「情報セキュリティリスクとは?主な発生原因や対策方法を知りたい」という疑問がある方もいるのではないでしょうか。
情報セキュリティリスクとは、企業や組織が保有する情報資産の機密性、完全性、可用性が脅かされる危険性のことです。
サイバー攻撃や内部不正、システム障害など、その原因は多岐にわたります。
リスクが顕在化すれば、情報漏洩や業務停止など、深刻な被害に繋がる恐れがあるため、事前に効果的な対策を講じることが重要です。
この記事では、情報セキュリティリスクの種類や発生原因、効果的な対策について詳しく解説します。
目次
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- 情報セキュリティリスクとは
- 情報セキュリティリスクの種類
- 機密性リスク
- 不正アクセス
- 内部脅威
- ヒューマンエラー
- 完全性リスク
- データの改ざん
- サイバー攻撃
- ハードウェアの故障・障害
- 可用性リスク
- ネットワーク攻撃
- サービス停止
- ヒューマンエラー
- 情報セキュリティリスクが発生する主な原因
- システムの脆弱性
- 管理体制の不備
- トラブルに弱い立地
- 情報セキュリティリスクの具体例
- 元派遣社員が約900万件の顧客情報を不正に流出
- ランサムウェア攻撃で約49万人の個人情報が漏洩
- 設定不備により約10万人の登録情報が閲覧可能に
- 情報セキュリティリスクに効果的な対策
- OSやソフトウェアを最新の状態に保つ
- セキュリティポリシーを策定し共有する
- 社内従業員の教育を徹底する
- 認証システムを導入する
- セキュリティ対策ソフトを導入する
- 情報セキュリティ対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
- まとめ
情報セキュリティリスクとは
情報セキュリティリスクとは、企業や組織が保有する情報資産に対する潜在的な脅威やその危険性のことを指します。
具体的には、情報資産の機密性、完全性、可用性が損なわれる危険性を意味しており、これらの要素が脅かされると、情報の漏洩や改ざん、システム停止などの深刻な被害に繋がる恐れがあります。
したがって、情報セキュリティリスクを適切に管理し、必要な対策を講じることは極めて重要です。
情報セキュリティリスクは、外部からの攻撃だけでなく、内部の脅威や人的ミスなど、さまざまな要因から生じる点にも注意が必要です。
情報セキュリティリスクの種類
情報セキュリティリスクは、主に機密性、完全性、可用性の3つに分類されます。
これらのリスクは、それぞれ異なる脅威や脆弱性から生じる可能性があり、組織の情報セキュリティ対策を検討する上で重要な指標となります。
機密性リスク
機密性リスクとは、許可されていない者が情報にアクセスする危険性のことです。
例えば、情報漏洩や盗聴など、情報の秘匿性が損なわれることで発生するリスクを意味します。
機密情報の流出は、企業の競争力低下や信用失墜に繋がるため、機密性リスクへの対策は情報セキュリティ管理における最重要課題の1つといえるでしょう。
【関連記事】情報漏洩が起こる原因や具体的なリスクとは?企業向けの対策も解説
不正アクセス
外部からの不正アクセスにより、機密情報が盗み出されるリスクがあります。
ハッカーによるサイバー攻撃や、マルウェアの侵入などが代表的な脅威です。
不正アクセスを防ぐためには、ファイアウォールやIDS/IPSの導入、脆弱性の定期的な診断と修正など、多層的なセキュリティ対策が欠かせません。
不正アクセスの脅威や対策について知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
内部脅威
従業員による意図的または無意識の情報持ち出しが、内部脅威となる場合があります。
例えば、USBメモリやスマートフォンへのデータ不正コピーなどがこれに該当します。
内部脅威への対策としては、アクセス権限の適切な管理に加え、データ利用ログの監視やファイル暗号化、従業員教育の徹底などが必要です。
ヒューマンエラー
従業員の操作ミスや不注意によっても機密性リスクは発生します。
情報漏洩が発生するリスクを認識できず、メールの誤送信を起こしたり、Webサイトへの誤投稿をしたりなどがこれに当たります。
ヒューマンエラーに対しては、定期的な教育・訓練の実施によるセキュリティ意識の向上が重要です。
完全性リスク
完全性リスクとは、情報が不正に改ざんされたり、破壊されたりする危険性のことであり、データの正確性や一貫性が損なわれることで、業務に深刻な支障をきたす恐れがあります。
このリスクが顕在化すると、誤った意思決定や対応を招き、企業の信用失墜や法的責任に繋がる可能性があります。
データの改ざん
悪意のある第三者によるデータの改ざんは、情報の信頼性を根底から覆す重大な脅威です。
改ざんされたデータに気付かずに業務を継続すれば、深刻な被害を招く恐れがあります。
こうしたリスクを防ぐためには、データの暗号化やアクセスログの管理が効果的な対策として挙げられます。
サイバー攻撃
マルウェアやランサムウェアによるサイバー攻撃は、データの破壊や暗号化を引き起こす危険性があり、業務に大きな支障をきたす極めて深刻な問題です。
特にランサムウェアによるサイバー攻撃は、未然に防ぐことが難しく、情報漏洩や金銭の要求による甚大な被害に繋がります。
最新のセキュリティ対策ソフトの導入や定期的なバックアップが、被害を最小限に抑える上で有効な対策となります。ランサムウェアについては以下の記事で解説しています。
ハードウェアの故障・障害
ハードウェアの故障や障害によって、データが破損または消失する恐れがあります。
特にストレージ機器の不具合は深刻な影響を及ぼすため、トラブルを招かないよう十分な注意が必要です。
具体的な対策として、定期的なメンテナンスによる予防や、バックアップによるデータ保全が挙げられます。
可用性リスク
可用性リスクとは、必要なときに情報やシステムが利用できなくなる危険性のことを指し、システムダウンや障害の発生により、業務が停止するリスクを意味しています。
以下、具体的な可用性リスクについて解説します。
ネットワーク攻撃
DDoS攻撃などのネットワーク攻撃は、代表的な可用性リスクに含まれます。
サービスの可用性を脅かす脅威であり、大量のトラフィックによってシステムが機能不全に陥り、利用者がアクセスできなくなる恐れがあります。
定期的な脆弱性診断やパッチ適用により、攻撃の入り口を最小限に抑えることが重要です。DDoS攻撃の詳細については以下の記事で解説しています。
【関連記事】DDoS攻撃とは?主な種類と5つの対策方法を紹介
サービス停止
システム障害やメンテナンスのミスが原因で、サービス停止に追い込まれることがあります。
その間、ユーザーは情報にアクセスできなくなり、結果としてビジネスに大きな支障が生じます。
自然災害によってもサービス停止が起こる可能性があるため、冗長化構成の採用やバックアップ体制の整備などが欠かせません。
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーも、可用性リスクを生み出す重大な要因の1つです。従業員の誤操作によって、システムがダウンしたり、データが消失したりする危険性があります。
操作手順の明確化や権限管理の徹底が、ミスの防止と被害の最小化に有効な対策となります。
情報セキュリティリスクが発生する主な原因
情報セキュリティリスクは、技術的、人的、物理的な要因が複雑に絡み合って発生します。
これらの要因を適切に管理し、必要な対策を講じることで、リスクの低減に繋げることができるでしょう。
システムの脆弱性
システムの脆弱性は、サイバー攻撃の格好の標的となります。
例えば、管理サーバーに脆弱性があると、その脆弱性からサーバー接続に必要なパスワードが盗まれ、不正アクセスに繋がるといったケースがあります。
OSやソフトウェアの更新不備、設定ミスなどが、脆弱性を生み出す主な原因であり、脆弱性をカバーする効果的な対策が必要です。
脆弱性に関する理解を深めたいなら、以下の記事をご覧ください。
管理体制の不備
セキュリティポリシーの欠如や従業員教育の不足など、管理体制の不備にも注意しなければなりません。
管理体制に不備があると、社用デバイスが盗まれ情報漏洩に繋がったり、フィッシング攻撃の被害に遭いパスワードが盗まれたりします。
ルールの整備と周知徹底、意識啓発の取り組みが、組織の防御力を高める上で重要です。
トラブルに弱い立地
自然災害や停電などの外的要因も、情報セキュリティリスクを高める可能性があります。
特にデータセンターの立地選定は、事業継続の観点から重要な意思決定の1つです。
災害リスクの低い地域を選ぶことに加え、十分な電力供給や通信環境の確保が求められます。
情報セキュリティリスクの具体例
過去には、大手企業から中小企業まで、さまざまな企業で情報セキュリティリスクが発生しています。
ここでは、情報セキュリティリスクの具体例を3つ紹介します。
元派遣社員が約900万件の顧客情報を不正に流出
2023年10月、大手通信会社における子会社の元派遣社員が、顧客情報約900万件を内部不正により流出させました。
システムの管理アカウントを用いて、元派遣社員はデータが保存されるサーバーにアクセスし、名前や住所、電話番号などの個人情報が含まれたファイルデータを持ち出しました。
犯人は顧客情報を売買したことで、過去2,000万円以上の利益を得たと推測されています。
ランサムウェア攻撃で約49万人の個人情報が漏洩
2022年10月、市民生活協同組合に対するランサムウェア攻撃で、約49万人の個人情報が漏洩した恐れがある事件が発生しました。
事件の原因は、ネットワーク機器の脆弱性を悪用したランサムウェア攻撃です。
攻撃者は内部情報を収集した上でランサムウェア攻撃を行い、サーバー内における顧客情報(氏名、住所、電話番号、口座情報など)を暗号化しました。
バックアップ自体も暗号化されていたため、バックアップからの復旧が困難であることが後に判明しました。
設定不備により約10万人の登録情報が閲覧可能に
2023年11月、大手人材サービス会社が運営する転職サイトで、従業員の設定不備により、約10万人の登録情報が直近の勤務先企業から閲覧可能になっていた事件が発生しました。
主な原因は、企業データベースと個人プロフィールの突合プログラムにおける設計不備です。
閲覧できた情報としては、ユーザーの年齢や性別、最終学歴、直近の年収、希望年収などがあったとされます。
情報セキュリティリスクに効果的な対策
情報セキュリティリスクに対抗するには、技術的対策と運用面での対策を組み合わせ、多層的な防御を構築することが大切です。
ここでは、情報セキュリティリスクに効果的な対策を5つ紹介します。
OSやソフトウェアを最新の状態に保つ
システムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃を防ぐには、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つことが重要な対策となります。
セキュリティパッチの適用は、脆弱性を修正する上で欠かせないプロセスです。自動更新機能を活用すれば、確実かつ効率的なアップデートが可能になるでしょう。
また、サポート期限切れのソフトウェアは脆弱性が放置されるリスクが高いため、計画的な移行が求められます。
セキュリティポリシーを策定し共有する
セキュリティポリシーを策定し、社内全体で共有することも重要です。
組織全体で一貫したセキュリティ対策を実施することで、内部脅威やヒューマンエラーの防止に繋がります。
情報資産の取り扱いルールやインシデント発生時の対応手順を明文化し、従業員に浸透させる取り組みが求められます。
社内従業員の教育を徹底する
人的要因に関する情報セキュリティリスクを低減するためには、従業員教育が重要な鍵を握ります。
セキュリティ意識の向上を図りたい場合は、定期的な研修やeラーニングの実施が有効です。
実際のインシデント事例を題材とした訓練は、リスクの現実性を実感できる点で特に効果が見込めます。
加えて、日常業務の中でセキュリティを意識した行動を習慣づけることも、教育の重要な柱の1つです。
認証システムを導入する
不正アクセスによる情報漏洩を防ぐ有効な手段の1つが、強固な認証システムの導入です。多要素認証の採用により、なりすましのリスクを大幅に低減することができます。
▼多要素認証に用いる3種類の要素
- 知識情報
- 所持情報
- 生体情報
多要素認証を採用する際は、認証情報についての理解を深めた上で導入することが大切です。多要素認証の概要やメリット、注意点は以下の記事で解説しています。
セキュリティ対策ソフトを導入する
セキュリティ対策ソフトを導入すれば、さまざまなサイバー攻撃を軽減できます。
ウイルス対策やファイアウォールなど、多様な脅威に対応した総合ソフトを選択することが求められます。
また、導入時は検知率や誤検知の少なさなど、製品の性能を十分に吟味することが重要です。
定義ファイルを常に最新の状態に保ち、リアルタイムな監視体制を維持することが、安全性を高める上で欠かせません。
情報セキュリティ対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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まとめ
この記事では、情報セキュリティリスクの種類や発生原因、効果的な対策について解説しました。
機密性、完全性、可用性の3つに分類される情報セキュリティリスクは、技術的、人的、物理的な要因が絡み合って発生します。
社内従業員の教育や認証システムの導入など、多層的な対策を講じることが、情報セキュリティリスクを低減する鍵を握ります。
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文責:GMOインターネットグループ株式会社