスキャンを行いましょう。

セキュリティ対策ソフトを導入する

エクスプロイトキットによる攻撃を防ぐには、セキュリティ対策ソフトの導入が欠かせません。

アンチウイルスソフトやファイアウォールなどを組み合わせることで、多層的な防御が可能となります。

セキュリティ対策ソフトは、エクスプロイトキットの動作を検知し、マルウェアの侵入をブロックする役割を担います。

導入する際は、信頼できるベンダーの製品を選び、定義ファイルを常に最新の状態に保つことがポイントです。

エクスプロイトキットの攻撃対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ

GMOサイバーセキュリティ byイエラエのSOCサービス

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

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当社は、世界トップレベルのホワイトハッカー集団による脆弱性診断の知見を活かし、エクスプロイトキット対策に有効なサービスを多数提供しています。

特に24時間365日体制のSOC(Security Operation Center)による監視・分析は、エクスプロイトキットによる攻撃の兆候を早期に検知し、被害を未然に防ぐ上で効果的です。

エクスプロイトキットの脅威に立ち向かうためには、「攻め」の技術を「守り」に活用できる実践的なアプローチが求められます。

自社のセキュリティ体制に不安を感じている企業様は、ぜひ当社のサービス活用をご検討ください。

まとめ

この記事では、エクスプロイトキットの仕組みや種類、対策方法について詳しく解説しました。

エクスプロイトキットは、システムの脆弱性を自動的に突いてマルウェア感染を引き起こす悪意のあるハッキングツールです。

その被害は個人情報の窃取からランサムウェア感染、DDoS攻撃の踏み台にされるリスクなど多岐に渡り、個人や企業に深刻な影響を及ぼします。

この脅威を未然に防ぐためには、OSやソフトウェアの更新、不審なリンクのクリック防止、セキュリティ対策ソフトの導入など、多角的なアプローチが求められます。

高度なエクスプロイトキット対策を実現したい企業様は、ぜひ「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のサービス利用をご検討ください。

文責:GMOインターネットグループ株式会社

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