PoD(Ping of Death)攻撃とは、最大許容サイズを超えるパケットを送信して、デバイスをフリーズまたはクラッシュさせるサイバー攻撃のことです。この攻撃を受けると、以下のような被害が生じる可能性があります。
- Webサイトのサーバーダウン
- 顧客からの信頼性低下
- サービス停止による金銭的被害
これらの被害を受けないためには、PoD攻撃に対する効果的な対策が求められます。そこで今回は、PoD攻撃の仕組みや被害リスク、効果的な対策方法について解説します。
目次
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PoD(Ping of Death)攻撃とは
PoD(Ping of Death)攻撃とは、最大許容サイズを超えるパケットを送信して、デバイスをフリーズまたはクラッシュさせるサイバー攻撃のことです。この攻撃は、DDoS(分散型サービス妨害)攻撃の1種に該当します。
ターゲットのシステムに対し、攻撃者は正常な通信の範囲を超える膨大なデータパケットを送り込むことで、システムの処理能力を超過させることを狙います。この結果、システムは正常に機能しなくなり、サービスの中断やシステムの損傷を引き起こします。
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DDoS攻撃とは
DDoS(Distributed Denial of Service attack)攻撃とは、複数のデバイスから同時に大量のアクセスを送信して、ターゲットのサーバーを過負荷状態に追い込むサイバー攻撃のことです。この攻撃は、Webサイトやオンラインサービスの正常な機能を停止させることを目的としています。
特定の脆弱性が狙われることで、Webサイトのサーバーダウンや信頼性の低下など、さまざまな被害リスクが生じます。
▼DDoS攻撃の主な種類
- ACKフラッド攻撃:大量のACKパケットを送信する攻撃
- DNSフラッド攻撃:大量のDNSリクエストを送信する攻撃
- UDPフラッド攻撃:大量の不正UDPパケットを送信する攻撃
- SYNフラッド攻撃:大量のSYNパケットを送信する攻撃
- Slow HTTP DoS Attack:HTTPプロトコルを使い通信速度を低下させる攻撃
DDoS攻撃の脅威は増加しており、PoD攻撃を含むさまざまな手法が用いられています。これらの攻撃から企業のシステムを守るためには、適切なセキュリティ対策と継続的な監視を行う必要があります。
【関連記事】DDoS攻撃とは?主な種類と5つの対策方法を紹介
PoD(Ping of Death)攻撃の仕組み
PoD攻撃の仕組みは、複雑かつ悪質な手法を用いて、ターゲットとなるシステムの脆弱性を突くことにあります。以下、PoD攻撃の基本的なプロセスを解説します。
- 悪意のある攻撃者が大きなパケットをターゲットのデバイスに送信する
- 送信されたパケットはネットワーク上で複数のセグメントに分割される
- それぞれのセグメントはネットワークの最大許容サイズ未満である
- ターゲットのデバイスが元のサイズに戻そうとする際、最大許容サイズを超えてバッファオーバーフローが発生する
- ターゲットのデバイスはフリーズしたり、最悪の場合はクラッシュしたりする
この攻撃はデバイスやネットワークシステムの脆弱性を悪用するものであり、効果的に防ぐためには、セキュリティ対策の強化が求められます。システム管理者は定期的なセキュリティチェックとアップデートを行い、このような攻撃からシステムを保護する必要があります。
PoD(Ping of Death)攻撃の目的
PoD攻撃は、デバイスをダウンさせる目的を持ったサイバー攻撃です。この攻撃によって直接的にデータを盗んだり、改ざんしたりすることはできません。しかし、その影響は深刻で、多くの場合、以下のような目的で攻撃が実施されます。
▼PoD攻撃の主な目的
- 単純な嫌がらせ
- 金銭の要求や脅迫
- 抗議活動
- 競合他社からの妨害
- 目を逸らせるための陽動
例えば、競合他社からの妨害を目的とするPoD攻撃では、サービスが一時的に停止することでビジネス上の利益に大きな損失が生じます。このようなPoD攻撃を受けた企業は、業務運営に支障をきたす可能性があり、場合によってはサービスの停止に追い込まれるケースもあります。
PoD(Ping of Death)攻撃の被害リスク
単純な嫌がらせなどでも利用されるPoD攻撃ですが、攻撃を受けた際のリスクは軽視できません。具体的には、以下のような被害が生じる可能性があります。
- Webサイトのサーバーダウン
- 顧客からの信頼性低下
- サービス停止による金銭的被害
これらの被害リスクは、企業の業務や信頼性に対して直接的かつ間接的な悪影響を及ぼし、ビジネスの継続性に大きな影響を与えるものです。以下、それぞれの被害リスクを解説します。
Webサイトのサーバーダウン
PoD攻撃により大量のアクセスが送信されると、Webサイトのサーバーがダウンする可能性があります。業務に重要なWebサイトが停止した場合、ビジネスに対する悪影響が大きくなります。
一度サーバーがダウンすると、復旧作業に時間とコストが必要になるため、企業の財務状況にも影響を与えかねません。
顧客からの信頼性低下
PoD攻撃によるサービスの中断は、顧客からの信頼性の低下に繋がります。特にオンラインビジネスや情報提供サービスを運営している企業にとって、信頼の損失は非常に大きな問題です。
顧客離れや新規顧客の獲得率低下を招くだけでなく、ビジネスの継続性や成長にも悪影響を及ぼします。信頼性の低下は、長期的に企業の評価や市場でのポジションにも影響し、その回復には時間と労力が必要となります。
サービス停止による金銭的被害
サービスの中断や停止により、企業に直接的な収益損失をもたらす場合があります。特にECサイトなどの商品を販売するサービスを提供している場合、停止中は収益が見込めなくなるため、サービスの停止は収入減少に直結します。
長期間のサービス停止はビジネスにおいて致命的であり、金銭的被害の影響で市場からの撤退を余儀なくされるケースもあります。
PoD(Ping of Death)攻撃の対策
PoDの脅威を防ぐためには、事前の効果的な対策が求められます。主な対策方法として、以下の5つを紹介します。
- OS・ソフトウェアを最新の状態に保つ
- 最大パケットサイズ超過を確認する
- WAFを採用する
- ネットワーク機器の設定を見直す
- PoD対策ソフトを導入する
各対策について順番に見ていきましょう。
OS・ソフトウェアを最新の状態に保つ
システムやアプリケーションのセキュリティを確保するため、OSやソフトウェアは常に最新の状態に更新し続けることが大切です。セキュリティパッチの適用は新たな脆弱性に対応し、攻撃者による悪用を防ぎます。更新プログラムの確認とインストールは定期的に行い、システムの安全性を継続して保ちましょう。
最大パケットサイズ超過を確認する
PoD攻撃は通常サイズを超えるパケットを利用する攻撃であることから、ネットワーク上で最大パケットサイズを超過する通信を検知し、即座に対応する方法が有効です。
再アセンブリプロセスにおけるチェックを強化し、パケットの再組み合わせ後のサイズが最大許容値を超えないよう調整することが対策の1つとなります。この手法により、不正なパケットを早期に検出し、システムへの影響を効果的に防ぐことが可能です。
WAFを採用する
WAF(Web Application Firewall)の採用は、Webアプリケーションのセキュリティを大幅に強化します。WAFは不正な通信を検出するファイアウォールであり、事前にアクセスをブロックすることでWebアプリケーションの攻撃を未然に防ぎます。
特にPoD攻撃のようなネットワーク層での攻撃を検出し、対策する場合にWAFの利用は効果的です。Webアプリケーションの脆弱性をカバーし、安全なサービス環境を構築するために導入は不可欠です。
ネットワーク機器の設定を見直す
ネットワーク機器の設定の見直しはセキュリティの強化に役立ちます。不正なパケットをフィルタリングするよう設定すれば、PoD攻撃を効果的に防止できます。
外部からの不審なトラフィックの検出や遮断には特に有効です。ネットワークの安全性を継続して保つためには、定期的なセキュリティチェックとアップデートが求められます。
PoD対策ソフトを導入する
PoD攻撃に特化したセキュリティ対策ソフトの導入は、攻撃の自動検出と迅速な対応を可能にします。異常なトラフィックパターンやサイズを超えるパケットを検出し、警告を発することで、PoD攻撃の危険を事前に把握することが可能です。
▼PoD対策ソフトの主な機能
- トラフィック分析
- 不正トラフィックのフィルタリング
- キャパシティ増強
攻撃が発生した際には自動的に対応措置を講じることができ、システムのダウンタイムを最小限に抑えられます。他のセキュリティシステムと連携すれば、全体的なセキュリティ体制の強化が見込めます。
まとめ
本記事では、PoD攻撃の仕組みや被害リスク、効果的な対策方法について解説しました。
PoD攻撃はDDoS(分散型サービス妨害)攻撃の1種であり、Webサイトのサーバーダウンや顧客からの信頼性低下など、企業にとって深刻なリスクを招きます。どちらかと言えば古いサイバー攻撃であり、オリジナルのPoD攻撃はほとんど存在しませんが、企業の安全性を保つ上では事前の対策が必要です。
文責:GMOインターネットグループ株式会社