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SOARとは?3つの構成要素と導入するメリット・デメリット

XDRやSIEMと似ているソリューションとして「SOAR」というものがあります。

SOARとは、セキュリティオペレーション、自動化、応答のためのテクノロジーを統合したセキュリティソリューションのことです。

セキュリティ運用の効率化と自動化を実現し、脅威への迅速な対応を可能にします。

しかし、SOARの導入にはコストや時間、組織文化の変革といった課題も存在するため、導入前にこれらを理解しておくことが大切です。

この記事では、SOARの概要や注目されている理由、メリット・デメリットについて解説します。

目次

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  1. SOARとは
  2. XDRとの違い
  3. SIEMとの違い
  4. SOARを構成する要素
  5. インシデント対処の自動化(SAO)
  6. インシデント対応管理(SIRP)
  7. 脅威インテリジェンスの管理・活用(TIP)
  8. SOARが注目されている理由
  9. 業務環境の変化
  10. セキュリティ人材の不足
  11. サイバー攻撃の多様化
  12. SOARを導入するメリット
  13. セキュリティ運用の負担を軽減できる
  14. セキュリティ運用のパフォーマンスを可視化できる
  15. 同一プラットフォームで情報共有しやすくなる
  16. SOARを導入するデメリット・注意点
  17. 導入・運用コストが発生する
  18. 段階的に導入するため時間がかかる
  19. 属人化したプロセスからは移行が難しい
  20. セキュリティ運用の課題解決ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエのSOC
  21. まとめ

SOARとは

SOARとは、セキュリティオペレーション、自動化、応答のためのテクノロジーを統合したセキュリティソリューションのことです。

「Security Orchestration, Automation and Response」の略語であり、セキュリティ運用の管理と対応を自動化し、効率化を図る概念として注目を集めています。

多くの企業ではセキュリティ対策ソフトが利用されており、ソフトウェアが検出したアラートを確認し、その上で人為的な対応を取るのが一般的です。

それに対し、SOARは脅威検知から対応までのプロセスを自動化することで、セキュリティチームの負担を軽減し、インシデントに対してより迅速に対処できるようになります。

XDRとの違い

XDR(Extend Detection and Response)は、エンドポイント、ネットワーク、クラウドなど、あらゆる場所から脅威関連データを収集・分析し、高度な脅威検知と対応を実現するソリューションです。

SOARは運用全体の自動化と協調を目指している一方、XDRは検出と応答に重点を置いています。

XDRの中にはSOARと連携できるものもあり、その場合はより包括的なセキュリティ管理を実現できます。

【関連記事】XDRとは?EDR・NDRとの違い、必要とされている理由について解説

SIEMとの違い

SIEM(Security Information and Event Management)は、ログ管理とリアルタイムの脅威検知に特化したソリューションです。

セキュリティ機器やネットワーク機器のログ情報を収集・解析することで、リアルタイムな脅威検知を実施します。

一方SOARは、SIEMによる脅威検知に加え、インシデント対応プロセスの自動化や、セキュリティツール間の連携を実現するものです。

SIEMとSOARは相互補完的なソリューションであり、両者を組み合わせることで、より強固なセキュリティ体制を構築できます。

【関連記事】SIEMとは?主な機能と導入するメリット・デメリットを徹底解説

SOARを構成する要素

SOARは複数の要素から構成されており、それぞれがセキュリティ運用を支援します。

ここでは、SOARを構成する3つの要素について詳しく解説します。

インシデント対処の自動化(SAO)

インシデント対処の自動化(SAO)は、反復的なタスクを効率化し、迅速な対応を可能にします。

組織内で運用するファイアウォールやSIEMなどのセキュリティツールと連携することで、ツールを横断したログの取得や分析を実現します。

また、セキュリティアラートの処理時間を大幅に短縮し、応答速度を向上させることも可能です。

インシデント対応管理(SIRP)

インシデント対応管理(SIRP)は、インシデントの報告、管理、分析を一元化して処理する機能です。

インシデント毎の適切な対応手順と記録を保持し、後追い分析を容易にします。

また、関係者間のやり取りをプラットフォーム上で安全に行えるほか、インシデントの対応評価にも役立ちます。

脅威インテリジェンスの管理・活用(TIP)

SOARの脅威インテリジェンスの管理・活用(TIP)は、各種サービスから収集した脅威情報を一元管理する機能です。

脅威インテリジェンスを収集し、適切な方法で正規化・分析することにより、防御策の更新と適用を行えます。

脅威インテリジェンスの共有と活用を繰り返すことで、自社独自の情報を入手できるため、より高度なセキュリティ環境を整えることが可能です。

SOARが注目されている理由

デジタルトランスフォーメーション(DX)と脅威環境の変化がSOARへの関心を高めています。

ここでは、SOARが注目されている3つの理由について解説します。

業務環境の変化

新型コロナウイルスの流行に伴い、多くの企業がテレワークを導入しました。

業務環境が劇的に変化したことで、SOARのようなセキュリティソリューションがより注目され始めました。

エンドポイントの増加やネットワーク境界の曖昧化により、従来のセキュリティアプローチでは対応が難しくなっています。

その点、SOARは多様な環境からのデータを統合し、包括的な可視化と自動化されたアクションを実現することで、セキュリティ運用の効率を高めます。

セキュリティ人材の不足

専門的なセキュリティ人材が不足している中で、SOARは人材依存を減らすことができます。

そもそもDXが推進される現代では、セキュリティ人材の不足が大きな課題になりつつあります。

総務省が公表した「セキュリティ対策に従事する人材の充足状況」によると、日本企業の約9割が「セキュリティ人材が不足している」と回答したことがわかりました。

セキュリティ人材が不足する主な理由としては、「セキュリティ人材の適切なキャリアパスの不足」や「セキュリティ人材の教育実施に必要な時間の捻出が難しい」などが挙げられます。

これらの背景から、限られたリソースで広範なセキュリティ対策を実現できるSOARの存在が注目されています。

【関連記事】セキュリティ人材とは?人材不足の原因や育成方法を詳しく解説

サイバー攻撃の多様化

サイバー攻撃は日々進化しており、その攻撃手法は多様化しています。

総務省が公表した「令和5年版情報通信白書」によると、2022年におけるサイバー攻撃関連の通信数は約5,266億パケットでした。

この数値は前年に比べて0.9%、2015年と比べて830%も増加しています。このデータだけでも、サイバー攻撃が年々増加・多様化していることがわかります。

攻撃手法の進化に対応するためには、SOARのようなセキュリティソリューションの利用が不可欠な状況になっているのです。

マルウェアやフィッシング、ランサムウェアなど、多様化する攻撃に対して、SOARは包括的な防御を実現します。

【関連記事】サイバー攻撃34種類の手口と対策|最新の被害事例も紹介

SOARを導入するメリット

SOARの導入はセキュリティ運用の質を向上させ、組織に大きな利点をもたらします。

効率的なインシデント管理と高度な自動化により、セキュリティ体制を強化することができるのです。

ここでは、SOARを導入する3つのメリットについて紹介します。

セキュリティ運用の負担を軽減できる

SOARを導入することで、日々のセキュリティ運用の負担が軽減され、より戦略的なセキュリティ活動に集中できるようになります。

ルーチンタスクの自動化や、インシデント対応プロセスの効率化により、セキュリティチームはより高度な脅威分析や対策立案に注力できるのです。

また、セキュリティ人材の確保に悩む企業にとっても、SOARの導入は大きなメリットとなります。

セキュリティ運用のパフォーマンスを可視化できる

セキュリティ運用のパフォーマンスを可視化できる点もメリットの1つです。

SOARによってセキュリティ活動を追跡することにより、効率の良い改善点を明確にできます。

定量的なデータに基づき、セキュリティ体制の継続的な改善に繋げられるでしょう。

同一プラットフォームで情報共有しやすくなる

SOARを導入すると、組織内のさまざまなツールやチーム間での情報共有がスムーズになります。

セキュリティインシデントに関する情報が同一のプラットフォームに集約されるため、関係者間のコミュニケーションが円滑になるのです。

対応状況の把握がしやすくなり、組織全体でセキュリティ対策に取り組む体制が整います。

また、一元管理された情報は対応の精度を向上させ、見落としや重複作業を防ぐことにも寄与します。

SOARを導入するデメリット・注意点

SOAR導入にはいくつかの課題が存在し、注意点を事前に把握することが大切です。

以下、導入するデメリット・注意点について解説します。

導入・運用コストが発生する

SOARシステムの導入には、初期投資と維持コストが伴います。

新たなシステムを社内に取り入れることで、ライセンス費用やインフラ整備、トレーニングにかかる費用が発生します。

コストと利益のバランスを考慮し、投資対効果を評価することが重要です。

段階的に導入するため時間がかかる

SOARの導入は段階的に進める必要があり、即時の結果にはあまり期待できません。

なぜなら、既存のセキュリティツールとの統合や、ワークフローの自動化に時間を要するためです。

はじめから全ての機能を活用するのではなく、段階的に機能を運用し、少しずつ充実させていくことが大切です。

長期的な視点での成果を目指し、持続可能な導入計画を立てるようにしましょう。

属人化したプロセスからは移行が難しい

従来の手作業に依存したプロセスからの移行は困難が伴います。属人化された運用からの脱却には、組織文化の変革が必要となるでしょう。

自動化への移行に際しては、セキュリティチームの役割や業務プロセスの見直しが求められます。

それに加え、運用担当者への教育や研修も欠かせません。

一朝一夕では実現できないため、着実に変革を進めていくことが重要となります。

セキュリティ運用の課題解決ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエのSOC

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のSOCは、24時間365日監視のサイバー攻撃防御・分析サービスを提供しています。

「見直す・見守る・身を守る・みんなで守る」の4つの観点で、お客様と共にセキュリティ運用上の課題解決に取り組みます。

同社のSOCは、高度なセキュリティ脅威に対応するための専門知識と最新技術を備えている点が特徴です。

インシデントの影響範囲を特定し、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることに期待できます。

特にログの取得やアラートへの対応に懸念がある方や、高度な攻撃への対策を考えている方に適したサービスといえます。

また、セキュリティ運用体制の整備や人材育成にも貢献するため、中長期的な視点でのセキュリティ強化を目指す組織にもおすすめです。

【関連記事】SOCとは?主な業務内容や運用形態、構築する際のポイントを徹底解説

まとめ

この記事では、SOARの概要や注目されている理由、メリット・デメリットについて解説しました。

SOARはセキュリティ運用の自動化と効率化を推進し、迅速なインシデント対応を実現します。

一方で、導入コストや段階的な移行、属人化したプロセスからの脱却など、克服すべき課題も存在します。

セキュリティ運用の課題解決を図りたい企業様は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のSOCサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

高度な脅威への対策と運用効率化を両立するために、SOARの導入を戦略的に進めることが求められます。

文責:GMOインターネットグループ株式会社

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