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CASBとは?4つの機能と導入方式、メリット・デメリットを徹底解説

「CASBとは何か?どのようなメリットがあるのか知りたい」という疑問がある方もいるでしょう。

CASBとは、クラウドセキュリティを強化するためのソリューションのことです。

クラウドサービスの利用状況を可視化し、セキュリティポリシーの適用や脅威の検知・防御を行います。

ただし、導入にはメリットだけでなく、デメリットや注意点も存在するため、良い点と悪い点を理解した上で対策を立てることが大切です。

この記事では、CASBの概要や機能、メリット・デメリットについて解説します。

目次

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  1. CASBとは
  2. CASBの考え方
  3. 従来のセキュリティ対策ソフトとの違い
  4. CASBが注目されている理由
  5. CASBにおける4つの機能
  6. 可視化・分析
  7. コンプライアンス
  8. データセキュリティ
  9. 脅威の検出・防御
  10. CASBの具体的な導入方式
  11. API型
  12. ログ分析型
  13. インライン型
  14. CASBを導入するメリット
  15. 企業のセキュリティ対策を強化できる
  16. 分析結果を可視化できる
  17. 粒度の高いクラウド使用コントロールが可能となる
  18. CASBを導入するデメリット・注意点
  19. 単一障害点になる可能性がある
  20. 全てのセキュリティ対策になるわけではない
  21. セキュリティポリシーを明確にする必要がある
  22. まとめ

CASBとは

CASB(キャスビー)とは、「Cloud Access Security Broker」の略称で、クラウドサービスを専門としたセキュリティ対策ソリューションの1つです。

企業が利用するクラウドサービスに対し、アクセスの可視化やデータの保護、コンプライアンス要件の実現を可能にします。

近年、クラウドサービスの普及に伴い、CASBへの注目度が高まっています。

CASBの考え方

CASBは、クラウドサービスを利用するユーザーと複数のクラウドプロバイダーの間に、単一のコントロールポイントを設けることを基本とします。

これにより、クラウドサービスの利用状況を可視化し、一貫性のあるセキュリティポリシーを適用できるようになります。

また、クラウド上のデータや利用者の行動を把握することで、その状況に合った適切なセキュリティ対策を講じることが可能です。

CASBの考え方は、クラウドセキュリティの根幹をなすものといえるでしょう。

従来のセキュリティ対策ソフトとの違い

CASBと従来のセキュリティ対策ソフトでは対策範囲が異なります。

CASBはクラウド専用に設計されているソリューションであるのに対し、従来のセキュリティ対策ソフトはあらゆるセキュリティに対して包括的に対策を行います。

CASBの特徴は、クラウド特有のリスクに特化して対応でき、クラウド上の脅威の検出と防御を可能にする点です。

従来のソリューションでは対処が難しかった、クラウドならではのセキュリティ課題にも対応できるのがCASBの強みといえるでしょう。

CASBが注目されている理由

ITやテレワークが普及する現代では、ユーザーとクラウドサービスの両方に対する確実なセキュリティ性が求められています。

多くの企業では、従来のセキュリティシステムでは対応できなくなっているのが実情です。そこで注目されているセキュリティソリューションがCASBです。

CASBは、クラウドサービスの利用状況を可視化し、セキュリティポリシーを適用できる点が大きな特徴です。

クラウドならではのセキュリティリスクに特化して対応できるため、従来の対策では難しかった企業のセキュリティ強化に効果を発揮します。

また、シャドーITの検出にも役立つため、IT管理者の負担軽減にも繋がります。

▼シャドーITとは
IT管理部門ではない部門がクラウドサービスを独自に導入し、管理できなくなってしまうIT環境のこと

クラウドサービスを中心とした時代において、CASBは欠かせないセキュリティソリューションになりつつあるのです。

CASBにおける4つの機能

CASBは企業のクラウド使用を安全かつ効率的に管理するためのソリューションです。

CASBの主要機能には、可視化・分析、コンプライアンス、データセキュリティ、脅威検出の4つが含まれます。

これらの機能を活用することで、クラウドサービスを安心して利用できるようになります。

可視化・分析

CASBの可視化・分析機能によって、クラウドサービスの利用状況を詳細に把握できます。

利用パターンの分析を通じて異常行動を早期に検出し、セキュリティリスクを評価することで、潜在的な脅威に対処しやすくなります。

また、シャドーITの発見にも役立ち、IT管理者はクラウドの使用状況を正確に把握できるようになるのも利点の1つです。

可視化・分析は、クラウドセキュリティ強化の第一歩といえます。

コンプライアンス

CASBは規制遵守を支援し、企業のリスクを低減するために重要な役割を果たします。

データ保護法や業界基準に沿った運用が可能となり、以下のような重要情報のアップロードを制限できます。

▼CASBで検知できる重要情報の一例

  • 従業員の個人情報
  • クレジットカードの番号
  • マイナンバー

また、監査対応の負担軽減にも繋がるため、企業のコンプライアンス管理に大きく貢献します。

データセキュリティ

CASBのデータセキュリティ機能は、クラウド上のデータを保護し、漏洩リスクを防ぐために不可欠です。

例えば、暗号化やアクセス制御の強化により、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

また、データの種類ごとにアクセス制限をかけるなどの細かい対策も可能です。

脅威の検出・防御

脅威検出・防御機能により、リアルタイムでの脅威検出と対応を実現します。

クラウド環境特有の攻撃から企業資産を守るために、AIを活用した高度な脅威検知が行われます。

ゼロデイ脆弱性やランサムウェアなどの新たな脅威にも迅速に対応できるため、クラウドセキュリティ体制の強化に寄与するでしょう。

CASBの具体的な導入方式

CASBはさまざまな導入方式が存在し、企業のニーズに応じて選択することができます。

主にAPI型、ログ分析型、インライン型が利用されています。それぞれの方式には特徴があるため、自社に適した方式を選ぶことが重要です。

API型

API型は、クラウドプロバイダーのAPIを利用してセキュリティを実施する方式です。

設定の簡便さと迅速な導入が可能であり、クラウドサービスとの親和性が高い点が特徴です。

ただし、APIの機能に依存するため、カバーできる範囲には限界があります。API型は、重要情報をあまり扱っていない企業に推奨されます。

ログ分析型

ログ分析型は、アクセス先のURLをベースに通信を監視し、セキュリティ状態を維持する方式です。

ゲートウェイ端末を介した通信を監視する方式であり、特定のリスクを可視化できるため、脅威の傾向や原因の特定に役立ちます。

ただし、リアルタイム性には欠けることから、即時対応が必要な場合には不向きだといえるでしょう。ログ分析型は、特定のクラウドサービスだけを制限したい場合に向いています。

インライン型

インライン型は、ネットワークトラフィックを直接監視し、脅威を即座に防ぐ方式です。

自社のデバイスからクラウドサービスに接続するまでの通信経路内にCASBを設置することで、リアルタイムでのセキュリティ制御を実現します。

ただし、ネットワーク構成が複雑になるため、導入には一定の専門性が求められます。インライン型は、高度なセキュリティ対策を求める企業に適しているといえるでしょう。

CASBを導入するメリット

CASBは、クラウドセキュリティ対策に欠かせないソリューションの1つです。導入することで、主に以下のようなメリットが見込めます。

企業のセキュリティ対策を強化できる

CASBの導入は、クラウド環境の脆弱性を明確に管理するための有効な手段です。

潜在的なリスクの早期発見と適切な対策の実施により、総合的なセキュリティ強化を実現できます。

加えて、コンプライアンス要件への対応も容易となり、企業のセキュリティ体制全体の底上げに寄与します。

分析結果を可視化できる

CASBを活用すれば、クラウド利用の全体像を把握するのに役立ちます。

ユーザーの行動や異常な動きを可視化し、セキュリティ上の問題点を具体的に特定する助けとなります。また、シャドーITを防止できる点もメリットの1つです。

その結果、適切なセキュリティ対策の立案と実施が可能となり、クラウドセキュリティの継続的な改善に繋がります。

粒度の高いクラウド使用コントロールが可能となる

クラウド使用状況を細かく制御するための環境が整うことも、CASB導入のメリットです。

特定のアクティビティやサービス、アプリケーションに対するガバナンスの実施が可能となります。

ユーザーごとの適切なアクセス権限の設定を通じて、不正アクセスや情報漏洩のリスクを最小限に抑制することができるのです。

また、CASBによるクラウド使用コントロールは、セキュリティと利便性のバランスを取るための鍵となります。

CASBを導入するデメリット・注意点

CASBの導入は多くの利点をもたらしますが、いくつかのデメリットや注意点も存在します。

CASBを効果的に活用するためには、以下のような点を十分に理解し、対策を講じることが大切です。

単一障害点になる可能性がある

CASBは複数のクラウドサービスへのアクセスを一元的に管理するため、CASB自体が攻撃のターゲットになるリスクを孕んでいます。

万が一CASBが利用できなくなると、管理下にある全てのクラウドサービスも利用不可能になる恐れがあるのです。

そのため、CASB自体の可用性とセキュリティ対策には十分な注意を払わなければなりません。また、単一障害点にならないような工夫も求められます。

全てのセキュリティ対策になるわけではない

CASBはクラウド特有のリスクに特化したセキュリティソリューションですが、全てのセキュリティ問題を解決するわけではありません。

従来型の脅威への対策や、社内のエンドポイントセキュリティなども併せて強化する必要があります。

CASBを総合的なセキュリティ戦略の一環として位置づけ、多層防御の観点から活用することが重要です。

企業が行うべきセキュリティ対策については、以下の記事をご確認ください。

【関連記事】企業が取り組むべきセキュリティ対策とは?重要性や対策内容を解説

セキュリティポリシーを明確にする必要がある

CASBの導入に際しては、組織のセキュリティポリシーを明確に定義しておきましょう。

曖昧なポリシーのままでは、CASBの設定が適切に行われず、十分な効果を発揮できないためです。例えば、以下のような項目を明確にしておく必要があります。

▼明確にしておくべき項目の一例

  • クラウドサービスの利用範囲
  • 各クラウドサービスのアカウント権限
  • クラウドサービス上のデータ保護方針
  • クラウドサービスの利用に関するコンプライアンス要件
  • クラウドサービスの監視・ログ管理方法

セキュリティポリシーを明確化し、それに基づいてCASBを運用することで、その真価を発揮できるでしょう。

まとめ

この記事では、CASBの概要や機能、メリット・デメリットについて解説しました。

CASBは、クラウドセキュリティの強化に欠かせないソリューションであり、可視化や粒度の高いアクセス制御などの機能を提供します。

一方で、単一障害点になるリスクや、セキュリティポリシーの明確化の必要性など、利用にあたっての注意点も存在します。

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