悪意のある攻撃者は、フィッシング詐欺やなりすまし、マルウェア感染などの手口でSNSアカウントの乗っ取りを行います。これらのリスクを防ぎ、SNSアカウントを安全に運用するためには、各種SNSに合った対策を講じることが大切です。
▼SNSアカウントの乗っ取り被害を防ぐ主な対策方法
- 不審なメールやリンクに注意する
- 複雑なパスワードを設定する
- アカウントを誰かと共有しない
- 多要素認証を利用する
- セキュリティ対策ソフトを導入する
本記事では、SNSアカウントの乗っ取り手口や被害リスク、効果的な対策方法について解説します。SNSアカウントの乗っ取りが疑われる方、あるいは事前の乗っ取り対策を講じたい方は最後までご覧ください。
目次
[ 開く ]
[ 閉じる ]
SNSアカウントの乗っ取りとは
SNSアカウントの乗っ取りとは、第三者が不正にユーザーのSNSアカウントを制御する行為のことです。乗っ取りやなりすましにより、アカウントでの不適切な投稿や、個人情報・企業情報の漏洩など、多くのリスクが発生します。
大阪府警察は「多発!SNS乗っ取り」で「他人にメールアドレスやID、パスワードを教えることは特に危険です」と、SNSアカウントの乗っ取りについて注意喚起を行っています。このページでは、犯人の手口を以下のように解説しています。
▼大阪府警察が解説する犯人の手口
- 犯人は、あなたの知人などを装い、あなたの携帯電話番号を聞き出します
- あなたは、知人だと思い込んで、安易に携帯電話番号を教えてしまう
- 犯人は、聞き出した携帯電話の番号で(LINEに)ログインします
- あなたがいつも使っている端末(スマホ、タブレットなど)ではないことから、SNS運営者は、本人確認のために、あなたの端末にショートメールで認証番号を送ります
- 犯人から再度連絡があり、あなたに送られてきた認証番号を聞き出そうとします
- あなたは、相手を知人だと思い込んでいるので、言われるまま安易に認証番号を教えてしまう
- 犯人は、あなたになりすましてログインし、あなたのアカウトを乗っ取ってしまいます
SNSアカウントの乗っ取りはフィッシング詐欺のほかに、マルウェアを用いた手口も存在します。この手口では、マルウェアに感染したデバイスからアカウント情報が盗まれ、SNSアカウントの制御が奪われてしまいます。
SNSアカウントの乗っ取りの具体的な手口
SNSアカウントの乗っ取りには、各プラットフォームごとに異なる手口が存在します。プラットフォームごとの特徴を理解し、適切な対策を講じることが大切です。以下、主なSNSごとの乗っ取り手口を具体的に解説します。
X(旧Twitter)の手口
X(旧Twitter)での乗っ取りには、流出したメールアドレスとパスワードを利用して不正ログインを行う手口が確認されています。また、Xアカウントと他のアプリ・サービスと連携する「アプリ連携」を利用した乗っ取り手口も存在します。
ソーシャルログインと言われるこの連携機能は利便性の向上に寄与しますが、悪用されるリスクがあるため注意が必要です。それ以外にも、偽アカウントからのダイレクトメッセージによる詐欺行為、フィッシングサイトへの誘導なども手口として考えられます。
LINEの手口
LINEでは主に、他のサービスから流出したメールアドレスとパスワードを利用して不正にログインするケース、または家族や友人になりすましてログイン情報を聞き出すケースの2つの手口があります。
なりすましの手口は、家族や友人と名乗るアカウントから「電話番号と4桁の暗証番号を教えてほしい」と尋ねられ、教えてしまうと突然LINEにログインできなくなるというものです。LINEは電話番号と4桁の暗証番号(PINコード)さえ分かれば誰でもログインできてしまう仕組み上、このようななりすまし手口が蔓延しているのです。
不審なメッセージを受け取った際には、直接家族や友人に確認を取ることをおすすめします。
Facebookの手口
Facebookの乗っ取り手口には、偽のログインページやセキュリティ警告を利用してアカウント情報を盗む方法があります。第三者から送られたリンクをクリックし、フィッシングサイトでIDやパスワードを入力してしまうと、Facebookのアカウントが乗っ取られてしまいます。
また、Facebookを利用する際は、救済措置を逆手に取った乗っ取り手口にも注意が必要です。Facebookではパスワードを忘れてログインできなくなった場合に、3人の友人に協力してもらってパスワードを再発行する機能があります。
攻撃者はなりすましアカウントを事前に3人分登録しておき、ターゲットのアカウントに3人分の友達申請を行います。これらのアカウントを承認してしまうと、攻撃者のそれぞれのアカウントにセキュリティコードが送られ、パスワードの変更が不正に行われてしまいます。
Instagramの手口
Instagramにログインする主な方法には、Facebookのアカウントを利用するケース、もしくは電話番号やメールアドレス、ユーザーネームのいずれかとパスワードを利用するケースの2つがあります。
攻撃者はダークウェブなどを利用し、これらのアカウント情報を入手して乗っ取りの攻撃を仕掛けます。また、他のSNSと同じように、家族や友人になりすましてアカウント情報を抜き取ろうとする手口もあるため、不審なメッセージを受け取った際には細心の注意が必要です。
SNSアカウントの乗っ取りで懸念されるリスク
SNSのアカウントが乗っ取られると、多大なリスクが発生する可能性があります。主なリスクとその影響については、以下の3つが挙げられます。
- プライバシーが監視される
- 個人情報が流出する
- なりすましによる被害が発生する
各リスク・危険性の詳細を1つずつ見ていきましょう。
プライバシーが監視される
乗っ取られたアカウントを通じて、個人のプライバシー情報が監視される恐れがあります。攻撃者はメッセージの閲覧やアカウントの活動履歴を確認することで、個人的な情報を収集することが可能です。
これにより、プライベートな写真や会話、位置情報などが漏洩する恐れがあり、さらなる犯罪に悪用されるリスクが高まります。その情報を利用して、脅迫や嫌がらせなどの迷惑行為をするケースもあります。
個人情報が流出する
乗っ取られたアカウントから、本人情報やフォロワーの情報が流出するリスクもあります。攻撃者はアカウントに蓄積した情報を盗聴し、それを外部に流出させることが可能になります。
例えば、友人リストに含まれる人々の連絡先や個人データが不正に収集され、それがスパムメールやフィッシング詐欺に悪用される場合があるのです。このような情報の流出は被害者本人だけでなく、その周囲の人々にも影響を及ぼす可能性があります。
なりすましによる被害が発生する
乗っ取られたアカウントが利用され、なりすましによる被害が発生するケースもあります。このような行為により、以下のような被害リスクが考えられます。
▼なりすましによる具体的な被害
- 誤情報の発信
- 第三者への誹謗中傷
- 詐欺行為への悪用
例えば、攻撃者が被害者の家族や友人に対して、金銭を要求するメッセージを送るケースがあります。被害者の名前を使った誹謗中傷の投稿により、社会的信用を失う可能性もあります。このようななりすまし行為は、周りの関係者にも甚大な影響を与えるため特に注意が必要です。
SNSアカウントの乗っ取りを確認する方法
SNSアカウントが乗っ取られていないかを確認する方法は、セキュリティ環境を維持する上で非常に重要です。乗っ取りを早期に発見し、適切に対応することで被害を最小限に抑えることができます。SNSアカウントの乗っ取りを確認する主な方法は以下の通りです。
▼SNSの乗っ取りを確認する主な方法
- 自分の投稿内容を確認する
- ログイン履歴を確認する
- ログイン通知が来ていないか確認する
- 情報変更の通知が来ていないか確認する
- 身に覚えのないDMが送信されていないか確認する
SNSアカウントの乗っ取りが疑われる際には、これらの方法を活用して被害状況を確認しましょう。もしも乗っ取り被害に遭っている場合は、パスワードの変更や運営元への問い合わせなど、状況に合った対処を早急に講じてください。
SNSアカウントの乗っ取り被害を防ぐ5つの対策
SNSアカウントの乗っ取り被害を未然に防ぐためには、具体的な対策が必要です。個人情報の漏洩や詐欺に繋がる恐れもあるため、以下の対策を事前に講じておくことをおすすめします。
- 不審なメールやリンクに注意する
- 複雑なパスワードを設定する
- アカウントを誰かと共有しない
- 多要素認証を利用する
- セキュリティ対策ソフトを導入する
各対策の内容を順番に見ていきましょう。
不審なメールやリンクに注意する
不審なメールやリンクに注意することは、フィッシング詐欺を防ぐために重要です。フィッシング詐欺は偽のログインページへ誘導し、ログイン情報を盗む手口であり、そのサイトに訪れないことが最大の対策となります。
したがって、見慣れないURLや不審なメッセージが送られてきたら、リンクを開かずに削除するようにしましょう。また、信頼できる送信者からのメッセージであっても、リンク先の安全性を確認する習慣をつけることが大切です。
複雑なパスワードを設定する
強固で複雑なパスワードを設定し、定期的に変更することはアカウント保護の基本です。安全性の高いパスワードは、大小の文字、数字、特殊文字を組み合わせることで作成できます。
▼安全性の高いパスワードの一例
- 数字 + 小文字 + 大文字:1234abcdABC
- 大文字 + 特殊文字 + 数字:ABCD!@#1234
- 小文字 + 数字 + 特殊文字:abcd1234!@#
このようなパスワードを定期的に更新することで、不正アクセスのリスクを大幅に減少させることができます。パスワード管理ツールを使用する場合は、信頼できるソフトウェアの使用を検討すると良いでしょう。
アカウントを誰かと共有しない
情報漏洩のリスクを抑えるためには、信頼できる家族や友人であっても、自分のアカウントを共有しないことが大切です。アカウントを誰かと共有する行為はリスクの向上に繋がります。個人情報の管理には最大限の注意を払いましょう。
また、アカウントのプライバシー設定を適切に管理し、安全な使用を心掛けることも重要です。アカウントのパスワードが誰かに知られてしまった場合は、早急にパスワードを変更することをおすすめします。
多要素認証を利用する
セキュリティ対策のために多要素認証を利用するのも1つの手です。多要素認証とは、2つ以上の異なる要素を用いて、デバイスやツールなどのログイン認証を行う方法のことです。
▼多要素認証に用いる3種類の要素
- 知識情報
- 所持情報
- 生体情報
多要素認証はSNSアカウントのセキュリティを強化する有効な手段です。たとえパスワードが第三者に漏洩したとしても、この認証機能により、不正アクセスを効果的に防ぐことが可能です。多要素認証は基本的に、SNSプラットフォームのセキュリティ設定で簡単に設定できます。
セキュリティ対策ソフトを導入する
セキュリティ対策ソフトの導入は、フィッシング詐欺や不正アクセスを防ぐための有効な手段です。対策ソフトを導入することで、不審なWebサイトやメールをブロックし、ログイン情報の漏洩を防止することができます。
また、定期的にウイルスやマルウェアのスキャンを行い、デバイス内の脅威を検知・排除することも重要です。常に最新の保護機能を備えるためにも、ソフトウェアのアップデートを忘れずに行いましょう。
SNSアカウントの乗っ取り対策ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエ
画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
企業で使用している各種SNSアカウントの乗っ取り被害を防ぎたい場合は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への依頼がおすすめです。あらゆるサイバー攻撃に対する対策からセキュリティ課題の解決まで、総合的なサポートを提供しています。
各種SNSアカウントの乗っ取り対策だけでなく、高度化する脅威に常に対応できます。また、セキュリティコンサルティングサービスにより、自社のセキュリティリスクを特定し、対処法まで的確に把握することが可能です。
「企業に脅威となるサイバー攻撃を防ぎたい」「企業で使用するSNSアカウントを安全に保護したい」という方は、本サービスの利用を検討してみてください。
まとめ
本記事では、SNSアカウントの乗っ取り手口や被害リスク、効果的な対策方法について解説しました。
SNSアカウントの乗っ取りやなりすまし被害を受けると、アカウントでの不適切な投稿や個人情報の漏洩など、多くのリスクが発生します。各種SNSによって具体的な手口が異なり、攻撃の手口も複数あるため、状況に応じた対策方法を考えなければなりません。
企業で使用している各種SNSアカウントの乗っ取り被害を抑えたい方は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への依頼をご検討ください。各種SNSアカウントの乗っ取り対策だけでなく、高度化する脅威に常に対応することが可能です。
文責:GMOインターネットグループ株式会社