Webサイトに対して大量のリロードを繰り返し、サーバーを過負荷に追い込むF5アタック。
サイバー攻撃の中では軽視されがちな攻撃手法ですが、場合によっては大きな脅威となり得ます。
単にサービスが一時的に利用できなくなるという問題に加え、顧客満足度の低下やブランドイメージの損失といった深刻な被害を招く恐れがあるのです。
このF5アタックを未然に防ぐためには、仕組みや原因を理解した上で、複合的なセキュリティ対策を講じることが重要です。
本記事では、F5アタックが脅威である理由、主な被害リスクや効果的な対策について解説します。
目次
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F5アタック(リロード攻撃)とは
F5アタックとは、Webサイトに対して大量のリロード(再読み込み)を繰り返すことにより、サーバーに過負荷をかける攻撃のことです。
この名称は、主に「F5キーを連続して押すこと」に由来しており、その操作が小規模ながらもサービスに大きな影響を与える可能性があります。
F5キーが押されるとサーバー側にサイトのリロードが要求されるため、攻撃者はこの現象を連続して起こし、サーバーに大きな負荷をかけるという仕組みです。
F5アタックはDoS攻撃の一種であり、サービスの中断を目的とするため、Webサイトの運営者は十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。
【関連記事】サイバー攻撃とは?種類や被害事例、対策方法についてわかりやすく解説
DoS攻撃とは
DoS攻撃とは、意図的にサーバーやネットワークリソースを過負荷状態にし、Webサイトのサービスを停止させるサイバー攻撃のことです。
攻撃者はサーバーに対して大量のリクエストを送信することで、サービスの提供を妨害します。
この攻撃を複数のデバイスから同時に行うことを「DDoS攻撃」と言い、さらに強力なサービス妨害を引き起こします。
DoS攻撃やDDoS攻撃はビジネスに甚大な損害を与える可能性があるため、適切な防御策の構築が不可欠です。
【関連記事】DDoS攻撃とは?主な種類と5つの対策方法を紹介
F5アタックが脅威である3つの理由
F5アタックは意外と軽視されがちな攻撃ですが、場合によっては大きな脅威となり得ます。以下、F5アタックが脅威である理由を3つ解説します。
- Webサイトにとって致命的なダメージとなる
- 誰でも容易に攻撃できる
- 大規模な攻撃は防ぐのが困難
各理由の詳細を1つずつ見ていきましょう。
Webサイトにとって致命的なダメージとなる
多量のリクエストによりサーバーが応答不能に陥り、正常なアクセスができなくなることがF5アタックの最も直接的な影響です。
サーバーのダウンはWebサイトの信頼性低下や経済的損失を引き起こし、特に商品を販売するECサイトなどでは、売上の損失にも繋がります。
また、長時間のサービス中断は顧客満足度の低下を招き、サイトの利用率低下に繋がる恐れも考えられます。
誰でも容易に攻撃できる
F5アタックの実行には特別なツールや知識は不要で、誰でも容易に攻撃できる点が脅威と言われる理由の1つです。
インターネットにアクセスできる任意の個人が意図的に、または無意識のうちに攻撃を実行できます。
特定のターゲットに対して、複数人でF5アタックが実施される場合もあります。
例えば、Webの掲示板で協力者を集め、単純な連携で大きな被害を引き起こすことも可能です。この場合、攻撃を予測して防ぐことは非常に困難です。
大規模な攻撃は防ぐのが困難
組織化された攻撃やボットを利用したF5アタックの場合、その防御はさらに困難になります。
大量の自動化されたアクセスは一般的なセキュリティ対策を容易に突破し、サーバーに過負荷をかけることが可能です。
このような大規模攻撃に対応するためには、WAFのような高度なセキュリティ対策が必要であり、継続的なセキュリティの更新と監視も求められます。
F5アタックによる主な被害リスク
F5アタックによる被害はWebサイトの可用性の低下に留まらず、さまざまな被害を招く恐れがあります。
このタイプの攻撃は、一見単純でも深刻な長期的影響を及ぼすこともあり、企業にとって無視できない脅威となっています。
▼F5アタックによる主な被害リスク
- サービスの中断による顧客満足度の低下
- 長時間のダウンタイムによる収益損失
- 攻撃対応に伴う運用コストの増加
- ブランドイメージの損失による長期的な信頼度低下
- セキュリティ強化に向けた追加投資の必要性
これらのリスクは、単にサービスが一時的に利用できなくなるという問題に加え、顧客満足度の低下やブランドイメージの損失といった深刻な結果を招きます。
攻撃が発生した際の迅速な対応とともに、予防策を事前に講じることが企業にとって非常に重要です。
セキュリティ対策への投資は、長期的な視点で見ると企業の資産を守るために不可欠なコストであると言えるでしょう。
F5アタックの被害事例
2010年、5万人規模の韓国ユーザーによって日本の大手掲示板にF5アタックが行われ、サーバー停止まで追い込まれるという被害が発生しました。
一部サーバーが故障する事態に陥ったほか、掲示板とは無関係の他のサーバーにまで被害が広がり、被害総額は約2億2,000万円にまで及びました。
なお、この攻撃によるサーバへのトラフィックは5Gbpsを上回っていたとされます。
また、過去には外部からの大規模なDDoS攻撃により、世界的シェアを誇るAWSのサーバーに過負荷がかかる事件も報告されています。
軽視されがちなF5アタックですが、大規模なものになると被害リスクも非常に大きくなるため注意が必要です。
F5アタックを防ぐための5つの対策
F5アタックからWebサービスを守るためには、複合的なセキュリティ対策が必要です。リスクの事前認識と対応計画の準備が攻撃防止に繋がります。
本項では、F5アタックを防ぐための効果的な対策を5つ紹介します。
- 同一IPからの機械的な再読み込みを遮断する
- ネットワークリソースを監視・検知する
- 全従業員にセキュリティリスクを周知する
- WAFを導入する
- セキュリティ対策ソフトを利用する
各対策の詳細を順番に解説していきます。
同一IPからの機械的な再読み込みを遮断する
アクセス制御を導入し、同一IPからの機械的な再読み込みを遮断することで、F5アタックへの効果的な対策が図れます。
特にIPアドレスベースでのフィルタリングは、不自然な頻度でのアクセスや特定のIPからの大量アクセスを制限する手段となります。
これにより、単一の攻撃者によるF5アタックを防ぐことが可能です。
また、特定のIPアドレスをブラックリスト化して保存しておけば、二次的な被害を防ぐことにも寄与します。
ネットワークリソースを監視・検知する
リアルタイムのトラフィック監視と異常検知システムの導入により、F5アタックを含む異常なトラフィックパターンを早期に特定することができます。
F5アタックが発生した場合でも迅速に対応し、被害の拡大を防ぐことが可能になります。この際、適時対応によりWebサービスの可用性を維持することが重要です。
また、システムの自動応答機能を利用して、攻撃検出時に即座に防御措置を講じたり、一定量以上のアクセスがあった際にアラートが出る仕組みを採用したりすることも効果的です。
全従業員にセキュリティリスクを周知する
従業員へのセキュリティ教育を定期的に実施し、セキュリティ意識の向上を図ることが、F5アタックを含むさまざまなサイバー攻撃を予防する上で重要です。
例えば、情報セキュリティポリシーの策定・共有、セキュリティ対応マニュアルの配布などがサイバー攻撃の予防に繋がります。
このような工夫により、セキュリティ意識の高い従業員を育てることで、不審な活動や攻撃の兆候を早期に識別し、組織全体で適切な対処を行うことが可能になります。
WAFを導入する
前述した通り、WAFを導入するのもF5アタック対策の1つです。WAFの導入は、F5アタックをはじめとするアプリケーションレベルでの防御策として効果が見込めます。
▼WAFの主な機能
- 通信監視・制御機能
- Cookie保護機能
- IPアドレス拒否機能
- ログ・レポート機能
WAFは特定の攻撃パターンや異常なアクセス試行をリアルタイムで検出し、遮断することが可能です。
また、WAFの設定を定期的に見直すことで、新たな脅威にも常に対応できるようになります。
セキュリティ対策ソフトを利用する
セキュリティ対策ソフトを利用すれば、F5アタックを含めた幅広いサイバー攻撃の対策を図れます。
多くの対策ソフトでは、マルウェアの検出や侵入防御機能などが提供されているため、企業のセキュリティ環境を高い水準で維持できます。
また、F5アタックなどの攻撃を受けたとしても、多くはリアルタイムでの監視と即時の警告機能も備えているので、迅速に対応することが可能になります。
より効果が見込める対策を図りたい方は、信頼できるベンダーが提供する対策ソフトを導入するようにしましょう。
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画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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高いセキュリティ水準を長期的に維持したい方は、本サービスの利用を検討してみてください。
まとめ
本記事では、F5アタックが脅威である理由、主な被害リスクや効果的な対策について解説しました。
F5アタックは軽視されがちなサイバー攻撃ですが、誰でも容易に攻撃できる、大規模な攻撃は防ぐのが困難などの理由から、Webサイトを運営する企業にとって脅威となる可能性があります。
F5アタックを含めたサイバー攻撃を未然に防ぐためには、複合的なセキュリティ対策を講じる必要があります。
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