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デジタルフォレンジックとは?実行する目的と重要ポイントを解説

「デジタルフォレンジックって何?」「調査の目的や重要ポイントとは?」などの疑問がある方もいるのではないでしょうか。

デジタルフォレンジックとは、コンピュータやネットワークに関する犯罪や事件を調査・解析する技術のことです。

サイバー攻撃や情報漏洩などのインシデントが発生した際、被害状況の把握や原因究明に不可欠な役割を果たします。

この記事では、デジタルフォレンジックの概要や調査の目的、重要ポイント、調査の流れについて解説します。

目次

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  1. デジタルフォレンジックとは
  2. デジタルフォレンジック調査の目的
  3. サイバー攻撃の被害状況の把握
  4. 被害発生時の原因究明
  5. 再発防止策の策定
  6. 法的措置・訴訟準備
  7. デジタルフォレンジック調査の種類
  8. マルウェア感染調査
  9. 従業員による情報持ち出しの調査
  10. Webサイトの改ざん調査
  11. デジタルフォレンジック調査で重要となるポイント
  12. 被害拡大防止のため迅速に対応する
  13. ログが流れる前に証拠保全を徹底する
  14. 根本的に原因を調査する
  15. デジタルフォレンジック調査の流れ
  16. インシデント発生時の状況を把握する
  17. データ収集・証拠保全作業を行う
  18. 保全したデータを調査・解析する
  19. 調査結果を関係者に報告する
  20. GMOサイバーセキュリティ byイエラエがデジタルフォレンジック調査をサポート
  21. まとめ

デジタルフォレンジックとは

デジタルフォレンジックとは、コンピュータやネットワークに関する犯罪や事件の調査・解析技術のことです。

この技術は、デジタル機器に残された証拠を収集し、サイバー攻撃やセキュリティの事実関係を明らかにするために活用されます。

近年のデジタル化の進展に伴い、サイバー犯罪や企業の内部不正などが増加傾向にあるため、デジタルフォレンジックの重要性が高まっているのです。

デジタルフォレンジックの重要性について、警察庁では以下のように説明されています。

電磁的記録は、犯罪捜査において重要な客観証拠となる場合がある一方で、消去、改変等が容易であるため、これを犯罪捜査に活用するためには、適正な手続きにより解析・証拠化することが重要です。

引用:デジタル・フォレンジック|警察庁

専門的な知識と技術を駆使して、ハードディスクやスマートフォン、ネットワーク機器などから、削除されたデータや隠されたファイルを復元し、分析します。

この過程で得られた証拠は、法的な手続きにも耐えうる信頼性の高いものとして扱われ、事件解決や訴訟に大きく貢献します。

デジタルフォレンジック調査の目的

デジタルフォレンジックの技術を用いて調査・分析することを、「デジタルフォレンジック調査」といいます。

この調査は、サイバー攻撃や情報漏洩など、多岐にわたる事案に対応するために行われます。

サイバー攻撃の被害状況の把握

サイバー攻撃によるシステムへの侵入や情報漏洩の被害状況を正確に把握することが、デジタルフォレンジック調査の目的の1つです。

具体的には、サイバー攻撃の種類や手口、影響範囲を特定します。

被害状況を把握することにより、法的措置への移行が可能になるだけでなく、関係者に対する適切な説明や情報開示にも役立ちます。

被害発生時の原因究明

システム障害やデータ改ざんなど、被害が発生した際の原因を究明することも、デジタルフォレンジックの重要な役割です。

原因を正確に特定することで、再発防止に向けた具体的な対策の立案が可能となります。

例えば、不正アクセスの痕跡を調査し、システムの脆弱性やセキュリティホールを特定します。

内部不正の可能性がある場合は、アクセスログなどの分析により、犯行の手口や関与者を特定することも可能です。

再発防止策の策定

デジタルフォレンジック調査の結果を基に、再発防止のための対策を策定します。

システムの脆弱性を洗い出し、環境や人員を適切に整えることにより、セキュリティ強化に繋げることが可能です。

▼再発防止策の一例

  • ファイアウォールの設定強化
  • 認証システムの改善
  • 内部統制の見直し

従業員の不正行為が判明した場合は、教育プログラムの強化などの人的対策も検討できます。

法的措置・訴訟準備

調査によって被害状況や原因が明確になれば、法的措置・訴訟準備をスムーズに進められます。

デジタルフォレンジック調査によって得られた情報は、法廷での重要な証拠となることから、訴訟に向けた証拠収集も重要な目的の1つといえるでしょう。

例えば、不正アクセスの痕跡やデータ改ざんの履歴など、デジタル証拠を適切に収集・保全することで、法的な対応が可能となります。

また、証拠の信頼性を確保するために適切な手順で調査を行い、証拠の改ざんや隠蔽を防ぐことも重要です。

デジタルフォレンジック調査の種類

デジタルフォレンジック調査は、その対象によってさまざまな種類に分類されます。

ここでは、調査の種類を以下3つの例でそれぞれの詳細を解説します。

マルウェア感染調査

マルウェアに感染した際の調査では、PCやサーバーのログを解析し、マルウェアの種類や感染経路、被害状況などを詳細に解明します。

マルウェアは他のシステムにも感染する恐れがあるため、迅速な解析と対策が非常に重要です。

兆候が少しでも見られたらマルウェア感染調査を実施し、システムのメモリやログファイルの分析を行うことがポイントとなります。

マルウェアの挙動を解析することで、攻撃者の意図や目的を推測することも可能です。

なお、マルウェアの概要や種類、具体的な対策方法については以下の記事で解説しています。

【関連記事】マルウェアとは?種類や感染経路、感染した場合の症状や対処法を解説

従業員による情報持ち出しの調査

従業員による不正な情報持ち出しが疑われる場合、内部的なデジタルフォレンジック調査が必要です。

この調査では、持ち出された情報の内容や時期、方法などを特定することが主な目的となります。

具体的には、PCやスマートフォンのファイルアクセス履歴、メール送信履歴などを詳細に分析し、被害状況と原因の解明を進めます。

社員による情報漏洩だけでなく、他社に派遣していた社員による持ち出しのパターンもあるため、状況に合ったデジタルフォレンジック調査を行うことが重要です。

Webサイトの改ざん調査

デジタルフォレンジック調査には、Webサイトが不正に改ざんされた際の調査・分析も含まれます。

攻撃者の手口や侵入経路などを解明し、再発防止に役立てることが求められます。

改ざんのリスクを軽減してWebのサイトの復旧を早めるためには、一時的な公開停止やネットワーク遮断の実施も選択肢に入るでしょう。

場合によっては、改ざんされたファイルの内容を精査し、攻撃者が埋め込んだ不正なコードの特定も必要です。

デジタルフォレンジック調査で重要となるポイント

デジタルフォレンジック調査を行う上では、迅速な対応や証拠保全の徹底、原因の解明などのポイントが特に重要となります。

これらのポイントを押さえることで、効果的なフォレンジック調査を実施できます。

被害拡大防止のため迅速に対応する

インシデント発生時は迅速な対応が求められます。

なぜなら、初動対応の遅れが証拠の消失や、被害の拡大に繋がる恐れがあるためです。

例えば、デバイスがマルウェアに感染している場合、他のデバイスにも感染する恐れがあるため、感染機器を速やかにネットワークから隔離することが重要です。

不正アクセスの痕跡が見つかった際には、関連するアカウントのパスワード変更なども急務となります。

ログが流れる前に証拠保全を徹底する

証拠となるログが上書きされる前に、速やかに証拠保全を行う必要があります。

重要なログの大半は保存期間が設定されており、証拠保全まで時間が経ってしまうと、ログが流れて十分に調査できない可能性があります。

特にシステムログやネットワークログは、時間の経過とともに上書きされる可能性が高いため、早期に保全することが大切です。

根本的に原因を調査する

インシデント発生の根本的な原因を究明しなければ、再度同じようなインシデントが起こるリスクがあります。

そのため、デジタルフォレンジック調査の際は、表面的な現象だけでなく、根本的な原因を究明することがポイントとなります。

例えば、不正アクセスが起こった場合は、「なぜその経路が開いていたのか」「いつからいつまで脆弱性があったのか」などの詳細を調査しなければなりません。

不正行為の動機や背景まで掘り下げて調査することで、より効果的な再発防止策を立案できます。

デジタルフォレンジック調査の流れ

デジタルフォレンジック調査は、一般的に以下のような流れで実施されます。

各段階で適切な作業を行うことで、有効な調査結果の取得に期待できます。

▼デジタルフォレンジック調査の流れ

  1. インシデント発生時の状況を把握する
  2. データ収集・証拠保全作業を行う
  3. 保全したデータを調査・解析する
  4. 調査結果を関係者に報告する

インシデント発生時の状況を把握する

まずは、インシデント発生時の状況を速やかに把握します。

主に現場のヒアリングを通して、被害規模や影響範囲、緊急度などの把握を進めます。

適切な初動対応を取ることにより、被害の拡大を防ぐことが可能です。

データ収集・証拠保全作業を行う

インシデントに関連するデータを収集し、証拠として保全する作業が次の段階となります。

データの改ざんや消失を防ぐため、適切な手順に基づいて作業を行うことが不可欠です。

▼データ収集を行うべき項目

  • パソコンのハードディスク
  • スマートフォンの通信履歴
  • 各種サーバーのデジタルデータ

この際、証拠の同一性を担保するため、ハッシュ値の記録なども忘れずに実施しましょう。

保全したデータを調査・解析する

保全したデータを詳細に調査して、事実関係を解明する段階に入ります。

この段階では、タイムラインの作成やログの分析など、専門的な解析作業が必要です。

例えば、不正アクセスの調査では、アクセスログの分析やマルウェアの挙動解析などを行います。インシデントの内容に応じて、調査・解析の方法が異なります。

調査結果を関係者に報告する

最後に調査結果をまとめ、経営陣や関係部署、法執行機関等に報告します。

報告内容を基に、再発防止策の実施やセキュリティ強化に繋げることが重要です。

報告書には、インシデントの概要や調査期間、調査に使用した製品、被害状況、原因分析、推奨される対策などを明確に記載します。

また、法的対応が必要な場合は、証拠の提出方法や訴訟に向けた準備なども検討する必要があります。

GMOサイバーセキュリティ byイエラエがデジタルフォレンジック調査をサポート

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

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デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス支援」では、インシデント発生時の証拠保全から、データ解析、関連情報の抽出、報告までを一貫して対応します。

サイバー攻撃やマルウェア感染、Webサイトの改ざん、従業員による情報持ち出しなど、幅広いインシデントに対応可能です。

迅速かつ適切な対応により、インシデントの被害を最小限に抑え、事業継続性を確保することができるでしょう。

セキュリティインシデントに不安がある場合は、当社の「デジタルフォレンジック・インシデントレスポンス支援」の利用を検討してみてください。

まとめ

この記事では、デジタルフォレンジックの概要や調査の目的、重要ポイント、調査の流れについて解説しました。

デジタルフォレンジックは、サイバーインシデントの被害状況把握や原因究明に欠かせない技術であり、適切な実施により効果的な対策立案が可能となります。

調査の際は、迅速な対応、確実な証拠保全、根本原因の究明が重要です。

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