「セキュリティホールとは何のこと?」「セキュリティホールによる具体的なリスクを知りたい」という疑問がある方もいるのではないでしょうか。セキュリティホールとは、ソフトウェアやOSの開発段階で発生したセキュリティ上の弱点のことです。
弱点を放置すると、マルウェア被害や情報漏洩など、企業にとって脅威となるさまざまなリスクを招く恐れがあります。セキュリティホールをなくし、第三者からの攻撃を防ぐためには、強固なセキュリティ環境を構築することが重要です。
そこで今回は、セキュリティホールを狙った攻撃の種類、具体的なリスクや被害事例、効果的な対策について解説します。
目次
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- セキュリティホールとは
- セキュリティホールを狙った攻撃の種類
- バッファ・オーバーフロー
- SQLインジェクション
- OSコマンドインジェクション
- クロスサイト・スクリプティング
- クロスサイトリクエストフォージェリ
- DNSキャッシュポイズニング
- セキュリティホールによる具体的なリスク
- ハッキング
- マルウェア被害
- 情報漏洩
- ゼロデイ攻撃
- セキュリティホールに関する被害事例
- macOSやiOSにおけるゼロデイ脆弱性
- 産業制御システムを狙ったサイバー攻撃
- オンライン会議ツールにおける脆弱性の被害
- セキュリティホールへの効果的な対策
- セキュリティパッチを最新の状態にする
- WAFを導入する
- 脆弱性診断を受ける
- セキュリティ対策ソフトを導入する
- セキュリティホールの対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
- まとめ
セキュリティホールとは
セキュリティホールとは、ソフトウェアやOSの開発段階で発生したセキュリティ上の弱点のことを指します。この弱点は、不正アクセスやマルウェアが侵入する際の経路として悪用される可能性があります。
多くのセキュリティホールは、開発段階での設計ミスやプログラミングによる不具合、さらにはアップデートの際の不備が主な原因です。そのままの状態で放置すると、外部からの攻撃を受けるリスクが高まり、企業の機密情報やサービスが危険に晒されることになります。
特に企業のセキュリティ担当者は、セキュリティホールを早急に特定し、適切な対策を講じることが求められます。
セキュリティホールを狙った攻撃の種類
セキュリティホールは攻撃者の標的となる危険性があるため、具体的な攻撃の手法やリスクを理解することが大切です。以下、セキュリティホールを狙った攻撃の種類を紹介します。
- バッファ・オーバーフロー
- SQLインジェクション
- OSコマンドインジェクション
- クロスサイト・スクリプティング
- クロスサイトリクエストフォージェリ
- DNSキャッシュポイズニング
各種類の特徴やリスクについて見ていきましょう。
バッファ・オーバーフロー
バッファ・オーバーフローとは、プログラム実行時にデータを保存する場所(バッファ)の容量を溢れさせることで、誤作動やトラブルを起こさせるサイバー攻撃のことです。
具体的には、実行中のプログラムが強制終了させられたり、悪意のあるコードが送り込まれたりします。この結果、重要なデータの漏洩やサーバーの乗っ取りに繋がる恐れがあります。
SQLインジェクション
SQLインジェクションは、不正なSQL文をアプリケーションの入力欄などに注入(インジェクション)し、データベースを操作する攻撃です。
具体的なリスクとしては、顧客情報の盗み取りや、データベースの改ざん・削除などが考えられます。企業としては、情報漏洩の危険性が高まるため対策が不可欠です。
OSコマンドインジェクション
アプリケーションに不正なコマンドが注入し、対象のサーバーに不正アクセスを図る攻撃がOSコマンドインジェクションです。
この攻撃は、アプリケーションがOSのコマンドを実行する際の入力値の検証が不足している場合に成立します。主なリスクは、サーバー内に侵入されることによる情報漏洩やシステムの破壊です。
クロスサイト・スクリプティング
クロスサイト・スクリプティングとは、アプリケーションやWebサイトの弱点を標的にし、悪意のあるスクリプトを実行する攻撃のことです。
▼クロスサイト・スクリプティングの主なリスク
- Webサイトの書き換え
- データの不正利用
- 情報の削除
攻撃者はメールやSNS、掲示板を通してリンクを送信し、悪意のあるWebサイトに誘導することでスクリプトの実行を図ります。
クロスサイトリクエストフォージェリ
クロスサイトリクエストフォージェリとは、ユーザーが意図しない操作を強制的に行わせる攻撃のことです。この攻撃により、ユーザーのアカウントを乗っ取るリスクが生じます。
問い合わせフォームや掲示板などを処理するWebアプリケーションの脆弱性や、セキュリティホールなどが原因で被害を受けます。
DNSキャッシュポイズニング
DNSキャッシュポイズニングは、DNSサーバーに保存されているDNSキャッシュに偽の情報を記録させ、ユーザーを別のサーバーと通信するよう促す攻撃手法です。
- ▼DNS(Domain Name System)とは
- インターネット上でドメイン名を管理・運用するためのシステム。
この攻撃により、ユーザー情報が盗まれたり、マルウェアに感染したりするリスクが伴います。
セキュリティホールによる具体的なリスク
セキュリティホールが存在する場合、大きなトラブルを招く恐れがあります。具体的なリスクとして、以下の4つをそれぞれ解説します。
- ハッキング
- マルウェア被害
- 情報漏洩
- ゼロデイ攻撃
これらリスクの詳細を一つずつ見ていきましょう。
ハッキング
セキュリティホールが存在すると、ハッキングのリスクが増大します。これは、システム内部に不正アクセスされ、マルウェア感染やサーバー乗っ取りなどの危険性が高まるためです。
▼ハッキングによる具体的な被害
- 個人情報やファイルなどが盗まれる
- 盗まれた情報・ファイルなどが公開・削除・破壊される
- 第三者によるなりすまし被害に遭う
顧客情報の盗難やWebサイトの改ざんにより、企業の信用失墜や業務停止といった被害に繋がる可能性もあります。
マルウェア被害
セキュリティホールが起因となり、不正コードが実行されるなどでマルウェア被害に繋がる恐れもあります。悪意のある攻撃者によってマルウェアが仕込まれると、以下のようなリスクが伴います。
▼マルウェア感染による具体的な被害
- ランサムウェアによるデータの人質化
- トロイの木馬による情報窃取
- コンピュータの動作遅延・停止
このような被害は、事業継続に大きな支障をきたす可能性があります。また、対象のデバイスだけでなく、社内のコンピュータ全体に感染する危険性もあるため注意が必要です。
情報漏洩
企業の重要情報が外部に流出する危険性があります。セキュリティホールがある状態だと、データベースやファイルサーバーなどへの侵入が容易となるため、攻撃者は簡単に情報を盗み出すことが可能です。
例えば、顧客データや業務関連の機密情報などが第三者に流出した場合、法的なトラブルや信用の低下に繋がる恐れがあります。また、企業の競争力を損なう可能性も考えられるため、厳重な管理が求められます。
ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃とは、セキュリティホールが発見されてから、対策が講じられる前にその脆弱性を狙う攻撃のことです。セキュリティホールがあることで、この種の攻撃を受けることもあります。
具体的には、ソフトウェアの脆弱性が発見されてから対策が施されるまでの短い期間に、攻撃者がその脆弱性を利用し、データの流出や改ざんなどを企てます。ゼロデイ攻撃を防ぐためには、常に最新のセキュリティ情報を取得し、予防策を徹底することが大切です。
セキュリティホールに関する被害事例
セキュリティホールが原因で被害に遭った3つの事例を紹介します。被害事例を参照することで、セキュリティリスクの理解がより明確になるはずです。
macOSやiOSにおけるゼロデイ脆弱性
米国のアップル社は2022年2月、macOSやiOSにおける緊急アップデートを発表しました。Webブラウザの「Safari」において、セキュリティホールを狙ったゼロデイ攻撃が発覚したのです。緊急で以下3つの脆弱性が修正されました。
▼緊急で修正された3つの脆弱性
- カーネルにおけるローカル特権昇格
- 証明書の検証不備
- 「WebKit」における任意コード実行の問題
アップル社の迅速な対応により、大きなトラブルには至りませんでした。大手アップル社のソフトウェアでさえも、ゼロデイ攻撃の対象となった事例です。
産業制御システムを狙ったサイバー攻撃
2014年にWindows OSでゼロデイ脆弱性が見つかり、「SCADA(産業制御システム)」を狙ったサイバー攻撃が実施されました。この事件は諜報目的のサイバー攻撃であり、「Sandworm Team」と呼ばれるロシアのサイバー攻撃集団が主導しました。
ウクライナやポーランドの産業制御システムが標的となり、標的となった主な原因は、「エアー・ギャップ」という手法を一般的な防御方法として利用していたためです。この防御方法は、パソコンなどのデバイスとネットワークを物理的に切り離す手法です。
また、システムのアップデートなどを注力しておらず、十分なセキュリティ環境を構築できていませんでした。
オンライン会議ツールにおける脆弱性の被害
2022年6月には、大手のオンライン会議ツールにおける脆弱性の被害が発生しました。複数のセキュリティホールが発覚し、会議参加の際に不要なプログラムがインストールされ、任意のコードが実行されるなどの被害に繋がりました。
また、主催者の同意なしでオンライン会議に参加できる状態になるなど、セキュリティホールが原因で、ソフトウェアとして重大な欠陥を招いてしまいました。すでにアップデートプログラムが提供され、セキュリティホールの問題は解決されたとのことです。
セキュリティホールへの効果的な対策
セキュリティホールは企業の情報を脅かす重大な脅威です。セキュリティホールを狙った攻撃を未然に防ぐための対策を紹介します。
- セキュリティパッチを最新の状態にする
- WAFを導入する
- 脆弱性診断を受ける
- セキュリティ対策ソフトを導入する
各対策を順番に解説していきます。
セキュリティパッチを最新の状態にする
セキュリティパッチを最新の状態に保つことは、セキュリティホールのリスクを減少させる最も基本的な対策です。セキュリティパッチとは、ソフトウェアやOSなどで発見された脆弱性を修正するプログラムのことです。
定期的にソフトウェアのリリース状況を確認する、もしくは自動更新機能をオンにしておきましょう。常に最新の状態を維持することで、セキュリティホールによるリスクを防ぎます。
WAFを導入する
WAFの導入も効果的な対策として寄与します。WAFとは、「Web Application Firewall」の略称で、Webアプリケーションを保護するファイアウォールのことです。WAFには主に以下のような機能があります。
▼WAFの主な機能
- 通信監視・制御機能
- Cookie保護機能
- IPアドレス拒否機能
- ログ・レポート機能
WAFは、不正なアクセスや攻撃をブロックする役割を果たします。WAFを導入することで、セキュリティホールへの攻撃を効果的に防ぐことが可能です。
脆弱性診断を受ける
脆弱性診断を受けることで、企業のシステムにセキュリティホールが存在するかどうかを確認できます。脆弱性診断とは、専門家や専用のツールを使用して、セキュリティの脆弱性を探る作業のことです。
脆弱性診断により、未知のセキュリティホールを発見できたり、攻撃される前に対策を立てたりできます。定期的な診断は、セキュリティの強化とリスクの低減に繋がります。
セキュリティ対策ソフトを導入する
セキュリティ対策ソフトを導入することは、企業の情報を守る上で非常に有効です。常に最新の脅威情報を基に監視を行い、異常な動きを迅速に検知する役割を果たします。
▼セキュリティ対策ソフトの主な機能
- リアルタイムでの監視・検知
- ウイルスやマルウェアの隔離・削除
- 不正なWebサイトやフィッシングサイトの検知
セキュリティ対策ソフトを導入し、常時動作させることで、セキュリティホールのリスクを長期的に軽減することができます。
セキュリティホールの対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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まとめ
本記事では、セキュリティホールを狙った攻撃の種類、具体的なリスクや被害事例、効果的な対策について解説しました。
セキュリティホールは、ソフトウェアやOSの開発段階で発生したセキュリティ上の弱点です。このセキュリティホールを放置すると、ハッキングやマルウェア被害など、企業にさまざまなリスクを招く恐れがあります。
第三者からの攻撃を防ぐためには、セキュリティパッチを常に最新の状態に保ち、その上でセキュリティ対策ソフトの導入が推奨されます。企業のセキュリティをより強固にしたい場合は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」の導入を検討してみてください。
文責:GMOインターネットグループ株式会社