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リバースプロキシとは?プロキシとの違いや採用するメリット・デメリット

リバースプロキシとは、Webブラウザなどのクライアントとサーバーの間で仲介役を果たすネットワークデバイス、またはサーバーのことです。

外部からのリクエストを受け付け、内部のWebサーバーに代わって応答を返すことで、セキュリティの向上や負荷分散、パフォーマンス改善などのメリットをもたらします。

一方で、導入や運用の複雑さ、障害発生時の影響の大きさなどのデメリットも存在するため注意が必要です。

この記事では、リバースプロキシの仕組みやメリット・デメリット、実装方法について解説します。

目次

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  1. リバースプロキシとは
  2. プロキシとの違い
  3. プロキシサーバーとは
  4. リバースプロキシの仕組み
  5. リバースプロキシを採用するメリット
  6. サーバーの負荷分散
  7. SSLの高速化
  8. パフォーマンスの向上
  9. セキュリティレベルの向上
  10. 柔軟な環境の構築
  11. リバースプロキシを採用するデメリット
  12. リバースプロキシ停止による全体のサービス停止
  13. SSL/TLS設定の複雑化
  14. 設定・メンテナンスの複雑化
  15. 中間者攻撃のリスク向上
  16. リバースプロキシの実装方法
  17. リバースプロキシソフトウェアの選択とインストール
  18. 設定ファイルの編集
  19. リバースプロキシの起動とテスト
  20. パフォーマンスチューニングとセキュリティ対策
  21. まとめ

リバースプロキシとは

リバースプロキシとは、Webブラウザなどのクライアントとサーバーの間で仲介の役割を果たすネットワークデバイス、またはサーバーのことです。

外部からのリクエストを受け付け、内部のWebサーバーに代わって応答を返すことが主な役割となります。

これにより、アクセスが急増してもサーバーは継続して動作し、アクセスを防がれることがありません。

また、外部から直接Webサーバーにアクセスすることができないため、セキュリティの向上にも寄与します。

リバースプロキシは、複数のWebサーバーに対するリクエストを振り分ける負荷分散の機能も備えており、Webサイトの安定運用に大きく貢献しています。

プロキシとの違い

リバースプロキシとプロキシは、どちらもクライアントとサーバーの間で仲介役を務めるという点で共通しています。

しかし、プロキシは主にクライアント側に設置され、クライアントからのリクエストを代理で送信する役割を担います。

一方、リバースプロキシはWebサーバー側に設置され、クライアントからのリクエストを受け取り、適切なサーバーに転送するのが主な役割です。

つまり、プロキシはクライアントの代理人、リバースプロキシはWebサーバーの代理人という位置づけになります。

プロキシサーバーとは

プロキシサーバーとは、クライアントとサーバーの間に位置し、リクエストの中継や制御を行うサーバーのことです。

プロキシサーバーはクライアントからのリクエストを受け取り、必要に応じて内容を変更してから目的のサーバーに転送します。

リバースプロキシもプロキシサーバーの一種ですが、主にサーバー側に設置され、外部からのリクエストを受け付ける役割を担っています。

リバースプロキシの仕組み

リバースプロキシは、外部インターネットからサーバーへのアクセスを中継する仕組みです。

インターネットへ接続する方向がプロキシの逆(リバース)となるため、リバースプロキシと呼ばれています。その主な流れは以下の通りです。

▼リバースプロキシの主な流れ

  1. クライアントがインターネット経由でリクエストを送信する
  2. リバースプロキシがリクエストを受信する
  3. リバースプロキシが適切なWebサーバーにリクエストを転送する
  4. Webサーバーがリバースプロキシにレスポンスを返送する
  5. リバースプロキシがレスポンスをクライアントに送信する

この一連の流れにより、クライアントとWebサーバー間の通信が確立されます。

外部からは直接Webサーバーにアクセスできないため、セキュリティの向上が図れます。

また、リバースプロキシが複数のWebサーバーに対するリクエストを振り分けることで、負荷分散も実現できるのです。

リバースプロキシを採用するメリット

リバースプロキシを採用することで、企業にとって複数のメリットが見込めます。ここでは、リバースプロキシの導入にあたっての具体的なメリットを解説します。

サーバーの負荷分散

リバースプロキシは、複数のWebサーバーに対するリクエストを適切に振り分ける役割を担います。

これにより、特定のサーバーに負荷が集中することを防ぎ、システム全体の安定性を高められるのです。

サーバーのメンテナンスやトラブル対応の際にも、一部のサーバーを切り離すことで影響範囲を最小限に抑えられます。

大規模なWebサイトを運営する上で、負荷分散の機能は欠かせない要素といえるでしょう。

SSLの高速化

SSLとは、ユーザーとWebサーバー間でやり取りする内容を暗号化する技術のことです。

リバースプロキシはSSLの暗号化・復号化機能を持っているため、Webサーバー側でSSLの処理を行う必要がありません。

この機能により、サーバーの負荷を軽減できるだけでなく、Webサーバーとの通信を高速化できるのも大きな利点です。

ユーザー体験の向上に繋がり、サイトの価値を高める効果に期待できます。

パフォーマンスの向上

頻繁にアクセスされるコンテンツをキャッシュする機能を備えているのが、リバースプロキシの特徴の1つです。

同じリクエストに対して高速にレスポンスを返すことができるため、Webサイトのパフォーマンス向上に寄与します。

また、リバースプロキシによる圧縮機能は、転送データ量を削減・最適化し、さらなる高速化に貢献します。

セキュリティレベルの向上

外部からの直接的なアクセスを防ぎ、Webサーバーを保護する役割も果たします。

外部からのリクエストを一旦受け止め、内部のWebサーバーに転送する仕組みにより、高いセキュリティレベルを確保できるのです。

加えて、WAFなどのセキュリティ機能をリバースプロキシに組み込むことで、より高度な脅威への対策も可能となるでしょう。

企業の信頼性を高め、ビジネスチャンスの拡大にも繋がるセキュリティレベルの向上は、大きな魅力といえます。

柔軟な環境の構築

リバースプロキシの活用により、Webサーバーの構成変更が容易になります。

バックエンドのWebサーバーを増減させたり、異なる環境のサーバーを組み合わせたりすることが可能となるのです。

トラフィックの変動に合わせたスケーリングや、段階的なシステム移行、リバースプロキシによる抽象化などが実現できるのは大きなメリットです。

ビジネスの成長や変化に対応する上で、柔軟な環境構築は重要な要素といえるでしょう。

リバースプロキシを採用するデメリット

リバースプロキシを採用するにあたっては、メリットだけでなくデメリットも存在します。

導入や運用の難しさ、障害発生時の影響の大きさなど、考慮すべき点は少なくありません。

リバースプロキシ停止による全体のサービス停止

リバースプロキシが停止した場合、全体のサービス停止に追い込まれるリスクがあります。

単一障害点となるリバースプロキシに問題が発生すると、影響範囲が広範囲に及ぶ可能性が高いのです。

冗長化やフェイルオーバーの仕組みを導入することである程度のリスク軽減は図れますが、完全に回避することは難しいでしょう。

ビジネスに直結する重大な問題に繋がりかねないリバースプロキシの障害は、十分な対策が求められます。

SSL/TLS設定の複雑化

リバースプロキシの導入により、SSL/TLSの設定が複雑化してしまう点には注意が必要です。

リバースプロキシとWebサーバーの両方で適切なSSL/TLS設定を行う必要があり、SSL/TLSの終端を行う場合、暗号化された通信を受け取り、復号してサーバーに転送する手間が発生します。

この影響で、証明書の管理やセキュリティポリシーの設定が複雑化するのです。

また、SSL/TLSのバージョンや暗号スイートの不一致が原因で、接続エラーが発生するリスクもあります。

設定・メンテナンスの複雑化

システム全体の設定やメンテナンスの複雑化を招く恐れもあります。

リバースプロキシの設定にはさまざまなオプションや機能があり、Webサーバーとの適切な設定と連携が必要となるため、運用の難易度が全体的に上がってしまうのです。

加えて、トラブルシューティングの際には、問題の切り分けが難しくなるケースも考えられます。

人的コストの増大やミスのリスク増加に繋がる設定やメンテナンスの複雑化は、注意すべきデメリットといえるでしょう。

中間者攻撃のリスク向上

中間者攻撃とは、二者間の通信に不正に割り込み、データを盗聴・改ざんするサイバー攻撃の一種です。

リバースプロキシが攻撃者に乗っ取られた場合、中間者攻撃により通信の内容を改ざん・盗聴される可能性があります。

機密情報の漏洩やなりすましなどの被害に繋がる中間者攻撃は、セキュリティ面での脅威として無視できません。

リバースプロキシの導入により、このようなリスクが高まる点は、十分に認識しておく必要があります。中間者攻撃の詳細については以下の記事で解説しています。

【関連記事】中間者攻撃(MitM攻撃)とは?代表的な種類や被害事例、対策方法を紹介

リバースプロキシの実装方法

リバースプロキシを導入する際には、大きく分けて以下4つの手順を踏む必要があります。

リバースプロキシの正しい設定と運用は、Webサービスの品質向上に大きく貢献します。

リバースプロキシソフトウェアの選択とインストール

まずは、リバースプロキシとして使用するソフトウェアを選択します。一般的なソフトウェアとしては、以下のようなものが挙げられます。

▼リバースプロキシソフトウェアの一例

  • Nginx
  • Apache HTTP Server
  • Microsoft IIS

それぞれに特徴があるものの、高いパフォーマンスと安定性を備えているのが共通点です。

自社のニーズに合ったソフトウェアを選択し、公式サイトからのダウンロード・インストールを検討しましょう。

設定ファイルの編集

インストールが完了したら、次はリバースプロキシの設定ファイルを編集します。

設定ファイルの場所はソフトウェアによって異なりますが、通常は決められたディレクトリ内に存在します。

編集する際は、ポート番号やバックエンドサーバーのアドレス、ロードバランシングの設定など、必要な情報を正確に記述することが重要です。

SSL/TLSを使用する場合は、リバースプロキシがSSL/TLS接続を受け入れるための設定も忘れずに行いましょう。

リバースプロキシの起動とテスト

設定ファイルの編集が終わったら、いよいよリバースプロキシを起動します。

Linuxではsystemctlコマンド、WindowsではIISマネージャーを使って、サービスの管理を行うのが一般的です。

起動後は、リバースプロキシが正常に機能しているかをテストすることが欠かせません。

ブラウザからリバースプロキシのアドレスにアクセスし、バックエンドサーバーのコンテンツが正しく表示されるか確認しましょう。

また、ロードバランシングやSSL/TLSの動作テストも忘れずに行いたいところです。

パフォーマンスチューニングとセキュリティ対策

リバースプロキシの基本設定が完了したら、最後にパフォーマンスチューニングとセキュリティ対策を行います。

具体的には、以下のようなパフォーマンスチューニングとセキュリティ対策が挙げられます。

▼パフォーマンスチューニングとセキュリティ対策の一例

  • キャッシュ設定
  • タイムアウト設定
  • IPアドレス制限
  • リクエスト制限

IPアドレスや特定の期間内のリクエスト数を制限することで、不正アクセスやDoS攻撃のリスクを軽減できます。

ただし、設定の変更には十分な注意が必要です。適切でない設定は、かえってパフォーマンスを低下させたり、セキュリティ上の脅威を招いたりする恐れがあります。

まとめ

この記事では、リバースプロキシの仕組みやメリット・デメリット、実装方法について解説しました。

リバースプロキシを適切に導入・運用することで、Webサイトのセキュリティ強化、パフォーマンス向上、柔軟な環境構築などのメリットを享受できます。

一方、リバースプロキシ停止による全体のサービス停止や設定の複雑化、中間者攻撃のリスク増大などのデメリットにも留意が必要です。

リバースプロキシは、現代のWebインフラを支える重要な要素の1つです。Webサービスの品質向上を目指す企業は、リバースプロキシの採用をぜひご検討ください。

リバースプロキシと一部関連性のあるセキュリティ技術「シングルサインオン(SSO)」については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】シングルサインオン(SSO)とは?導入するメリット・デメリット

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