「仮想通貨(暗号資産)詐欺とは?」「仮想通貨詐欺にはどんな手口があるんだろう?」などの疑問を抱えている方もいるでしょう。仮想通貨詐欺は年々増加傾向にあり、消費者庁・金融庁・警察庁からも詐欺に関して注意喚起されました。
仮想通貨詐欺を防ぐためには事前対策が重要であり、効果的な対処法を知っておけば、詐欺に遭ったとしても被害を最小限に抑えることが可能です。そこで今回は、仮想通貨詐欺の代表的な手口、効果的な対策や対処法を詳しく解説します。
目次
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- 仮想通貨(暗号資産)詐欺とは
- 仮想通貨詐欺が増加している理由
- 仮想通貨詐欺の代表的な手口
- ポンジ・スキーム
- フィッシング詐欺
- 偽サイトの設置
- 偽アプリの設置
- 市場のパンプ&ダンプ
- 景品詐欺
- 偽の有名人による推薦
- 恐喝・恐喝詐欺
- クラウドマイニング詐欺
- 虚偽のプレスリリース
- 不正なICO
- 仮想通貨詐欺の実例
- クローバーコイン事件
- マッチングアプリでの投資詐欺
- 仮想通貨詐欺に遭わないための対策
- ウォレットを適切に保護する
- 暗号資産アカウントを二要素認証に切り替える
- 知らない相手と仮想通貨の取引をしない
- コールドコールや誇大広告に注意する
- 仮想通貨詐欺に遭った場合の対処法
- 被害に関する詳細を書き出す
- クレジットカードや銀行口座を一時的に停止する
- 国の相談窓口に連絡する
- 警察に電話で相談する・最寄りの警察署に出向く
- まとめ
仮想通貨(暗号資産)詐欺とは
仮想通貨(暗号資産)詐欺とは、暗号資産を悪用した不正な取引や投資詐欺のことです。具体的には、偽のICO(新規仮想通貨公開)を利用した勧誘や、フィッシング攻撃によって個人のウォレット情報を盗む詐欺などがこれに該当します。
また、仮想通貨詐欺に関しては、消費者庁・金融庁・警察庁から公式PDFで注意喚起がされました。2017年9月29日に公表された「暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルにご注意ください!」では、「インターネットを通じて電子的に取引される、いわゆる『暗号資産(仮想通貨)』をめぐるトラブルが増加しています」という文言で始まり、主な相談事例や仮想通貨を利用する際の注意点が記載されています。
仮想通貨詐欺が増加している理由
近年、仮想通貨詐欺が増加している背景にはいくつかの理由があります。
▼仮想通貨詐欺が増加している主な理由
- 従来の株式市場と比べて投資家を保護する規制がほとんどない
- メディアが大々的に取り上げたことで詐欺を呼び込んだ
- フィッシング詐欺師の間で悪質な手口が共有されている
- SNS上で事実とフィクションが混合し、悪質な話が拡散されている
- 仮想通貨の価格が急上昇したことで、リテラシーの低い消費者が参入した
仮想通貨詐欺の代表的な手口
仮想通貨詐欺には複数の手口が存在します。この項目では、代表的な手口を11通り紹介します。
ポンジ・スキーム
ポンジ・スキームとは、「出資してもらった資金を運用して、その運用益を配当金として還元する」などと嘘をつき、多額のお金をだまし取る詐欺のことです。実際には運用を行わず、出資者から得たお金をそのまま支払いに回し、破綻することを前提にお金を騙し取ります。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は最もよく使われる詐欺手法の1つで、詐欺師が信頼できる企業などを装い、メールやSMSで個人情報を抜き取る詐欺です。仮想通貨詐欺においては、仮想通貨の交換所などの組織を装い、ウォレットのログイン情報やクレジットカード情報を求めてきます。
偽サイトの設置
詐欺師が偽のWebサイトを設置し、それが正規の取引所であるかのように見せる詐欺手法です。ユーザーがそれに気付かずログイン情報を入力したり、資金を入金したりしてしまうと、詐欺師にそれら情報や資金が抜き取られます。
偽アプリの設置
偽のWebサイトと同様に、偽のアプリを設置する詐欺手口も存在します。ユーザーが偽のアプリをダウンロードし、ログイン情報を入力すると、詐欺師はその情報を利用して金融資産を盗み取ります。また、デバイスにマルウェアを送り込むケースもあります。
市場のパンプ&ダンプ
市場のパンプ&ダンプ(Pump and dump)は、不正な情報操作により仮想通貨の価格を一時的に上昇させ(パンプ)、その後、大量に売り抜ける(ダンプ)という詐欺手法です。詐欺師は大量の仮想通貨を安価で購入し、価格が上昇したところで一気に売り抜けることで利益を得ます。
景品詐欺
景品詐欺は、メールやSNSで「指定されたアドレスに仮想通貨を送れば必ず儲かる」といった内容のメッセージを送り、金銭をだまし取る詐欺手法です。詐欺師は公式のメディアに偽装することが多く、ユーザーは公式と見分けがつかず、そのメッセージを信じて資金を送ってしまいます。
偽の有名人による推薦
有名人から仮想通貨を推薦されても簡単に信じてはいけません。詐欺師は有名人に偽装し、特定の仮想通貨やICOを推薦して、資産をだまし取ろうとする場合があります。有名人の名前を勝手に使用するだけでなく、有名人のアカウントを乗っ取って実行するケースもあるため注意が必要です。
恐喝・恐喝詐欺
恐喝・恐喝詐欺では、その名前の通り詐欺師がユーザーを脅迫し、仮想通貨の送金を要求してきます。例えば、アダルトサイトを利用したユーザーに対して、アクセス履歴を持っていると脅し、公表しない条件として仮想通貨の送金を求めるケースがあります。
クラウドマイニング詐欺
クラウドマイニング詐欺という手法もあります。クラウドマイニングとは、マイニングサービスを生業とする専門業者に資金を投資し、そのリターンとして報酬の一部を受け取る行為のことです。
投資の知識がなくても資金を運用できるのが利点ですが、多くの業者は実際にマイニングを行っておらず、その場合はリターンとして報酬を得ることができません。
虚偽のプレスリリース
詐欺師がジャーナリストを欺き、その情報を信じたジャーナリストが虚偽の情報を拡散することで詐欺が発生します。1度メディアが取り上げると情報は瞬く間に広がり、誤った情報に基づいて投資を行うユーザーが増えてしまいます。
不正なICO
ICOは「Initial Coin Offerings」の略称であり、これは企業や団体が独自の暗号資産トークンを発行して資金調達を行うことを指します。不正なICOでは、存在しない暗号資産トークンに対して資金調達を行い、集めた資金を詐欺師が横領するという手法が用いられます。
仮想通貨詐欺の実例
実際に、仮想通貨詐欺が行われた事例が過去に複数存在します。過去の事例を確認することで、仮想通貨詐欺の実態や危険度を深く理解できます。
クローバーコイン事件
48ホールディングス株式会社は、2015年12月頃から「クローバーコイン」と称する仮想通貨の販売を始めました。広く一般からクローバーコインの購入を募りましたが、取引所の許可を得られなかったという理由で、事業の遂行がされませんでした。
消費者庁によると、48ホールディングス株式会社は「1ヶ月後には10倍値上がりする」「買わなきゃ損をする」などと、虚偽の説明をして会員を集めていたとのことです。同社は2017年10月に、消費者庁から特定商取引法違反で取引停止命令を受けています。
業界紙によれば、取引停止命令の時点で会員は約3万5,000人いたとされています。
マッチングアプリでの投資詐欺
2022年5月19日、独立行政法人国民生活センターの公式サイトにて、マッチングアプリでの投資詐欺の概要が公開されました。その内容によると、マッチングアプリで知り合った人から暗号資産の投資サイトを勧められ、手数料を支払ったのにもかかわらず、出金ができないというものです。
この投資詐欺に関する相談は消費生活センター等に多数寄せられており、恋愛感情や消費者の心理につけ込んだ「ロマンス投資詐欺」と考えられています。
仮想通貨詐欺に遭わないための対策
仮想通貨詐欺に遭わないためには、事前に効果的な対策を講じることが重要です。以下では、被害に遭わないための対策を5つ紹介します。
- ウォレットを適切に保護する
- 暗号資産アカウントを二要素認証に切り替える
- 知らない相手と仮想通貨の取引をしない
- コールドコールや誇大広告に注意する
- セキュリティサービスで詐欺行為を未然に防止する
各対策を1つずつ見ていきましょう。
ウォレットを適切に保護する
仮想通貨の投資において、ウォレットの保護は不可欠です。ウォレットはパスワードや秘密鍵で厳重に管理されていますが、これらの情報を悪意のある第三者に教えた場合、簡単に資金を抜き取られてしまいます。
第三者がウォレットのパスワードや秘密鍵を尋ねてきた際は、詐欺である可能性が非常に高いため、仮に信頼性が高い相手でも絶対に教えてはいけません。
暗号資産アカウントを二要素認証に切り替える
セキュリティ対策を高めるために、暗号資産アカウントを二要素認証に切り替えるのも1つの手です。二要素認証とは、異なる2つの要素を用いてユーザー認証を行う仕組みのことです。
二要素認証に切り替えることで、悪意のある第三者にパスワードを知られたとしても、それだけではアカウントにログインできないため、資金を抜き取られるリスクを大幅に軽減できます。この二要素認証は多くのシステムで採用しているので、積極的に取り入れましょう。
知らない相手と仮想通貨の取引をしない
メールやSNSを介して、知らない相手と取引をする行為は非常に危険です。例えば、仮想通貨詐欺の1種であるフィッシング詐欺では、魅力的な謳い文句でユーザーを偽サイトに誘導し、個人情報や資金を盗み取ろうとします。
相手から送られてきた条件がいくら魅力的であっても、知らない相手からの取引提案は詐欺である可能性があるため、基本的に無視することをおすすめします。取引を行う場合は、相手の身元を必ず確認しましょう。
コールドコールや誇大広告に注意する
4つ目の対策は、コールドコールや誇大広告に注意することです。コールドコールとは、事前のアポイントなしに商品やサービスをアプローチする勧誘行為のことです。以下のような勧誘を受けた場合、詐欺を疑う必要があります。
▼仮想通貨詐欺を疑うべき主な勧誘
- 知らない相手から突然「絶対に儲かる仮想通貨に投資してみないか」と提案された
- Webサイトを閲覧していたら「数ヶ月で資産が10倍になる」などの広告が出た
これらのコールドコールや誇大広告は詐欺である可能性があるため、絶対に相手の提案に乗ってはいけません。
仮想通貨詐欺に遭った場合の対処法
仮想通貨詐欺に遭遇した場合、被害を広げないために早急に対処する必要があります。具体的な対処法として、以下4つの方法を紹介します。
- 被害に関する詳細を書き出す
- クレジットカードや銀行口座を一時的に停止する
- 国の相談窓口に連絡する
- 警察に電話で相談する・最寄りの警察署に出向く
具体的な手順とともに詳しく解説します。
被害に関する詳細を書き出す
まずは、詐欺行為と疑われる情報をすべて書き出します。詳細な情報を残しておくことで、その後の対処をスムーズに進めることができます。
▼被害に関する具体的な情報
- トランザクション(ブロックチェーン上の取引)ID
- 詐欺師とのコミュニケーション記録
- 詐欺行為に関連するWebサイトのURL
これらの情報は、被害届を警察に提出したり、訴訟を起こしたりする際に証拠として必要になります。そのため、可能な限り詳細に記録しておきましょう。
クレジットカードや銀行口座を一時的に停止する
仮想通貨詐欺の被害が広がる可能性がある場合、該当するクレジットカードや銀行口座の利用を一時的に停止しましょう。これにより、金銭的被害の拡大を防げます。
また、インターネットバンキングやショッピングサイトなど、金融取引に関連するアカウントのIDやパスワードの変更も推奨されます。
国の相談窓口に連絡する
国には仮想通貨被害に関する専門の相談窓口が設けられています。ここまでの対処法を講じたら、以下の相談窓口への連絡を検討しましょう。
▼国の相談窓口と電話番号
- 金融サービス利用者相談室 :0570−016811
- 消費者ホットライン:局番なしの188
専門の相談員が具体的な対処法や、引き続き取るべき行動について適切なアドバイスを提供してくれます。
警察に電話で相談する・最寄りの警察署に出向く
事件性がある場合は、警察に電話で相談する、もしくは最寄りの警察署に出向きましょう。困った時の相談窓口として、警察相談専用電話(#9110)が設置されています。
または直接最寄りの警察署に出向き、詳細な被害状況を報告するのも有効です。書き記した情報を準備し、詐欺事件として警察に相談してみてください。
まとめ
本記事では、仮想通貨詐欺の代表的な手口、効果的な対策や対処法を解説しました。
仮想通貨詐欺には多種多様な手法があり、被害事例も多数あがっているため、仮想通貨に関わっている方もそうでない方も、日頃から詐欺のリスクに注意する必要があります。サイバー攻撃とともに実行されるケースも多いことから、セキュリティ対策の強化も事前対策として有効です。
文責:GMOインターネットグループ株式会社