「IoTセキュリティとは何?どのような対策が必要?」という疑問がある方も多いのではないでしょうか。
IoTセキュリティとは、IoTデバイスやシステムを守るための技術や対策のことを指します。
IoTデバイスの普及に伴い、サイバー攻撃のリスクが高まっているため、適切なセキュリティ対策が不可欠です。
IoTデバイスの認証や通信の暗号化、脆弱性対策などを通じて、データの機密性、完全性、可用性を確保することが重要となります。
この記事では、IoTセキュリティの仕組みや課題、対策の手順について詳しく解説します。
目次
[ 開く ]
[ 閉じる ]
IoTセキュリティとは
IoTセキュリティとは、IoTデバイスやシステムをリスクから保護するための技術や一連の活動のことです。
IoTデバイスはインターネットに接続されることで利便性が高まる一方、常にサイバー攻撃のリスクにさらされています。
IoTデバイスはPCやサーバほどセキュリティ対策がされていないことがも多く、IoTデバイスの活用をより進めていくためには、適切な対策を講じることは不可欠といえます。
IoTセキュリティの主な目的は、デバイスの認証、通信の暗号化、脆弱性対策などを通じて、機器の機密性、完全性、可用性を確保することです。
また、IoTシステム全体を俯瞰した包括的なセキュリティ対策が求められます。
【関連記事】サイバー攻撃34種類の手口と対策|最新の被害事例も紹介
IoTデバイスのセキュリティリスク
IoTデバイスは、インターネットに常時接続されているため、サイバー攻撃の標的になりやすい特性があります。
企業においては、以下のようなセキュリティリスクが考えられます。
▼IoTデバイスの主なセキュリティリスク
- 不正アクセスによるデータ流出
- プライバシー侵害
- IoTデバイスを踏み台にした他システムへの攻撃
- サービス停止による業務への影響
IoTデバイスに対する不正アクセスが発生すれば、意図した動作が出来なくなる可能性や、機微情報の漏洩、デバイスを踏み台にした新たな攻撃が発生する可能性などが考えられます。
IoTデバイスに対するサイバー攻撃
IoTデバイスを狙ったサイバー攻撃は、年々巧妙化・多様化しています。以下、代表的なIoTデバイスに対するサイバー攻撃について解説します。
ファームウェアの脆弱性悪用
IoTデバイスのファームウェア(システム制御のためのソフトウェア)には、脆弱性が存在する場合があり、その脆弱性を攻撃者に悪用される恐れがあります。
脆弱性を悪用されると、IoTデバイスに不正なプログラムを実行されたり、保存されている情報を窃取されたりするリスクがあるのです。
多くのIoTファームウェアには、高度なセキュリティ保護機能は搭載されておらず、攻撃者から狙われないためには効果的な対策が求められます。
最新のアップデートを適用するのはもちろん、脆弱性情報を収集し、迅速にパッチを適用できる体制を整えることも大切です。
なお、脆弱性については以下の記事で詳しく解説しています。
パスワードクラッキング
パスワードクラッキングは、パスワードを不正に割り出し、さまざまなシステムへのログインを狙う手口です。
単純なパスワードを使用しているIoTデバイスが狙われやすく、不正アクセスのリスクが高くなります。
また、複数のIoTデバイスでログイン情報を共有している場合も被害リスクが高くなるため、外部からログインできないように制限を掛けることや、公開鍵や安全な認証基盤を用いたユーザ管理が不可欠です。
物理的なハードウェアベース攻撃
攻撃者がIoTデバイスに直接アクセスして不正操作を行う手口も存在します。
USBポートやMiniSDカードスロットなどの物理的なインターフェースから攻撃を仕掛けられるため、物理的なアクセス制御が重要となります。
不要なUSBポートを無効化したり、IoTデバイスへの物理アクセスを制限したりなどの対策が有効です。
IoTセキュリティの仕組み
IoTセキュリティは、IoTデバイスとネットワーク通信の両面から考える必要があります。ここでは、IoTセキュリティの主な仕組みについて解説します。
IoTデバイスの安全性
IoTデバイス自体のセキュリティを確保するには、「認証システム」と「暗号化機能」の2点が重要となります。
なぜなら、適切な認証管理により不正アクセスを防ぐことができ、暗号化機能によってデータの保護ができるためです。
基本的な認証システムはID/パスワードですが、それ以外にもIPアドレスの制限や公開鍵認証方式など、さまざまな方法が存在します。
また、ファームウェアを最新の状態に保ち、セキュリティパッチを適用することで、既知の脆弱性を修正することが可能です。
IoTデバイスの安全性を維持するためには、これらの対策を継続的に行うことが欠かせません。暗号化について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご確認ください。
ネットワーク通信の安全性
ネットワーク通信の安全性も重要であり、IoTデバイスとクラウドサーバー間の通信を保護するには、暗号化機能が不可欠です。
SSL/TLSによる通信の暗号化は、データの盗聴や改ざんを防ぐ上で効果的な手段となります。
また、仮想的な専用回線を構築するVPNを利用することで、インターネット上の通信を安全に行うことができます。
VPNは通信内容を秘匿するため、IoTデバイスとクラウドサーバー間の通信を保護する役割を果たすのです。
IoTセキュリティの課題
IoTセキュリティの実施にあたっては、ユーザーとの対話と教育、アップデートの欠如など、さまざまな課題が存在します。以下、IoTセキュリティの主な課題について解説します。
アップデートの欠如
IoTデバイスのファームウェアアップデートが行われていないケースが多く見られます。
古いファームウェアには脆弱性が残っている可能性があり、サイバー攻撃に遭うリスクが高くなってしまいます。
脆弱性を狙った攻撃を防ぐため、IoTデバイスのファームウェアを定期的にアップデートし、最新の状態に保つことがセキュリティ上重要です。
高機能なIoTデバイスには、自動ファームウェアアップデート機能が搭載されています。
アップデートの欠如を効率よく防ぐためにも、自動ファームウェアアップデート機能を有効にしましょう。
セキュリティ対策の不足
コストや利便性を優先するあまり、IoTデバイスのセキュリティ対策が不十分なケースがあります。
セキュリティ対策が不十分だと、攻撃者に脆弱性を発見され、大きなトラブルに繋がるリスクが高くなります。
例えば、IoTデバイスが攻撃者に乗っ取られた場合、機密情報が流出したり、踏み台攻撃に利用されたりする恐れもあるでしょう。
サイバー攻撃を未然に防ぐためには、製品の設計段階からセキュリティを考慮し、十分な対策を講じることが求められます。
IoTセキュリティの対策とその手順
IoTセキュリティ対策には、体系的なアプローチが求められます。以下、IoTセキュリティ対策の内容とその手順を解説します。
ガイドラインを定める
IoTセキュリティ対策の第一歩は、ガイドラインの策定です。
具体的には、セキュリティ目標や管理体制、予算などを明確にすることが重要となります。
ガイドラインはIoTセキュリティ対策全体の指針となるため、組織の状況を踏まえた上で、慎重に検討する必要があります。
また、ガイドラインを定めた後は社内全体に周知し、適時内容を見直すことも大切です。
リスクを分析する
IoTデバイスやシステムのセキュリティリスクを洗い出し、分析することが必要不可欠です。
資産の洗い出しや脅威の特定、リスク評価などを行い、セキュリティ上の課題を明らかにします。
特に、セキュリティレベルの低いデバイスを特定することが重要です。
分析の結果は、IoTセキュリティ対策の優先順位付けや具体的な施策の検討に活用することになります。
守るべきものの設計を考える
リスク分析で明らかになった課題に対し、守るべきものの設計を考えます。
機密情報や重要システムなど、優先的に保護すべき対象を見極めることで、限られたリソースを効果的に配分し、セキュリティレベルの向上を図れます。
リスクを完全になくすことはできないという考えを念頭に置き、守るべきものの設計を検討しましょう。
セキュリティ対策を構築する
リスク分析と設計に基づき、具体的なセキュリティ対策を構築することが求められます。具体的には、以下のようなセキュリティ対策が考えられます。
▼IoTセキュリティの具体的な対策
- 最新のファームウェアへのアップデート
- 強力なパスワードの設定
- 認証システムの導入
- 物理的なアクセス制御
- VPNを使った通信の暗号化
- ファイアウォールやIDS/IPSの導入
パスワードや認証管理の強化により不正アクセスを防ぎ、暗号化の適用によってデータの機密性を確保します。
また、不正侵入検知システムを導入することで、サイバー攻撃の兆候を早期に発見し、被害を最小限に抑える効果も期待できるでしょう。
運用・保守を継続的に実施する
IoTセキュリティ対策は、構築だけでなく運用・保守も重要な要素といえます。
日々の監視活動を通じて、セキュリティインシデントの兆候を捉え、速やかに対処することが求められます。
定期的な監査の実施によるセキュリティ対策の有効性検証や、インシデント発生時の対応体制整備、継続的な改善も欠かせない取り組みです。
また、脆弱性情報を常に収集・分析することで、長期的にIoTセキュリティの強化が図れます。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエがIoTペネトレーションテストを実施
画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」は、IoTデバイスの脅威に対するセキュリティ評価を実施しています。
同社のサービスでは、ソフトウェア解析やハードウェア解析を通じて、IoTデバイスのセキュリティ上の問題を多角的に診断します。
製品を市場にリリースする前にセキュリティ評価を行うことで、製品品質の向上と改修コストの削減が見込めるのです。
▼対応実績の一例
- ゲーム機
- スマートロック
- スマート家電
- ネットワーク機器
- オフィス機器
- ドローン
- カメラ
- ヘルスケア機器
- 車両部品
IoTデバイスの開発者様や運用者様、OEM様にとって、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のサービスは自社製品のセキュリティを確保する上で心強い味方となるでしょう。
同社のIoTペネトレーションテストを活用し、IoTセキュリティ対策を強化することをおすすめします。
まとめ
この記事では、IoTセキュリティの仕組みや課題、対策の手順について解説しました。
IoTデバイスとネットワーク通信の両面からセキュリティを考え、認証システムや暗号化機能の適用、脆弱性対策などを講じることが重要です。
また、ユーザー教育の実施やアップデートの徹底、設計段階からのセキュリティ考慮など、IoTセキュリティの課題にも取り組む必要があります。
IoTセキュリティ対策の強化を考えている企業様は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のIoTペネトレーションテストの活用をご検討ください。
多様な観点からIoTデバイスを評価し、IoTセキュリティ対策の強化をサポートいたします。
文責:GMOインターネットグループ株式会社