「ドメイン名やIPアドレスの基礎知識が知りたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。
ドメイン名とIPアドレスは、インターネットを利用する上で欠かせない概念です。
ドメイン名は我々人間にとって理解しやすく、IPアドレスはコンピュータにとって処理しやすいという特徴があります。
しかし、両者の関係性や登録・配布の仕組みについては、あまり知られていないのが実情です。
この記事では、ドメイン名とIPアドレスの基礎知識から、関連用語、DNSの仕組みまで幅広く解説します。
目次
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ドメイン名とIPアドレスの基礎知識
ドメイン名とIPアドレスは、インターネットでデバイスやサーバーを特定するために使用されます。
これらはWebサイトへのアクセスを容易にし、情報のやり取りを助ける重要な役割を果たしています。
ドメイン名とIPアドレスの基本的な概念を理解することは、インターネットを利用する上で欠かせない知識といえるでしょう。
ドメイン名とは
ドメイン名とは、インターネットの住所に当たるものであり、それを利用者が認識しやすい文字列に置き換えたものです。
ドメイン名はWebサイトのアドレスとして機能し、人間が覚えやすい言葉で構成されています。
例えば、「example.com」はWebサイトへ簡単にアクセスできるようにするためのドメインです。
ドメイン名は、「.com」や「.net」などのトップレベルドメイン(TLD)と、その前に続く文字列(「example」など)で構成されます。
企業名や商品名、サービス名などを含めることで、サイト利用者にとって直感的で記憶に残りやすいアドレスを作ることができるのです。
現に当セキュリティブログのURLは「https://gmo.jp/security/」 から始まる文字列となっていますが、ドメイン名にgmoおよびjpが含まれていることで、日本に所在するGMOインターネットグループのウェブサイトであることがわかりやすくなります。
ドメイン名の種類や独自ドメインについては、以下の記事をご確認ください。
IPアドレスとは
IPアドレスとは、インターネット上のデバイスを識別するための数列のことです。
「Internet Protocol Address」の略称であり、ドメイン名と同様に、IPアドレスはインターネットの住所に当たります。
通常は点で区切られた数字で表され、各デバイスに固有のアドレスが割り当てられます。
現在のIPアドレスは大きく「IPv4アドレス」と「IPv6アドレス」の2つに区分されており、それぞれの特徴は以下の通りです。
▼「IPv4アドレス」と「IPv6アドレス」
- IPv4アドレス
- 0から255までの数字を4つ並べた形式で、10進法で表記され、約43億個存在する。
- Pv6アドレス
- 4桁の英数字を8つ並べた形式で、16進数(0~9、a~f)で表記され、約340澗個(340×1兆×1兆×1兆)存在する。
例えば、現在広く利用されている「IPv4アドレス」は「192.168.0.1」などと表記されており、将来的にメインで使われる「IPv6アドレス」は、「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」という形式で表現されます。これらのIPアドレスは、インターネット上でデータの送受信を行う際に、送信元と送信先を特定するために使用されます。
ドメイン名とIPアドレスの関係性
ドメイン名とIPアドレスは相互に変換可能で、この変換には「DNS(Domain Name System)」というシステムが使用されます。
DNSは、ドメイン名をIPアドレスに、またはその逆に変換し、それぞれの情報を紐づけて利用できるようにするシステムです。
コンピュータはドメイン名を認識することはできませんが、ドメイン名をIPアドレスに変換した文字列であれば通信先のデバイスを特定し、インターネットでの通信を行うことができます。
一方で、IPアドレスは数字の羅列で構成され、利用者である人間が覚えにくいという欠点がありますが、ドメイン名は一般的に言葉で表現されるため、はるかに記憶しやすくなります。
例えば、「www.example.com」というドメイン名は、「93.184.215.14」というIPアドレスよりも直感的に理解できるはずです。
またドメイン名はEメールアドレスにも利用されるため、送信元や送信先がわかりやすくなります。
この関連付けにより、人間が理解しやすいドメイン名でインターネットのリソースにアクセスできるようになります。
なお、ドメイン名とIPアドレスはサイトごとに全て異なっており、いずれも重複することはありません。
重複を避ける役割はDNSサーバーが主に担当しています。DNSサーバーについては、後ほど詳しく解説します。
ドメイン名登録・IPアドレス配布の仕組み
ドメイン名の登録とIPアドレスの配布はインターネットの基本的な構成要素です。
ドメイン名とIPアドレスの割り当てにはそれぞれ独自の仕組みがあり、それらが連携することでインターネットの秩序が保たれています。
ドメイン名登録の仕組み
ウェブサイトやEメールを運用したい人や組織は、原則としてレジストラやリセラーといった組織に登録を依頼します。取得を希望するドメイン名が登録できる状態であれば、レジストラ・リセラーは登録作業を行います。登録が完了すれば、そのドメインを自由に使用してウェブサイトやEメールを運用できるようになります。
また、登録が完了すると、トップレベルドメイン毎に異なるレジストリのデータベースに登録者の情報や有効期限などが登録され、WHOIS(※後述)の仕組みによって一般に公開されます。
なお、レジストリ・レジストラの詳細については以下の記事で詳しく解説しています。
IPアドレス配布の仕組み
IPアドレスは、インターネット資源を管理するIANA(アイアナ)と、地域インターネットレジストリによって管理配布されます。
IANAは、IPアドレスの割り当てに関する方針を決定し、地域インターネットレジストリにIPアドレスのブロックを割り当てます。
地域インターネットレジストリは割り当てられたIPアドレスを、国や地域のインターネットサービスプロバイダに分配する仕組みです。
インターネットサービスプロバイダは割り当てられたIPアドレスを、個人や企業に割り当てる役割を担います。
この階層的な配布システムにより、インターネット全体のIPアドレスが組織的に管理され、重複が防がれます。
ドメイン名とIPアドレスに関係する用語の意味
ドメイン名とIPアドレスには多くの関連用語があり、それぞれ特定の意味を持っています。
関連用語を理解することで、インターネットの動作原理や構造がより明確になるでしょう。ここでは、WHOIS、URL、DNSの3つの用語について解説します。
WHOISとは
WHOIS(フーイズ)は、ドメイン名やIPアドレスなどの所有者情報を調べるためのサービスです。
レジストリやレジストラはWHOISサーバと呼ばれる特別なサーバを運用し、ドメイン名を登録した際の登録者の名前、連絡先、登録日などの情報を外部から取得できるようにしています。
利用者はウェブで提供されているWHOISサービスや、WHOISコマンドを使用することで、ドメイン名の所有者を特定したり、登録状況を確認したりすることが可能です。
このようにIPアドレスやドメイン名などを登録すると、その登録情報は原則としてWHOISで公開されます。
つまり、ドメイン名取得時に登録した情報は非公開にすることは原則としてできません。
ドメイン名を取得する場合には、それらの情報がインターネット上に公開され続けるということを考慮しましょう。
URLとは
URL(Uniform Resource Locator)は、インターネット上のリソースを指定するためのアドレスです。
簡単にいえば、Webサイトやファイルの位置や情報を示すものです。URLは一般的に、以下の要素で構成されています。
▼URLの構成要素
- プロトコル:「http」や「https」
- ホスト:「www」など
- ドメイン:「example.com」など
- ディレクトリ:「blog」や「products」
- ファイル:「.html」や「.jpg」
例えば、「https://www.example.com/index.html」というURLは、HTTPSプロトコルを使用して、「www.example.com」というドメイン名の下にある「index.html」というリソースを指定しています。
URLはWebブラウザにアドレスを入力することで、目的のWebページや画像、動画などのリソースにアクセスするために使用されます。
インターネット上のリソースを一意に識別し、アクセス可能にするための重要な仕組みといえるでしょう。
なお、HTTPSプロトコルの必要性やHTTPS化の具体的なメリットは以下の記事で解説しています。
DNSとは
前述した通り、DNSはドメイン名とIPアドレスを紐づけるシステムです。
人間にとって覚えやすいドメイン名を、コンピュータが理解できるIPアドレスに変換する役割を担っています。
DNSはドメイン名をIPアドレスに変換するための階層的なデータベースを持ち、世界中に分散配置されたDNSサーバーによって運用されています。
Webブラウザにドメイン名を入力すると、DNSサーバーに問い合わせが行われ、対応するIPアドレスが返されることで、目的のWebサーバーにアクセスできるようになる仕組みです。
現代のインターネットにおいて必要不可欠な存在であり、ドメイン名によるWebサイトへのアクセスを可能にしています。
DNSについてさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
DNSの仕組みとルーティング
DNSは、インターネット上で情報を正確にやり取りするための重要な機能を提供しています。
ここでは、DNSの仕組みとルーティングの意味について解説します。
DNSの仕組み
DNSはドメイン名をIPアドレスに相互変換し、インターネット通信の処理を行っています。
例えば、ブラウザのアドレスバーに「example.com」と入力すると、このドメイン名を探すためにDNSサーバーに問い合わせが行われる仕組みです。
DNSデータベースは、ルートDNSサーバーを起点に、トップレベルドメインサーバー、権威DNSサーバーの階層構造で構成されています。
ドメイン名の解決要求があると、これらのDNSサーバー間で問い合わせが行われ、対応するIPアドレスが返されます。
このような動きを委任といい、複数のDNSサーバーが協調して動作することで、各サーバーの負担軽減を実現しているのです。
なお、DNSサーバーの詳しい仕組みや設定方法については以下の記事で解説しています。
ルーティング
ルーティングとは、DNSによって変換されたIPアドレス同士を通信できるようにする技術のことです。
ネットワーク上でデータを送信元から宛先まで転送する方法を決定することから、ネットワーク上の地図のような役割を担います。
ルーティングを担っているのは、ルーターやL3スイッチなどの中継機器です。
IPアドレスをもとに、中間機器がデータの最適な転送経路を判断し、パケットを宛先に向けて送出します。ルーティングは「経路選択」や「経路制御」と呼ばれることもあります。
まとめ
この記事では、ドメイン名とIPアドレスの基礎知識から、関連用語、DNSの仕組みまで幅広く解説しました。
ドメイン名とIPアドレスは、インターネットの根幹をなす重要な概念であり、両者の連携によりWebサイトを閲覧できるようになります。
また、ドメイン名の登録やIPアドレスの配布にはそれぞれ独自の仕組みがあり、インターネットの秩序を維持する上で欠かせません。
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文責:GMOインターネットグループ株式会社