サイバーセキュリティとAIには深い関係性があります。
AI(人工知能)は、人間の知的活動を模倣し、さまざまなタスクを自動で行うシステムやソフトウェアの総称です。最近はChatGPTなどの生成AIの登場により、幅広いビジネス分野でAIが活用され始めています。
業務の効率化を図れる便利なAI技術ですが、その高い利便性を利用してサイバー攻撃を企む攻撃者も増加しています。
AIが恐るべきスピードで進化している今、企業の安全性を保つためには、AIを考慮したセキュリティ対策を講じることが大切です。
本記事では、サイバーセキュリティとAIの関係性、AIを用いたセキュリティ対策について解説します。
目次
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- AI(人工知能)とは
- AIが注目される背景
- AIの恐るべき進化スピード
- サイバーセキュリティとAIの関係性
- AIによるサイバー攻撃の主な脅威
- ディープフェイク
- DDoS攻撃
- AIファジング
- フィッシングメール
- 機械学習ポイズニング
- 回避攻撃
- AIを用いた効果的なセキュリティ対策
- ログの監視・解析
- マルウェアの検出
- トラフィックの監視・解析
- 脆弱性診断
- ペネトレーションテスト
- AI時代に求められるセキュリティ対策
- OS・システムを常に最新の状態に保つ
- 複雑なパスワードを設定する
- 多要素認証を導入する
- 社内全体でセキュリティ意識を向上させる
- セキュリティ対策ソフトを利用する
- セキュリティ対策を強化したいならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
- まとめ
AI(人工知能)とは
AI(人工知能)は、人間の知的活動を模倣し、さまざまなタスクを自動で行うシステムやソフトウェアの総称です。
正式には「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」という言葉で、1956年に初めて「AI」という言葉が使われたとされます。
AIは学習や自己修正といった能力を持ち、医療、金融、製造業といった多岐にわたる分野でその機能が活用されています。
AIを語る上で欠かせないのが、「ディープラーニング(深層学習)」という技術です。
ディープラーニングとは、人間の手を使わずコンピューターが大量のデータを学習し、情報の特徴を抽出する技術のことです。
機械学習の手法の1つであり、この技術が第3次AIブームを牽引してきました。
AIが注目される背景
近年、ChatGPTやMidjourneyなどの生成AIが注目を集めています。
AIが注目されている背景には、実用性が著しく向上したという点があります。
データ処理能力の向上やアルゴリズムの進化により、複雑なデータも高速に分析し、より精度の高いコンテンツを生成できるようになった今、日常生活だけでなくビジネスの領域でも活用されるようになりました。
例えば、ビジネスメールの文章をAIで作成したり、チラシやPRに用いる画像をAIで出力したりなど、その用途は多岐にわたります。
ビジネスにおける意思決定の支援や日常生活の問題解決に貢献することで、AIはますます重要な存在になっています。
AIの恐るべき進化スピード
AIの進化は目覚ましく、そのスピードは人間の予測をはるかに超えています。
特に顕著なのが近年の生成AIで、数週間おきにAI関連のニュースが話題になるほどです。
この速い進化には、新しいビジネスモデルの創出や生活の質の向上といった明るい面がありますが、同時に予測不能なリスクや倫理的な問題も引き起こしています。
セキュリティ分野においても、AIは攻撃手法の高度化に利用されるリスクがあり、AIセキュリティの重要性が高まっています。
サイバーセキュリティとAIの関係性
AIはサイバーセキュリティ分野に大きな影響を与えています。
AIの技術を活用することで、脅威の検出や分析、防御策の自動化が可能となり、組織のさまざまなセキュリティ対策に活用されています。
例えば、膨大なデータの中から異常な動作を迅速に特定し、セキュリティインシデントへの反応時間を短縮することが可能です。
しかし、その利便性の高さが時に危険な存在にもなり得ます。
悪意のある攻撃者はAIを用いて高度なサイバー攻撃を生み出し、攻撃そのものを自動化しようとしています。
これらの点から、サイバーセキュリティとAIには深い関係性があり、より安全なデジタル環境を実現するためには、AIの理解や活用が欠かせません。
AIによるサイバー攻撃の主な脅威
AI技術が進化する一方で、その悪用によるサイバー攻撃も高度化し、予測を難しくしています。
AIを使った代表的なサイバー攻撃として、以下の6つをそれぞれ解説します。
- ディープフェイク
- DDoS攻撃
- AIファジング
- フィッシングメール
- 機械学習ポイズニング
- 回避攻撃
以下、各脅威の特徴を見ていきましょう。
ディープフェイク
ディープフェイクとは、人物の動画や音声をAI処理によって人工的に合成する技術のことです。
ディープフェイクにより生成された偽の映像や音声は、人々を欺くために使用されることがあります。
特に公的人物や企業の評判を損なう目的で悪用されるケースが増えており、識別技術の向上が求められています。
DDoS攻撃
DDoS攻撃は、ターゲットとなるWebサイトやサーバーに対し、大量のパケットを送信して意図的に負荷をかけるサイバー攻撃のことです。
AIを駆使したDDoS攻撃は、対象となるWebサイトやオンラインサービスを高効率で無力化させます。
この攻撃は複雑なパターンを持ち、従来の対策手法では対応が難しい場合があります。
【関連記事】DDoS攻撃とは?主な種類と5つの対策方法を紹介
AIファジング
ファジングは、ソフトウェアテストの手法の1つです。
AIを用いたファジングは、ソフトウェア内の脆弱性を効率的に発見するために利用されますが、悪意のある攻撃者によって使われると、未知の脆弱性を突く新たな攻撃に繋がる恐れがあります。
自動化された攻撃はセキュリティリスクを著しく高めるため、ソフトウェアの開発者は最新の防御技術の導入を検討する必要があります。
フィッシングメール
AIを活用したフィッシングメールは、受信者の行動や好みを細かく分析し、メッセージに説得力を加えます。
これにより、従来の手法に比べて受信者が騙されやすくなるほか、自動化技術によって大量のフィッシングメールを作成可能にしています。
ビジネスを展開する経営者やユーザーは、高度な詐欺に対する警戒が必要です。
機械学習ポイズニング
機械学習ポイズニングは、AIの自動学習機能を悪用した攻撃手法です。
AIモデルの学習データに意図的に誤情報を混入させることで、信頼できるモデルの判断を歪める可能性があります。
実際にこの攻撃は、データの盗聴や改ざん、管理権限の剥奪に使用される場合があります。
回避攻撃
回避攻撃は、敵対的サンプルを利用してAIの誤認識を発生させる攻撃手法です。
推論用の認証・識別データにノイズを発生させることで、AIの誤分類を意図的に誘発させ、既存の防御メカニズムを無効化します。
攻撃者はセキュリティシステムの盲点を突き、不正アクセスやデータの盗聴を行うことが可能になります。
AIを用いた効果的なセキュリティ対策
AI技術の進歩により、サイバーセキュリティの分野でも自動化と高度化が進められています。
本項では、AIを用いた効果的なセキュリティ対策を5つ紹介します。
- ログの監視・解析
- マルウェアの検出
- トラフィックの監視・解析
- 脆弱性診断
- ペネトレーションテスト
AIはセキュリティ対策の効率化と強化に不可欠な存在となりつつあります。以下、各対策の特徴を詳しく解説していきます。
ログの監視・解析
ログデータの監視と解析にAIを活用することで、異常な挙動を即座に検出し、未知の脅威を特定することが可能です。
AIによる解析は、複雑なデータパターンの中からも異常を見つけ出し、セキュリティチームが脅威に対して迅速に対応できるようサポートします。
このプロセスにより、セキュリティインシデントを効果的に防げるようになります。
マルウェアの検出
機械学習を利用したAIは、未知のマルウェアや変異型の検出に優れています。
最近はディープラーニングを用いた技術の活用により、従来の方法では検出できない新型のマルウェアに対しても、高い検出率を実現します。
日々新しい脅威が生まれるサイバー攻撃においても、AIを活用することで組織の防御体制を強化することが可能です。
トラフィックの監視・解析
ネットワークトラフィックのリアルタイム分析を通じて、AIは異常な通信パターンを迅速に検出します。
これにより、内部からの脅威やデータ漏洩の試みを早期に発見し、適切な対策を講じることが可能です。
ネットワークの正常な運用パターンを学習することで、監視精度の向上にも期待できます。
脆弱性診断
脆弱性診断とは、システムの不具合を洗い出すセキュリティ診断のことです。
AI技術を用いることで、システムの脆弱性を自動で診断し、潜在的なセキュリティリスクを事前に特定します。
また、脆弱性を迅速に修正することが可能となり、セキュリティホールを効果的に塞げます。
ペネトレーションテスト
ペネトレーションテストとは、攻撃者の視点で脆弱性から侵入を試みたときに、目的達成できるか否かを検証する侵入テストのことです。
AIを活用した自動化ペネトレーションテストにより、システムのセキュリティ弱点を効率的に発見します。
実際の攻撃パターンを模倣することで、セキュリティ対策の網羅性と有効性を検証し、強化が必要な箇所をより正確に特定できます。
AI時代に求められるセキュリティ対策
AI技術が進化するにつれて、セキュリティ対策も新たな局面を迎えています。
革新的な技術によって予測不能な脅威に対処するためには、基本から応用までのセキュリティ対策を徹底する必要があります。
以下、AI時代に求められる効果的なセキュリティ対策について見ていきましょう。
OS・システムを常に最新の状態に保つ
OSやシステムにおけるセキュリティパッチの適用は、脆弱性を修正し、システムの安全性を確保する基本的な対策方法です。
これにより、システムの安定性を維持しつつ、セキュリティを根本的に強化できます。
更新を忘れてしまう方は、自動更新機能を有効化し、セキュリティパッチとアップデートを自動的に行う環境を構築しましょう。
複雑なパスワードを設定する
不正アクセスを防ぐため、複雑で予測困難なパスワードを設定しましょう。具体的には、以下のような組み合わせが推奨されます。
▼複雑なパスワードの一例
- 数字 + 小文字 + 大文字:1234abcdABC
- 大文字 + 特殊文字 + 数字:ABCD!@#1234
- 小文字 + 数字 + 特殊文字:abcd1234!@#
このように、数字と小文字、特殊文字を組みわせたパスワードを設定することで、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)を効果的に防げます。
定期的にパスワードを変更することも、セキュリティを高めるための対策となり得ます。
多要素認証を導入する
多要素認証(MFA)とは、2つ以上の異なる要素を用いて、デバイスやツールなどのログイン認証を行うことです。
パスワードの設定だけでなく、多要素認証を導入することで、認証のセキュリティをより一層高められます。
▼多要素認証に用いる主な要素
- 知識情報
- 所持情報
- 生体情報
これは、不正ログインの試みを防ぐ効果的な手段となります。
SMSやアプリによる認証コードの利用など、複数の認証手段を組み合わせることが重要です。
社内全体でセキュリティ意識を向上させる
従業員に対する定期的なセキュリティ研修は、組織全体のセキュリティ意識を高めるために不可欠です。
従業員1人ひとりの意識改革が、組織全体のセキュリティ向上に繋がります。
▼従業員のセキュリティ意識を向上させる主な方法
- 定期的なセキュリティ研修と意識向上プログラムの実施
- セキュリティポリシーの作成と共有
- セキュリティインシデント発生時の対応訓練とシミュレーション
継続的な教育と訓練により、セキュリティリスクの効果的な減少が見込めます。
セキュリティ対策ソフトを利用する
外部からの脅威からシステムを保護するために、信頼できるセキュリティ対策ソフトを利用しましょう。
常に最新の情報に基づいた対策ソフトを選択し、定期的なアップデートを行うことで、進化する脅威を効果的に防げます。
脆弱性診断やペネトレーションテストを実施しているものや、AI技術を駆使した最新のものを選ぶと良いでしょう。
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画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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まとめ
本記事では、サイバーセキュリティとAIの関係性、AIを用いたセキュリティ対策について解説しました。
近年のAIは恐るべきスピードで進化しており、日常生活だけでなくビジネス分野でも活用され始めています。
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文責:GMOインターネットグループ株式会社