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情報セキュリティ教育は本当に必要?教育方法やコンテンツ例を紹介

「情報セキュリティ教育は本当に必要なの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。

情報セキュリティ教育とは、従業員の情報セキュリティ意識を高め、セキュリティ事故やサイバー攻撃のリスクを軽減するための教育活動のことです。

近年、サイバー攻撃の脅威は高度化しており、企業が被る被害も深刻化しています。こうした状況において、従業員に対する情報セキュリティ教育は欠かせません。

この記事では、情報セキュリティ教育の必要性や具体的な教育内容、効果的な実施方法について解説します。

目次

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  1. 情報セキュリティ教育とは
  2. 情報セキュリティ教育の必要性
  3. 情報セキュリティ教育を行う手順
  4. 教育のテーマを決める
  5. 対象者を選定する
  6. 実施期間や頻度を決める
  7. 実施方法を決める
  8. 効果を測定する
  9. 情報セキュリティ教育のコンテンツ例
  10. 個人情報保護の重要性
  11. 電子メール誤送信の危険性
  12. バックアップの必要性
  13. サイバー攻撃の種類と対策
  14. 無料Wi-Fiの危険性
  15. 情報セキュリティ教育で活用できる資料
  16. IPA|情報セキュリティ・ポータルサイト
  17. 総務省|国民のためのサイバーセキュリティサイト
  18. NISC|インターネットの安全・安心ハンドブック
  19. まとめ

情報セキュリティ教育とは

情報セキュリティ教育とは、組織内の全ての従業員に対して、情報セキュリティに関する知識やスキルを身につけてもらうための教育活動のことです。

その主な目的は、従業員の情報セキュリティ意識を高め、セキュリティ事故やサイバー攻撃のリスクを軽減することにあります。

具体的には、個人情報保護の重要性や電子メールの誤送信防止、パスワード管理の方法など、日常業務におけるセキュリティ対策の徹底を図ります。

加えて、最新のサイバー攻撃手法や対策についての情報提供も行い、従業員のセキュリティスキルの向上を目指すのが一般的です。

情報セキュリティ教育は、企業の機密情報を守るためにも欠かせない取り組みといえるでしょう。

情報セキュリティ教育の必要性

近年、日本国内ではサイバー攻撃の脅威が高度化しており、その被害件数も年々増加傾向にあります。

個人情報の漏洩や金銭的な損失など、企業が被る被害は深刻化しているのが現状です。

株式会社東京商工リサーチが2024年1月に発表した「2023年『上場企業の個人情報漏えい・紛失事故』調査」によると、上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏洩・紛失事故は、前年比6.0%増の175件でした。

また、漏洩した個人情報は、前年の約7倍である4,090万8,718人分にまで膨れ上がっています。

この事故件数のうち、原因別は「ウイルス感染・不正アクセス」が93件(53.1%)、「誤表示・誤送信」が43件(24.5%)、「不正持ち出し・盗難」が24件(13.7%)となっています。

こうしたセキュリティリスクを軽減するためにも、従業員への情報セキュリティ教育が重要視されているのです。

従業員1人ひとりがセキュリティの重要性を理解し、適切な対策を実践できるようになることで、組織全体のセキュリティレベルの向上に期待できます。

なお、情報セキュリティの具体的な脅威については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】情報セキュリティの「脅威」とは?リスクを軽減する効果的な対策

情報セキュリティ教育を行う手順

情報セキュリティ教育を効果的に実施するためには、適切な手順を踏むことが重要です。ここでは、情報セキュリティ教育を行う上での具体的な手順について解説します。

教育のテーマを決める

まず、教育のテーマを明確に定めることから始めましょう。組織内のセキュリティリスクを洗い出し、優先度の高い課題を選定します。

個人情報保護やパスワード管理、メール誤送信防止、SNSの利用方法など、従業員に徹底すべきテーマを絞り込むのがポイントです。

テーマが広すぎると知識の定着が難しくなります。テーマ選定の際は、従業員の業務内容や関心事も考慮に入れると良いでしょう。

対象者を選定する

テーマを決めた後は、教育を施す対象者を決めていきます。

基本的には全従業員を対象者とし、その後教育の内容に合わせて対象者を区分します。

一般従業員向けの基礎的な内容から、管理職向けの専門的な内容まで、対象者のスキルレベルに合わせた教育内容を用意することが大切です。

また、部署ごとに必要なセキュリティ知識が異なる場合は、部署別の教育プログラムを検討するのも有効でしょう。

実施期間や頻度を決める

一度きりの教育では知識の定着は望めないため、実施期間や頻度を決めて教育に取り組む必要があります。

定期的な教育の実施により、従業員のセキュリティ意識を継続的に高めていくことに繋がります。

一般的には、年1回程度の全社的な教育と、随時の部署別教育を組み合わせる方法が効果的です。

ただし、教育の頻度は従業員の業務負荷とのバランスを考慮する必要があり、頻度を高めすぎると対象者の負担となる恐れもあるため注意が必要です。

実施方法を決める

教育の実施方法も、従業員の特性に合わせて決定しましょう。実施方法には、主に以下のような選択肢があります。

▼情報セキュリティ教育の主な実施方法

  • 座学形式の内部セミナー
  • eラーニング
  • オンライン研修
  • 映像学習
  • 外部セミナー

受講者数や予算、スケジュールなどを総合的に判断し、最適な方法を選ぶことが求められます。

また、教育内容に合わせて、複数の実施方法を組み合わせるのも有効な手段の1つです。

効果を測定する

情報セキュリティ教育が一通り終わったら、教育の効果を測定し、改善に繋げていくことが重要です。

具体的には、理解度テストやアンケートなどを活用して、従業員の知識習得状況を確認します。

また、セキュリティインシデントの発生件数や対応状況の変化を追跡することで、教育の効果を定量的に評価することも可能です。

測定結果をもとに、教育内容や実施方法の見直しを図り、より実践的な教育プログラムを目指しましょう。

なお、理解度テストの結果に問題がある従業員がいた場合、そのままの状態を放置せず、丁寧にフォローアップするようにしてください。

情報セキュリティ教育のコンテンツ例

情報セキュリティ教育では、さまざまなトピックを取り上げることが可能です。ここでは、情報セキュリティ教育で扱うべき具体的なコンテンツ例を紹介します。

個人情報保護の重要性

個人情報保護は、情報セキュリティ教育の中でも特に重要なテーマの1つです。

個人情報保護法の遵守は企業の義務であり、従業員1人ひとりが適切な取り扱いを徹底する必要があります。

教育内容の例としては、個人情報の定義と種類、個人情報保護法の概要と罰則、個人情報漏洩時の対応手順などが挙げられます。

このような基本的な内容に加えて、個人情報の取り扱いにおける具体的な事例やケーススタディを交えることで、より実践的な教育を行うことができるでしょう。

電子メール誤送信の危険性

電子メールの誤送信は、情報漏洩に繋がる重大なリスクです。宛先の確認不足や添付ファイルの取り違えなど、ちょっとした不注意が大きな事故を引き起こします。

メール誤送信防止に関する教育内容としては、次のような例が考えられます。

▼電子メール誤送信の主な教育内容

  • 送信前の宛先・内容の確認徹底
  • BCC機能の活用方法
  • 添付ファイルの暗号化
  • 社外秘情報の取り扱い注意点
  • 誤送信時の速やかな報告と対応

これらの対策を従業員全員が確実に実践できるよう、具体的な手順やチェックリストを提示しながら教育を行うことが効果的です。

メール誤送信の危険性を十分に理解し、日々の業務の中で注意を怠らないよう意識付けを行いましょう。

バックアップの必要性

データの定期的なバックアップは、情報セキュリティ対策の基本中の基本です。

ランサムウェアなどのサイバー攻撃や、機器の故障によるデータ消失のリスクに備える上で欠かせません。

バックアップに関する教育内容は、バックアップの重要性と目的、バックアップ対象データの選定、バックアップからの復旧手順などが一般的です。

バックアップの重要性を理解するだけでなく、実際にバックアップを取得・検証する手順を身につけることが大切です。

サイバー攻撃の種類と対策

従業員がサイバー攻撃の種類と対策を理解することは、組織の情報セキュリティ強化に直結します。

サイバー攻撃に関する教育内容としては、以下のようなものが挙げられます。

▼サイバー攻撃に関する主な教育内容

  • マルウェアの種類と感染経路
  • フィッシング攻撃の特徴と見分け方
  • ランサムウェア対策の重要性
  • 不審メールへの対処方法
  • セキュリティソフトの導入と活用

学習の理解度を高めるため、サイバー攻撃の実例を交えながら、具体的な対策方法を解説するようにしましょう。

日々の業務の中でサイバー攻撃の予兆を見逃さないよう、従業員1人ひとりの観察力を高めることが求められます。

サイバー攻撃の種類と対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

【関連記事】サイバー攻撃34種類の手口と対策|最新の被害事例も紹介

無料Wi-Fiの危険性

無料Wi-Fiは利便性が高い反面、セキュリティリスクも伴います。

暗号化されていない通信の傍受や、偽アクセスポイントによる情報窃取など、さまざまな脅威が潜んでいるのです。

無料Wi-Fi利用に関する教育内容の具体例としては、無料Wi-Fiのセキュリティリスク、VPNの利用方法と重要性、偽アクセスポイントの見分け方などが挙げられます。

利便性を優先するあまり、セキュリティ対策を怠ってしまうケースが少なくありません。

無料Wi-Fi利用時の注意点を具体的に説明し、リスクを最小限に抑えるための方法を身につけてもらいましょう。

情報セキュリティ教育で活用できる資料

情報セキュリティ教育向けのコンテンツは、無料で提供されているものもあります。

無料で提供されている資料を活用すれば、コストを抑えて情報セキュリティ教育を実施できるでしょう。

IPA|情報セキュリティ・ポータルサイト

IPAが運営する「情報セキュリティ・ポータルサイト」では、研修に役立つ情報が網羅的に掲載されています。

特に「教育・学習」メニューの中小企業向け、より大きな企業・組織向けコンテンツには、役立つ資料が多数リストアップされています。

経営者、対策実践者、従業員などの対象者別に、情報セキュリティ対策のポイントをまとめた資料が提供されており、そのまま利用したり、自社の教材作成の参考にしたりできるでしょう。

総務省|国民のためのサイバーセキュリティサイト

総務省の「国民のためのサイバーセキュリティサイト」では、情報セキュリティ対策の基礎知識が提供されています。

「職場での対策」ページでは、システム利用者、経営層、情報管理担当者向けの情報セキュリティ対策が解説されており、研修資料作成に活用できます。

また、初歩的な内容から専門的な内容まで、多様な層に役立つ資料が揃っている点も特徴です。

情報セキュリティ関連の事故・被害事例、脆弱性の注意喚起なども掲載されているため、教育内容の充実に役立つでしょう。

NISC|インターネットの安全・安心ハンドブック

内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)の「インターネットの安全・安心ハンドブック」では、小規模な事業者やNPO向けのサイバーセキュリティに関する基本的な知識が掲載されています。

基本的な事項をイラストを交えてわかりやすく解説されているため、情報セキュリティ教育の導入部分で活用するのに適しています。

小規模な組織でも実践できる具体的な対策が数多く紹介されており、すぐにでも役立てることができるでしょう。

まとめ

この記事では、情報セキュリティ教育の必要性や具体的な教育内容、効果的な実施方法について解説しました。

情報セキュリティ教育を通して、従業員のセキュリティ意識を高め、適切な対策を実践できるようになることが重要です。

教育テーマの選定から効果測定まで、一連の手順を踏まえた体系的な教育プログラムの実施が求められます。

企業の信頼を守り、社会的責任を果たす上で欠かせない取り組みといえるでしょう。

情報セキュリティ教育以外にも、企業が行うべき対策は複数存在します。主な対策内容については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】企業が取り組むべきセキュリティ対策とは?重要性や対策内容を解説

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