企業で情報漏洩が発生すると、社会的信用を失うだけでなく金銭的リスクも伴います。企業の情報漏洩を防ぐためには、事前の対策が特に重要となります。
情報漏洩が起こる原因は多岐にわたり、一度起こしてからでは取り返しがつかない場合もあるため、事前に原因やリスクを理解し、早めに対策を進めることが大切です。
本記事では、 情報漏洩が起こる原因や被害事例、効果的な対策について解説します。企業のセキュリティ対策を盤石にしたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
目次
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情報漏洩とは
情報漏洩とは、企業が保有している重要なデータが意図せず外部に漏れてしまうことを指します。機密情報や個人情報が流出することにより、企業にとって重大な被害を引き起こします。
情報漏洩が生じると企業の信頼性が著しく低下するほか、法的な賠償責任や罰金などの金銭的リスクが発生する場合もあります。また、流出した情報を取り戻すための対処や調査には多大な労力と時間が必要です。現場従業員の業務負担が増加し、その結果、企業全体の生産性が低下することにも繋がります。
現代では情報漏洩のリスクが年々増加しており、企業には効果的な対策の実施が求められています。情報漏洩が発生した際に、迅速かつ的確に対応するための事前準備も必要です。
情報漏洩が起こる原因
情報漏洩が起こる主な原因を、以下5つの項目に分けて解説します。
- デバイスの紛失・置き忘れ
- 人為的なミス
- システムの脆弱性
- システム障害
- 内部の不正行為
以下、各原因の詳細を順番に見ていきましょう。
デバイスの紛失・置き忘れ
重要な情報が保存されているパソコンやスマートフォンなどのデバイスを紛失、もしくは置き忘れた際に情報漏洩が発生することがあります。
2018年に行われた「JNSA 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」では、デバイスの紛失・置き忘れが情報漏洩の原因の26.2%にまでのぼりました。同調査は2014年、2016年にも実施されており、デバイスの紛失・置き忘れによる情報漏洩の割合は年々上昇しています。
現代では顧客情報へのアクセスが容易になった反面、デバイスの管理不足による情報漏洩が問題となっています。このため、デバイスの紛失や置き忘れを想定した対策、例えば多要素認証によるロックなどのセキュリティ対策を講じることが重要です。
人為的なミス
社内の従業員による人為的なミスは、情報漏洩の一因となります。例えば、自社サイトに誤って資料をアップロードするといったケースのほか、以下のような例が挙げられます。
▼人為的なミスの例
- メールを個人ではなく全体に送る
- 誤った相手に情報を渡す
- シュレッダーにかけずに重要情報を破棄する
確認不足による不注意も情報漏洩を引き起こす原因の1つです。人為的なミスを減らすには、従業員1人ひとりのセキュリティ意識を高めることが大切です。
システムの脆弱性
システムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃も原因となり得ます。悪意を持った第三者がシステムの脆弱性を狙い、サーバーなどに不正アクセスを行い情報を抜き取るというパターンがあります。
- ▼脆弱性とは
- システムやソフトウェアに存在する弱点や問題点のこと。
システムの脆弱性は主に、古いバージョンのソフトウェアを利用していたり、必要な修正プログラムやファイアウォールを導入していなかったりすることが原因で生じます。そのため、セキュリティ担当者による脆弱性情報の収集や、OSやソフトウェアの定期的なアップデートが求められます。
【関連記事】脆弱性診断(セキュリティ診断)とは|その種類ややり方・サービスの選び方
システム障害
システム障害によっても情報が外部に漏れることがあります。普段は非公開にしてあるデータがシステム障害により、意図せず全体に公開されるケースがこれに該当します。
機器やシステムの障害は避けられない事故とも言えますが、システム障害が発生する前提で情報漏洩の対策を行うことが必要です。これには、レプリケーションやバックアップの準備、システムの定期的なメンテナンスが含まれます。
内部の不正行為
従業員や元従業員による内部の不正行為も原因に含まれます。IPAが行った「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」によると、営業秘密の漏洩ルートで最も多いのは中途退職者(役員、正規社員)であり、その割合は全体の36.3%にまでのぼります。
これは、内部の不正行為によっても情報漏洩が十分に起こっていることを示しています。現職社員に対しては、アカウント管理やデータのアクセス権限を適切に設定し、アクセス記録を取得するなどの対策が有効です。退職者に対しては情報の持ち出しを防ぐための措置や、秘密保持契約の徹底が求められます。
情報漏洩による主なリスク・被害
企業が機密情報を外部に漏洩させた場合、さまざまなリスクや被害が伴います。代表的なリスク・被害として以下の3つを紹介します。
- 社会的信用を失う
- 損害賠償を請求される
- システムやアプリケーションへの攻撃
一度の情報漏洩だけでも、企業にとって多大なる損失を招きます。各リスクについて1つずつ見ていきましょう。
社会的信用を失う
個人情報や機密情報が外部に漏れると、企業はその時点で社会的信用を失います。情報管理が不十分な企業というレッテルが貼られ、契約解除や新規顧客開拓の困難化といった結果に直面する恐れがあります。
個人消費者からの信用も失い、企業経営に大きなダメージが生じることも十分にあるでしょう。特にSNSが普及した現代では、マイナスイメージが急速に広がり、業績の悪化を招くリスクが高まります。
損害賠償を請求される
被害を受けたユーザーから損害賠償を請求されるケースもあります。損害賠償の額は大きく、原因調査や顧客対応にかかるコストを考えると、企業にとっての損失は非常に大きなものとなるでしょう。
さらに、情報漏洩が重大な違反と見なされた場合、損害賠償の額が1億円を超えるケースも少なくありません。企業の金銭的損失を防ぐためにも、情報漏洩の徹底的な対策が求められます。
システムやアプリケーションへの攻撃
情報漏洩によりIDやパスワードなどが流出すると、システムやアプリケーションが攻撃されるリスクがあります。不正ログインによってシステム内部にアクセスされ、個人情報や脆弱性が外部に露呈する恐れがあるのです。
▼システムやアプリケーションが攻撃される主なリスク
- 個人情報や機密情報がさらに流出する
- Webサイトやシステムの情報が改ざんされる
- システムダウンやマルウェアの感染に繋がる
そのほか、自社の経営者や役員になりすまし、金銭の振り込みを要求されるなどの金銭的リスクも想定されます。このように、情報漏洩は企業にとって深刻なリスクとなり得ます。
実際にあった情報漏洩の被害事例
情報漏洩による被害は、大企業から中小企業まで幅広く発生しています。ここでは、実際にあった情報漏洩の被害事例を3つ紹介します。
一般社団法人共同通信社
2023年11月、一般社団法人共同通信社は従業員4,313人の個人情報が流出した恐れがあると発表しました。この情報漏洩は、同社が運用するサーバー機器への不正アクセスが原因でした。
サーバー内部には同社やグループ会社の従業員4,313人の個人情報が格納されており、これが外部へ流出した可能性があると報告されています。同社の公式サイトによると、11月2日時点では不正使用などの二次被害は確認されていないとのことです。
この問題を受け、同社は対象者に対してメールでの個別連絡、セキュリティ対策の強化に取り組むと発表しました。
株式会社マイナビ
株式会社マイナビは2023年10月、就職情報サイト「マイナビ」の応募管理システム「MIWS」に不具合が発生し、学生1,662人の個人情報を他企業が取得できる状態にしたことを公表しました。
この不具合は、同年8月にある企業から報告された「本来取得できない応募者の個人情報が閲覧できる」という指摘がきっかけで発覚しました。9月に修正が行われたものの、その後の調査で合計15社で同様の障害が発生していたことが判明しました。>
流出の対象となったのは、「マイナビ2023」「マイナビ2024」「マイナビ2025」に登録した一部学生1,662名の氏名や所属、連絡先です。株式会社マイナビは個人への連絡と、15社への情報削除の依頼を行いました。
NTT西日本グループ
内部の不正行為による情報漏洩事例として、NTT西日本グループの子会社で約900万件の顧客情報を不正流出させた問題が挙げられます。NTT側は2022年4月、業務委託元の企業から顧客情報の漏洩の可能性を指摘されたものの、社内調査の結果「漏えいはない」と回答していました。
しかし、結果的に元派遣社員が原因であることが判明し、2023年に入るまで流出が続いていました。NTT側はこの事態を受け、社内調査の適正性について検証を進めると発表。そして、NTT西日本の森林正彰社長は「私にも責任はある」と謝罪を行いました。
情報漏洩を防ぐための対策
情報漏洩を防ぐための企業の対策としては、主に以下3つの方法が挙げられます。
- 従業員のリテラシーを高める
- デバイス情報の扱い方を策定する
- セキュリティソフトを導入する
情報漏洩を防ぐには事前の対策が特に重要となります。以下、各対策の詳細を解説していきます。
従業員のリテラシーを高める
情報漏洩の主な原因として人為的なミスがあり、これは従業員のリテラシーを高めることでリスクを低減できます。従業員のリテラシーを高めるためには、定期的な情報漏洩に関する教育や勉強会の開催が必要です。
情報漏洩に関するルールを策定し、従業員に共有しておくこともポイントです。情報漏洩のリスクを従業員全体に理解してもらうことで、不注意や確認不足によるリスクを減らせます。
デバイス情報の扱い方を策定する
デバイス情報の扱い方を策定し、社内全体に共有することも重要な対策です。例えば、社用PCの勤務時間外の持ち出しを禁止にしたり、社内のUSBメモリの持ち出しに制限を設けたりするなどが挙げられます。
近年は従業員のスマートフォンから情報漏洩が起こるケースも増えているため、社内情報の取り扱いに対する注意喚起がより一層必要です。デバイス情報の扱い方を明確にし、従業員に周知しておくことで、デバイスの紛失・置き忘れによるリスクが減少します。
セキュリティソフトを導入する
信頼性の高いセキュリティソフトの導入は、情報漏洩に関わる攻撃の監視とリスク防止に役立ちます。セキュリティソフトは以下のような攻撃に対して有効です。
▼セキュリティソフトで軽減できる主なサイバー攻撃
- マルウェア感染
- Dos/DDos攻撃
- 標的型攻撃
パソコンだけでなく、IoT機器やスマートフォンを狙ったサイバー攻撃が増えている背景から、全てのデバイスに対するセキュリティソフトの導入が求められます。これにより、さまざまな角度から情報漏洩のリスクを減らすことが可能となります。
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画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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まとめ
本記事では、 情報漏洩が起こる原因や被害事例、効果的な対策について解説しました。
情報漏洩が起こる原因は、デバイスの紛失・置き忘れ、人為的なミス、システムの脆弱性など多岐にわたります。まずは原因を理解し、その上で状況に適した対策を行うことで、情報漏洩のリスクを効果的に防ぐことが可能です。
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文責:GMOインターネットグループ株式会社