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UEBAとは?SIEM・UBAとの違い、導入のメリット・デメリット

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「UEBAの役割とは?」「従来のセキュリティ対策との違いは?」という疑問がある方もいるのではないでしょうか。

UEBAとは、ユーザーとエンティティの行動を分析し、高度な脅威を検出するセキュリティツールのことです。

機械学習を活用し、従来の対策では捉えきれなかった複雑な脅威や内部不正の検出に効果を発揮します。

この記事では、UEBAの仕組みや主な役割、導入時の重要ポイントについて詳しく解説します。

目次

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  1. UEBAとは
  2. UBAとの違い
  3. SIEMとの違い
  4. NTAとの違い
  5. UEBAの仕組み
  6. UEBAの主な役割
  7. ブルートフォース攻撃の検知
  8. インサイダー脅威の検知
  9. アカウント漏洩の検知
  10. UEBAを導入するメリット
  11. セキュリティ脅威を迅速に発見できる
  12. 広範囲の追跡と監視を行える
  13. セキュリティツールの運用効率を向上させる
  14. UEBAのデメリット・注意点
  15. 具体的なサイバー攻撃を特定できない
  16. システム導入までに時間がかかる
  17. UEBAを導入する際の重要ポイント
  18. 他のセキュリティツールとの併用を考慮する
  19. ユーザーIDを統一させる
  20. 社内のセキュリティルールを更新する
  21. まとめ

UEBAとは

UEBAとは、ユーザーとエンティティ(サーバーやルーターなどの実体)の行動を分析し、脅威を検出するセキュリティツールのことです。

「User and Entity Behavior Analytics」の略称であり、高度な分析技術を駆使して安全性を高めます。

【関連記事】サイバー攻撃とは?種類や被害事例、対策方法についてわかりやすく解説

▼UEBAにおける頭文字の意味

  • User(ユーザー)
  • Entity(エンティティ)
  • Behavior(行動)
  • Analytics(分析)

ユーザーとエンティティの行動を分析・学習して、通常とは異なる動きを検出することで、従来のセキュリティ対策では捉えきれなかった複雑な脅威や内部不正に効果を発揮します。

UBAとの違い

UBA(User Behavior Analytics)は、ユーザーの行動を分析して脅威を検出するツールです。

UBAがユーザーの行動のみを分析する一方で、UEBAはユーザーに加えてエンティティの行動も分析対象としています。

UEBAは機械学習を活用してより高度な分析を行い、ユーザーとエンティティの相関関係も見抜く性能を持ちます。

ネットワーク上で動きのあるエンティティも対象にすべき、という考えからUEBAが誕生しました。

SIEMとの違い

SIEM(Security Information and Event Management)は、セキュリティ機器からログを収集・分析し、サイバー攻撃やマルウェアなどを早期に自動で発見するシステムです。

SIEMは「SIM(セキュリティ情報管理)」と「SEM(セキュリティイベント管理)」を統合したもので、それぞれ以下のような意味を持ちます。

▼SIMとSEM

  • SIM:セキュリティの情報管理を行うシステム
  • SEM:セキュリティイベントをリアルタイムで監視・分析するプロセス

SIEMがログを分析することに焦点を当てているのに対し、UEBAはユーザーやエンティティの行動パターンの分析に注力しています。

UEBAは、SIEMでは検知が難しい未知の脅威や内部不正を見抜くことができるのが特徴です。SIEMの詳細については以下の記事で解説しています。

【関連記事】SIEMとは?主な機能と導入するメリット・デメリットを徹底解説

NTAとの違い

NTAは、機械学習や高度な分析を用いて、ネットワーク上のあらゆるトラフィックとフローレコードを監視・分析するツールです。

トラフィックおよびフローレコードの監視により、攻撃の可能性や内部不正、悪質なマルウェアなどを特定します。

NTAはネットワークの異常を検知することを主眼としており、これに対してUEBAはユーザーとエンティティの異常な行動検知に焦点を当てています。

UEBAはネットワークだけでなく、エンドポイントやクラウドのアクティビティも分析対象とする点が特徴です。

UEBAの仕組み

UEBAは、ユーザーとエンティティの行動を常時監視し、そのパターンをベースラインとして学習します。

学習したベースラインは機械学習を用いて、さらに精密なベースラインにアップデートします。

このベースライン行動モデルと比較して、逸脱した行動を検知した際にアラートを発する仕組みです。

機械学習アルゴリズムを用いることで、リアルタイムで異常行動を特定できるだけでなく、未知の脅威や内部不正に対しても高い検出精度を発揮します。

例えば、通常の業務時間外のアクセスや大量のデータダウンロードなど、ベースライン行動モデルにはない異常な行動を即座に検知します。

UEBAの登場によって、従来のルールベースのセキュリティ対策では難しかった、高度で動的な脅威を検出できるようになりました。

UEBAの主な役割

UEBAはユーザーとエンティティの行動分析により、幅広い脅威に対応できます。ここでは、UEBAの代表的な役割を3つ紹介します。

ブルートフォース攻撃の検知

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)という重大な脅威に対して、UEBAは強力な防御線を張ります。

ブルートフォース攻撃は、理論的に考えられるパスワードを全て入力することで、パスワードのロックを突破するサイバー攻撃です。

UEBAによる高度な分析能力を駆使すれば、通常とは異なるログイン試行パターンを瞬時に察知し、対策を図ることができます。

インサイダー脅威の検知

内部関係者による不正行為や情報漏洩は、従来型の対策では見逃しがちな脅威でしたが、UEBAならしっかりと捉え検知できます。

ユーザーの行動を詳細に分析することにより、不審な動きを即座に特定し、セキュリティ管理者に警告を発します。

主な検出対象は、通常とは異なる時間帯のアクセスや、大量のデータダウンロードなどの異常行動です。

早期発見と適切な対応が可能となり、内部からの情報漏洩や不正操作による被害を最小限に抑えられます。

アカウント漏洩の検知

機械学習を用いたUEBAは、アカウント漏洩による検知にも役立ちます。

従業員がフィッシング詐欺などに遭い、 アカウント情報が第三者に渡った場合、企業に深刻な被害をもたらす可能性があります。

企業の信頼性の失墜にも繋がるアカウントの漏洩を、UEBAは見逃さずリアルタイムで検知できる設計になっているのです。

検知方法としては、アカウントの使用パターンを綿密に分析し、不審なアクティビティを素早くキャッチします。

アカウント漏洩による被害の拡大を防ぎ、迅速かつ適切な対応が可能となります。

UEBAを導入するメリット

UEBAを導入することで、セキュリティ運用の効率化と高度化が図れます。以下、主要なメリットについて詳しく解説します。

セキュリティ脅威を迅速に発見できる

UEBAは機械学習を活用し、未知の脅威を自動的に検知する能力を持っています。

これにより、従来の方法では見逃されがちだった異常行動を、UEBAでは素早く察知することが可能となります。

例えば、通常とは異なるアクセスパターンや、不自然なデータ転送などを即座に検出できるのです。

早期発見によって被害の拡大を防ぎ、対処にかかる時間とコストを大幅に削減できるのは大きな利点といえるでしょう。

広範囲の追跡と監視を行える

UEBAのメリットの1つが、ネットワークやエンドポイント、クラウドなど、幅広い領域をカバーできる点です。

この包括的な監視能力により、組織全体のセキュリティ状況を統合的に把握できるようになります。

また、隠された場所に新たなセキュリティ脅威が発生したとしても、リアルタイムでその反応を検知し、即座に対応を取ることが可能です。

ユーザーとエンティティの行動を横断的に追跡・監視することで、より精密な異常検知が実現できるのです。

セキュリティツールの運用効率を向上させる

UEBAは他のセキュリティツールと連携することで、運用効率の向上にも貢献します。

例えば、SIEMやNTAなどの既存ツールと統合すれば、より包括的な脅威分析が可能となります。

UEBAのアラート機能によって優先順位の高い脅威を自動的に識別し、対応の迅速化を図れるだけでなく、セキュリティ担当者の負担軽減にも寄与するでしょう。

UEBAのデメリット・注意点

UEBAには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

導入前に、これらの点を十分に理解・検討しておくことが重要です。

具体的なサイバー攻撃を特定できない

UEBAは異常な行動を検知する特性上、具体的なサイバー攻撃の手口を特定することは困難です。

例えば、不審なアクセスを検知しても、それが具体的にどのような攻撃なのかを判断することはできません。

攻撃の全容を把握するには、他のセキュリティツールとの連携が不可欠となります。

そのため、UEBAを単独で導入するのではなく、総合的なセキュリティ戦略の一部として位置づけて運用するようにしましょう。

システム導入までに時間がかかる

UEBAの欠点として、システム導入までに時間がかかる点が挙げられます。

UEBAは機械学習を活用するため、効果を発揮するまでに一定期間の準備が必要となるのです。

この期間中、システムは正常な行動パターンを学習し、ベースラインを確立していきます。学習期間中は十分な効果が得られないため、他のセキュリティツールでの対処が求められます。

システムの性能によって準備期間は異なり、単純な場合で3〜6ヶ月、複雑な場合は12ヶ月以上かかることがあるため注意が必要です。

UEBAを導入する際の重要ポイント

UEBAを導入する際には、いくつかの重要なポイントが存在します。ここでは、導入時に考慮すべき重要ポイントを3つ紹介します。

他のセキュリティツールとの併用を考慮する

UEBAは単体で導入するのではなく、SIEMやNTAなど他のセキュリティツールとの併用を検討することが重要です。

他のツールと併用することにより、UEBAのセキュリティ効果をより高めることができます。

例えば、SIEMのログ分析機能とUEBAの行動分析を連携させることで、より精度の高い脅威検知が可能となり、包括的な防御体制を構築できます。

ユーザーIDを統一させる

UEBAの分析精度を高めるには、ユーザーIDの統一が欠かせません。

UEBAはユーザーとエンティティの行動を分析し、通常とは異なる行動を検出するセキュリティツールです。

この特性上、1人のユーザーがシステムごとに別々のIDを持っている場合、一貫性のある分析が行えず、UEBAの効果を最大限に発揮することができません。

そのため、システム間でユーザーIDを統一し、1人のユーザーを一意に識別できるようにする取り組みが必要となります。

社内のセキュリティルールを更新する

UEBAの導入に合わせて、社内のセキュリティルールを適切なものに更新しましょう。

UEBAを導入した後、より効果的なベースラインを構築するためには、社内のルールも更新して体制を整える必要があります。

例えば、通常業務時間外のアクセスや大量データダウンロードの基準を明確にし、それらに対する対応手順を策定するなどが有効です。

また、UEBAが検知した異常行動に対する調査プロセスや、誤検知時の対応方法なども事前に決めておくと良いでしょう。

まとめ

この記事では、UEBAの仕組みや主な役割、導入時の重要ポイントについて解説しました。

UEBAは、ユーザーとエンティティの行動を常時監視し、機械学習を用いて異常を検知する高度なセキュリティツールです。

ブルートフォース攻撃、インサイダー脅威、アカウント漏洩など、さまざまな脅威に対して高い効果が見込めます。

UEBAを活用する際は、他のセキュリティツールとの組み合わせが重要となります。複合的に対策を行うことで、より高度なセキュリティ環境を整えることができるでしょう。

UEBAとの併用が効果的なセキュリティツールやチームについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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