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ハニーポット(honeypot)とは|意味や種類・効果・課題点を詳しく解説

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ハニーポットとは、不正なアクセスを受けることを前提として意図的に設置される「罠」のようなシステム・ネットワークのことを指します。ハニーポットを活用することで、システムやネットワークへの攻撃手段やターゲットなどを調査することも可能です。ネットワークセキュリティなどを検討されている方へ、ハニーポットの概要や種類による違い、得られる効果などを詳しく解説します。

目次

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  1. ハニーポット(honeypot)とは
  2. セキュリティディセプションとの違い
  3. ハニーポットの種類
  4. 低対話型ハニーポット
  5. 高対話型ハニーポット
  6. 仮想型ハニーポット
  7. ハニーポットを活用するメリット
  8. ネットワークの脅威が目に見える
  9. 重要なサーバーから注意を逸らせる
  10. 社内の不正リスク管理ができる
  11. ハニーポットの課題点
  12. 観測や分析が難しい
  13. 複雑な構築を要する
  14. 不正アクセスを助長する可能性がある
  15. まとめ

ハニーポット(honeypot)とは

ハニーポット(honeypot)とは、あえてシステムへの不正侵入を許して攻撃手法や何をターゲットとしているのかを分析する、「おとり」のようなシステムのことです。本来ハニーポット(honeypot)を直訳すると、「ハチミツが詰まっている壺」という意味があります。つまり、ハチミツの匂いで動物や昆虫を引き寄せるように、悪意ある不正侵入者を意図的に引き寄せる罠のような意味として、ハニーポット(honeypot)という言葉が使われているのです。

セキュリティディセプションとの違い

ハニーポットを発展させたセキュリティ技術として、セキュリティディセプションというものがあります。セキュリティディセプションとは、不正なサイバー攻撃者の攻撃目標を反らす、攻撃行動や方法を観察する、サイバー攻撃を遅延させる、などを目的として、複数のハニーポットを設置するセキュリティ対策システムのことです。ハニーポットは、不正な攻撃者の行動・手法などを観察する受動的な目的で行われますが、セキュリティディセプションは、おとりが不正攻撃者の攻撃を防いだり、遅らせたり、検知したり、といった能動的な目的で利用される手段です。

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ハニーポットの種類

ハニーポットには、低対話型ハニーポット、高対話型ハニーポット、仮想型ハニーポット、の3つの種類があります。

低対話型ハニーポットとは、ハニーポットの設置を特定の攻撃方法に限定することで、システムの構築・保守をある程度簡単にできるようにしたものをいいます。高対話型ハニーポットは、不正攻撃に関する大量の情報を取得可能ですが、構築・保守は容易ではなく、リスクも高い点が特徴です。仮想型ハニーポットとは、仮想マシン上で構成されているハニーポットのことを指します。侵入される前の状態に戻したり、侵入された直後の状態を保存できたりすることが可能です。

低対話型ハニーポット

低対話型ハニーポットは、特定のOSやアプリケーションをエミュレーション(模倣)して監視する仕組みです。メリットとしては、システムやネットワークの構築が比較的簡便な点にあります。一方で、得られる情報量に限りがある点がデメリットです。セキュリティ対策の予算が少なかったり、かけられる費用に限りがあったりするような場合、あるいは、セキュリティ対策にかけられる時間があまりないような場合には、低対話型ハニーポットの設置がおすすめの方法です。

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高対話型ハニーポット

高対話型ハニーポットは、実際のOSやアプリケーションを利用し、そこに残存している脆弱性などをそのまま不正攻撃者に対して弱点として見せるタイプのハニーポットです。高対話型ハニーポットは取得できる攻撃者に関する情報が多いというメリットがあります。一方で、システムやネットワークの構築には費用や時間がかかるというデメリットがあり、実際にOSやアプリケーションが攻撃を受けてしまうリスクも高いです。高対話型ハニーポットは、不正な攻撃者に関して詳細な情報を取得・分析して、効果的な対策を講じたいような場合に向いている方法です。

仮想型ハニーポット

仮想型ハニーポットとは、VMwareやXenなどの仮想マシンで構成されたハニーポットのことです。仮想マシンを利用することによって、ホストに不正侵入される前の状態に戻すことでリスクを抑制できるメリットがあります。一方で、ハニーボットの種類によっては、仮想マシンであるかをきちんと調べることも重要です。仮想マシンの特徴を調査することで、ハニーポットで監視していることが侵入者に知られてしまうデメリットがあります。効率的にハニーポットを運営・管理したい場合にはおすすめの方法です。

ハニーポットを活用するメリット

ハニーポットを設置することで、自社のシステムやネットワークの弱点に気付くことが可能になるなど、セキュリティ水準を向上させることが可能です。ハニーポットの設置は、情報漏洩によって巨額の損失が発生する企業や、会社の存続が危うくなってしまうような企業など、セキュリティ水準の向上を図りたい企業におすすめです。

ネットワークの脅威が目に見える

セキュリティポットを設置することにより、どのような方法でシステムやネットワークに不正にアクセスされているのかが明らかになります。自社のネットワークのどこに脆弱な部分があるのかが判明するため、対策しやすくなるのです。ハニーポットを設置していなければ、自社のシステムやネットワークの弱点がわからないまま、大きな損害が発生する恐れがあります。企業にとっては、こうした損害の発生を回避できることが大きなメリットです。

重要なサーバーから注意を逸らせる

ハニーポットを設置することにより、不正な攻撃者からの「おとり」として、攻撃を受ける対象とすることで、本当に重要なサーバーへの注意を逸らして攻撃をさせなくすることが可能です。企業にとって重要なサーバーに対して、不正攻撃を受けてしまうと大きな損害が発生してしまう可能性があります。しかし、おとりに注意が向いていれば、重要なサーバーを守ることに繋がるのです。ただし、高対話型ハニーポットの場合は、本物のシステムやネットワークが不正攻撃を受けてしまうリスクがあるため、設置する際には細心の注意が必要です。

社内の不正リスク管理ができる

ハニーポットは、社外からの不正攻撃に対するセキュリティ対策を目的として発展してきたものですが、最近は社内の不正リスクに対しても効果をあげています。例えば、社内の人間が不正にデータを書き換えようとした場合に、誰がどのような方法で不正を行っていたのかが調べられるのです。ハニーポットを設置することによって、未然に不正行為を防止することができたり、不正行為をしてもバレてしまうという抑止効果を得られたりすることがメリットと言えます。

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ハニーポットの課題点

ハニーポットを設置することには多くのメリットがあるため、企業にとってはセキュリティレベルを向上させるための効果的な手法だということが可能です。しかし、一方で以下に挙げるような、簡単には導入・運用できるものではないという点も存在します。したがって、メリットだけでなく、デメリットも十分に踏まえたうえで、どのように課題に対応していくのかも検討し、実際の導入・運用を決定することが重要です。

観測や分析が難しい

ハニーポットは設置するだけでなく、どのように運用するのかが非常に重要です。具体例として、ログが正常に記録されているかどうかを確認したり、不正アクセスを助長させていないかをモニタリング(監視)したりすることが挙げられます。ハニーポットでは膨大なログが記録され、データ分析には時間がかかるだけでなく、セキュリティに関連したナレッジの習得も必要です。したがって、ハニーポットを設置したからといって、簡単に思うような成果を得られない点も理解しておきましょう。ハニーポットをどのように運用するのかをあらかじめ決めておいたほうが、効率的に運用できます。

複雑な構築を要する

高対話型ハニーポットは、実際に稼働しているシステムやネットワークに対して導入することになります。不正攻撃者の侵入や不正行為をモニタリングして分析するためには、十分にデータを記録する必要があるのです。不正攻撃者を騙して、効果的な成果をあげるためには、ハニーポットの設計と構成が複雑なものになってしまう恐れがあります。必要に応じて専門家のサポートを受けて、ハニーポットの導入・構築をすることも検討すべきです。

不正アクセスを助長する可能性がある

不正に侵入されたハニーポットが他の侵入者の踏み台(入口)になったり、不正ファイルの交換場所になったりする場合があります。また、攻撃者はハニーポットという仕組みが存在することは知っているのです。つまり、ハニーポットの設置には、一定の不正アクセスを防ぐ効果はあるものの、攻撃者にとってもハニーポット対策の経験・ノウハウは貯まっていきます。この結果、ハニーポットの設置が不正アクセスを助長させる原因となることも考えられるのです。したがって、定期的なハニーポットのメンテナンスや機能強化などが必要になります。

まとめ

ハニーポットとは、不正にアクセスする侵入者をわざとおびき寄せる罠のような仕組みです。ハニーポットには、低対話型ハニーポット、高対話型ハニーポット、仮想型ハニーポット、の3種類があります。ハニーポットの設置によって、不正アクセスの手法などを確認・分析して、セュリティ水準の向上に役立てることが可能です。ハニーポットは伝統的なセキュリティ手法であり、即効性がないといわれることもありますが、今後も不正なアクセスの発見や防御する方法の確立に役に立つ方法だと考えられます。

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