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VPNに潜むセキュリティリスク・脆弱性とは?安全性を確保するための対策

[ 更新: ]

「VPNとは?仕組みや安全性について知りたい」という疑問を持つ方もいるでしょう。

VPNとは、インターネット上で仮想的なプライベートネットワークを構築する技術のことです。VPNを活用すれば、安全性の高いネットワーク環境を構築できます。

しかし、100%安全というわけではなく、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティリスクも一部として存在します。そこで重要となるのが、VPN利用時のセキュリティ対策です。

本記事では、VPNの仕組みや安全性、VPN利用に効果的なセキュリティ対策について詳しく解説します。

目次

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  1. VPNとは?仕組みと安全性
  2. VPNの仕組み
  3. VPNの安全性
  4. VPNに潜むセキュリティリスク・脆弱性
  5. VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃
  6. テレワーク端末のマルウェア・ウイルス感染
  7. 公衆Wi-Fiや無料VPNの利用による情報漏洩
  8. VPNを狙ったサイバー攻撃の被害状況
  9. VPNのセキュリティに関する被害事例
  10. 国内外の900社以上のVPN情報がダークウェブ上に流出
  11. 大手ゲーム会社で16,000人の情報漏洩
  12. 大手電機メーカーで国内外132台の端末がウイルス感染
  13. VPN利用に効果的な4つのセキュリティ対策
  14. 自社の状況に合ったVPNを利用する
  15. 常に最新のバージョンを維持する
  16. VPNサーバーの認証システムを強化する
  17. 社内端末の運用管理を徹底する
  18. VPN機器のセキュリティ評価ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエにお任せ
  19. まとめ

VPNとは?仕組みと安全性

VPNとは、インターネット上で仮想的なプライベートネットワークを構築する技術のことです。

この技術により、遠隔地から安全にネットワークへ接続することが可能となります。

特に、企業が社外からの安全なアクセスを必要とする場合や、個人が公共のWi-Fiを使用する際の情報漏洩を防ぐために有効です。

VPNを活用して通信データを暗号化することで、外部による情報の窃盗や不正アクセスを防止し、インターネットの安全な利用環境を構築できます。

VPNの仕組み

VPNの安全性は、主に「トンネリング」「暗号化」「認証」の3つの仕組みによって確保されます。

▼トンネリング・暗号化・認証の詳細

仕組み 内容
トンネリング 「カプセル化」という技術で、送信者と受信者の間に仮想トンネルのような専用通路を作る
暗号化 通信経路でやり取りされる情報に仮想的な鍵を設ける
認証 通信経路にアクセスするユーザーの権限を確認する

わかりやすく説明すると、VPNはデータを「トンネリング」で専用通路に送り、「暗号化」を用いて情報を鍵で保護し、「認証」で通信の正当性を確認します。

これらの仕組みにより、データの盗聴や改ざんを防ぎつつ、ユーザーは安全に情報を送受信することが可能となります。

VPNの安全性

適切に設定されたVPNは、データの暗号化と認証により高い安全性を実現します。

高い安全性を確保できるということで、多くの企業がVPNの導入を進めてきました。

しかし、設定ミスや古い技術の使用により、ネットワークに脆弱性が生じる可能性もあるため油断は禁物です。

VPN環境を実現したからといって、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクを100%防げるとは限りません。

そのため、VPNを安全に使用するためには、最新技術の適用と適切なネットワーク設定が鍵となります。

その上で、VPNの利用者自身がセキュリティに関する基本的な知識を持ち、常に警戒心を持つこともセキュリティの向上に欠かせません。

VPNに潜むセキュリティリスク・脆弱性

VPNは安全性が高いと言われますが、さまざまなセキュリティリスクや脆弱性が潜んでいます。

本項では、VPNに潜む主なセキュリティリスクと脆弱性を3つ紹介します。

  1. VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃
  2. テレワーク端末のマルウェア・ウイルス感染
  3. 公衆Wi-Fiや無料VPNの利用による情報漏洩

VPNの利用が増える中で、これらの脅威に対する知識を持つことは、情報の安全性を高める上で不可欠です。以下、1つずつ詳しく見ていきましょう。

VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃

VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃は年々増加しており、企業において深刻な被害を招いています。

古いソフトウェアや未パッチの脆弱性は、攻撃者に狙われやすいため特に注意が必要です。

攻撃者はこれらの脆弱性を利用し、不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティインシデントを発生させます。

外部からの攻撃を防ぐためには、VPN機器および関連ソフトウェアを定期的に更新することが求められます。

【関連記事】サイバー攻撃とは?種類や被害事例、対策方法についてわかりやすく解説

テレワーク端末のマルウェア・ウイルス感染

テレワーク端末がマルウェアやウイルスに感染すると、VPN経由で社内ネットワークに悪影響を及ぼす可能性があります。

この被害リスクは、2拠点間で通信の安全化を図るVPNの仕組みによるものです。

1つのテレワーク端末がマルウェアなどに感染した場合、VPNを経由して社内ネットワークにその感染が広がり、重要な業務データが漏洩したり、システムが破壊されたりする恐れがあります。

端末のセキュリティ対策を強化し、従業員に対してセキュリティ意識の向上を促す教育を行うことが大切です。

【関連記事】マルウェアとウィルスの違いとは?関係性や感染時の見分け方、感染時の対策を解説

公衆Wi-Fiや無料VPNの利用による情報漏洩

公衆Wi-Fiや無料VPNの利用は、安全性が低く情報漏洩のリスクが高まります。

暗号化されていない通信を利用することで、攻撃者によってネットワークが盗聴される可能性があり、重要な情報が第三者に漏れる恐れがあります。

▼特に注意すべき公衆Wi-Fiや無料VPN

  • カフェやホテルの無料Wi-Fi
  • 公共の交通機関が提供するネットワーク

これらの公衆Wi-Fiは誰でも利用できる分、セキュリティ保護が疎かになっている可能性があります。

攻撃者にとって格好の標的となり、通信データの盗聴や不正アクセスに繋がりやすいため、できる限り使用しないことをおすすめします。

VPNを狙ったサイバー攻撃の被害状況

テレワークが普及している今、VPNを狙ったサイバー攻撃は年々増加しています。

警察庁が公表した「令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、企業・団体等におけるランサムウェア被害の状況として、令和5年上半期に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は103件にのぼります。

ランサムウェアの感染経路について質問したところ、49件の有効な回答があり、このうち35件(71%)が「VPN機器からの侵入」と回答しました。

▼有効回答49件の内訳

感染経路 件数(割合)
VPN機器からの侵入 35件(71%)
リモートデスクトップからの侵入 5件(10%)
不審メールやその添付ファイル 2件(4%)
その他 7件(14%)

引用:令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁

これらの数字は、VPNを通じたサイバー攻撃が、多くの企業や団体にとって無視できないリスクであることを示しています。

VPNのセキュリティに関する被害事例

VPN関連のセキュリティ侵害は、企業に甚大な影響を及ぼすことがあります。ここでは、過去に起きたVPNのセキュリティ被害事例を3つ紹介します。

被害事例を参考にすることで、VPNのセキュリティリスクとその対策について理解しやすくなるはずです。

国内外の900社以上のVPN情報がダークウェブ上に流出

2020年8月、米国のメーカー製のVPN機器を導入していた国内外900社以上のVPN情報がダークウェブ上に流出しました。

被害に遭った900社のうち38社が日本企業で、その中には大手企業も含まれていたとされます。

VPN情報が流出した原因は、米国のパルスセキュア社製のVPN機器を利用していたことにあり、当該装置の脆弱性が攻撃者によって悪用されました。

2019年4月ごろに同社の機器に脆弱性が指摘されていましたが、アップデート前にそのVPN機器が狙われ、大規模な被害が生じました。

大手ゲーム会社で16,000人の情報漏洩

2020年、大手ゲーム会社でVPN経由の不正アクセスが発生し、約16,000人の個人情報が外部に流出しました。

不正アクセスの主な原因は、海外の支店に設置されていた旧型のVPN機器にありました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴いテレワークを推進した結果、ネットワークの負荷が高まったため、緊急で旧型のVPN機器を導入したところ、そのVPN機器が攻撃者に狙われたのです。

攻撃者はVPN機器を介して社内ネットワークへ侵入し、顧客や株主情報などを盗み取りました。

大手電機メーカーで国内外132台の端末がウイルス感染

2019年、国内の大手電機メーカーでVPN経由の不正アクセスが起こり、国内外132台の端末が感染疑いにかけられました。

主な原因は、中国拠点にあるVPN機器の脆弱性の悪用にあり、攻撃者によって内部のネットワークに侵入されました。

中国拠点でパソコンにウイルスの感染が広がり、そこから日本国内の本社へと感染が拡大したのです。

感染疑いの端末は国内外で132台にのぼり、中には防衛省の指定した「注意情報」が含まれていたとのことです。

VPN利用に効果的な4つのセキュリティ対策

VPNを使用する上でのセキュリティ強化は、企業の情報資産を守る上で欠かせません。

効果的なセキュリティ対策を実施し、安全なVPN環境を構築すべきです。以下、効果的な4つのセキュリティ対策を紹介します。

  1. 自社の状況に合ったVPNを利用する
  2. 常に最新のバージョンを維持する
  3. VPNサーバーの認証システムを強化する
  4. 社内端末の運用管理を徹底する

このような対策は、サイバー攻撃から企業の重要情報を保護し、ビジネスの継続性を確保するために不可欠です。

自社の状況に合ったVPNを利用する

使用目的や必要なセキュリティレベルに基づき、適切なVPNサービスを選択することが求められます。

例えば、遠隔での大量データアクセスが頻繁に発生する企業では、高度な暗号化機能を備えたVPNサービスが望ましいでしょう。

一方で、VPNセキュリティの知見が不足している企業の場合、アフターサポートが充実しているVPNサービスの選択が適切だと言えます。

このような状況に合ったサービスの選択により、企業は特定のセキュリティ要件を満たすことができます。

常に最新のバージョンを維持する

ソフトウェアやOSを常に最新のバージョンに維持することも重要です。

定期的な更新とパッチ適用により、システムの脆弱性を減らし、それが結果としてセキュリティリスクの低減に繋がります。

また、新たに発見された脆弱性に対しても、迅速に対処することが可能となります。

自動的にアップデートをかけられるソフトウェアも多いため、更新をつい忘れてしまいがちな方は、自動アップデート機能をオンにしておきましょう。

VPNサーバーの認証システムを強化する

強固な認証システムの導入により、不正アクセスを効果的に防げます。具体的には、以下のような強化が求められます。

▼認証システムの具体的な強化方法

  • 複雑で解読されにくいパスワードを設定する
  • 多要素認証を導入して認証プロセスの安全性を高める
  • 社内でのパスワード管理を徹底する

このような強化方法を実施すれば、不正利用者が認証を突破することを困難にします。

また、利用者自身のセキュリティ意識の向上も促し、全体のセキュリティレベルの向上に寄与します。

【関連記事】多要素認証(MFA)とは?二要素認証・二段階認証との違いやメリットを解説

社内端末の運用管理を徹底する

端末のセキュリティ対策と運用管理の徹底が、VPN経由のリスク低減に繋がります。

具体的には、定期的なセキュリティチェックと従業員へのセキュリティ教育を実施することが重要です。

社用端末の持ち出しや社内ネットワークへの接続ルールを設けることで、社内端末が原因による情報漏洩を防げます。

VPN経由でのトラブルを効果的に防ぐためには、従業員1人ひとりが十分なセキュリティ意識を持つことが大切です。

VPN機器のセキュリティ評価ならGMOサイバーセキュリティ byイエラエにお任せ

画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ

VPN機器や端末のセキュリティ対策状況を確認したいなら、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への相談がおすすめです。

本サービスでは、「テレワーク環境のセキュリティ評価サービス」を提供しており、VPN機器や端末のセキュリティ対策状況評価から、認証情報の漏洩調査まで、テレワーク環境に潜むセキュリティリスクを可視化します。

さらに、端末紛失時のセキュリティ対策、ネットワーク経由での不正アクセス、マルウェア対策などのアドバイスも行います。

このような包括的なサービスを通じて、企業はテレワーク環境の安全を確保し、リスク管理を強化することが可能です。

「VPN機器や端末のセキュリティ対策を強化したい」「安全なテレワーク環境を構築したい」という方は、本サービスの利用を検討してみてください。

まとめ

本記事では、VPNの仕組みや安全性、VPN利用に効果的なセキュリティ対策について解説しました。

VPNの技術を活用すれば、遠隔地から安全にネットワークへ接続できるようになります。

しかし、VPNは100%安全というわけではなく、適切に使用しない場合は情報漏洩や不正アクセスなどのリスクが伴います。

企業のネットワークの安全性を確保し、重要情報の流出を防ぐためには、自社の状況に合ったVPNを利用する、VPNサーバーの認証システムを強化するなどの対策が必要です。

VPN機器や端末のセキュリティ対策状況を確認し、効果的な対策を講じたい方は、「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」への問い合わせを検討してみてください。

文責:GMOインターネットグループ株式会社